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平凡男子のVRMMO~初心者だけど宇宙で無双します~  作者: めくりの
一章

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八話 広がる憶測

「着きました」

 爺やがそう言って車を停める。停まったのは食事処のようだ。峰岡が飲み食いできないところで打ち上げをする間抜けとは微塵も思っていないのだが。

 しかし妙にこの食事処には見覚えがある。

「さあ、行きましょう」

 楓に連れられて俺は店に入る。

「いらっしゃいませ!」

 威勢のいい声が出迎える。聞き覚えのある声だ。いや聞き覚えがないとおかしい母親の声だ。

「って誠也⁉あんた、帰ってくるなら言ってよ!」

 客の視線が一身に集まるのを肌で感じ、恥ずかしくなる。

「花鷺さんのお母様だったんですね」

 楓が驚いたように言う。奥の座敷から峰岡と有栖川がひょこっと顔をのぞかせる。

「花鷺、こっちだ!」

 峰岡に呼ばれて俺と楓は座敷に上がる。

「いつもここで打ち上げやってたのか」


「うん、花鷺の実家なんだろ?」

 峰岡が何でもないように言う。

「花鷺なんて名字他じゃ見ないからね」

 有栖川も言う。

 お前の苗字も大概だろ。

 喉元まで出かかった言葉を押さえてメニュー表を手に取る。

「そういえば、さっき峰岡と見てたんだけど」

 有栖川がスマホの画面を俺に見せてくる。

「スペ速?なんだそりゃ」


「スペースウォーリャーズで起きた出来事をまとめてる公式ネット掲示板だよ。そこにファーストでの事件がまとめられてる」

 俺は記事をタップしてみる。トップ画像には白と赫のアーマードスーツが使われている。

「二機目のシンギュラリティ、地獄の番犬を撤退に追い込む......これって俺のことか」


「そう。幸いプレイヤーネームは割れてないみたい。ピースコンパスがこのシンギュラリティを回収したのはばれてるみたいだけどね」

 有栖川がため息をつく。

「他のクランに狙われたらシナリオクリアなんかできっこないよ」

 シンギュラリティ、初心者の俺でもカガリと戦闘が成立するレベルの代物だ。ほかのクランからすれば、喉から手が出るほど欲しいだろう。

 そういえばシナリオについて聞きたいことがあった。

「このゲームのシナリオってどんななんだ?」

 俺の問いかけに楓が答える。

「地球連合軍とエステア軍の戦争が起きている、という設定のシナリオらしいんだけど......」


「いっつもサイドクエストばっかりで、シナリオの本筋にたどり着けないのよ」

 有栖川が続ける。峰岡も頷く。

「地球連合軍とやらも見たことがないしな。ずっとエステアの雑魚しか出てこない。恐らく俺たちは地球連合軍としてシナリオを進めるんだろうな」

 あの時、ヒナタの口からエステア軍という言葉を聞いたのは確かだ。つまり、シナリオの本筋を始動させるにはヒナタと出会い、シンギュラリティを手にする必要があるのか?クリアさせる気あるのか?と聞きたくなる。

 しかしそれが条件だとしたら、プライマルクランはシナリオを動かすことはできたはずだ。

「なんか怖い顔してるけど?」

 有栖川がお冷をおでこに押し付けてくる。

「冷たっ!何でもないよ」

 俺は考えることをやめた。こういうことは俺より断然歴の長いユカたちに任せた方がいいだろう。

「ん、なんか通知がきた」

 有栖川がスマホの画面をスクロールする。

「第十一回クラン対抗イベント開催だって」

 有栖川の言葉に峰岡と楓が反応をする。

「前回は半年前だったな」


「例年通りですね」

 第十一回イベント、さっき楓が喋ってたな。

「ルールは前回同様、倒したアーマードスーツの総数で順位を競うやつ。リスポーンは三回まで、開催期間は明日から......明日から⁉」

 あまりにも異常な日程に有栖川が大声を出す。峰岡と楓も目を丸くしている。

「明日正午からの三日間で、上位三位のクランはグッズ化とゲーム内装備の報酬あり、だそうよ」

 峰岡が驚きを隠せない。

「明日からなんて、運営は何を考えているんだ?」

 驚きを隠せないのは楓も同じのようだ。

「これ、相当な混戦になるんじゃ......」


「そうね、防御陣地を築く暇もないでしょうし、イモリ戦法を完全につぶしに来たな」

 有栖川が苦虫を嚙み潰したような表情をする。

「イモリってどっかに籠る戦法だろ?俺も嫌でも戦場に引きずり出されるんじゃ......」


「まあ、お前のアーマードスーツがシンギュラリティだとばれる可能性はある。ファーストでの騒ぎでピースコンパスは目立ってしまっているし、前回みたいな専守防衛は通用しないだろう」

 峰岡がため息をつく。

「ユカさんの判断に任せるしかないか」


「ま、何とかなるでしょ。今は忘れて、カガリを退けたことに乾杯しましょ」

 有栖川が言う。それもそうだ、どうなるかわからないことをあれやこれや考えていても埒が明かない。ましてやこれはゲームなのだ。そもそもシナリオのクリアを重視するピースコンパスは順位にこだわる必要はないだろう。


「よーし、今日はとことん飲むぞー!」




__________________________________


 次の日、『スペースウォーリャーズ』にログインした俺たちはすぐにユカさんたちのところへ向かった。

「もう見たと思うけど、あと一時間ぐらいでクラン対抗イベントが開催される」


「知ってる。作戦は?」

 アリスが訊ねる。

「実はね、ハレルヤが防御陣地を構築してくれていたの。ピースコンパスの全部隊をそこに集結させて堅牢な防御陣地をさらに鉄壁にする。シナリオに関しては一旦お休みね」

 ユカが答える。ハレルヤというのはプレイヤーだろうか。なんせ作戦があると心に余裕ができる。

「今からそこに移動する感じですか?」


「そう、物資の運搬とか、やること多いから手伝ってね」

 ユカが言う。

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