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生前

俺の住む街に最近流行り始めた噂がある。

もしかしたら、それは昔からあった話で。たまたま俺が通らなかった道端には、ぽいすてられたゴミ同然にあふれていたものかもしれない。けれどそこに俺が通りかかり、神様のイタズラ心で知ったのは最近のこと。


何でも、『死んだ人間が生きていた』という。


……は? って感じ。何言っちゃってんだ、ていうのが初めて小耳に挟んだ時の正直な感想だ。

だってそうだろ? 死んだやつが生きていただぁ……? そんなの当たり前だろ、人間死ぬまで生きてるんだから。


俺がとぼけるでもなく言ったら、話を持ちかけたタカシは『そういう切り返しはないわ』と食堂に響くほどに噴き出して、すぐにいやらしく口を歪めた。


たれた前髪の影がやけに濃くなって、堀の深さが際立った。暗い瞳が、さも火の玉みたくゆらゆらと光ったようにも見えた。

身を包む涼しげな秋の風が、空気中の水分が張り付くそれに変わるよう。

タカシは潜めた声でこう続けたのだ。


『何でもさあ、二時間も前に死んだはずの連中が、何食わぬ顔でそこにいたんだってよ。そして――、音もなく消えるんだ! この世に未練なんてないって、闇に浮き上がる笑みを浮かべながら』


はっはー。とタカシも次の瞬間には馬鹿らしいと鼻で笑った。つまり、いいネタを仕入れて、見せびらかしたかったというだけだろう。他の連中も、またそんな話かよと呆れていた。


俺自身、何だそれは。と胡散臭く思い、サラダ、スープつきで破格の300円という、学食をかき込んだ。


その翌日、俺はあっさりとそれに巻き込まれるとも知らず。

見つけてくれた方ありがとうございます。

また、最後までおついあいしていただけると幸いです。

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