表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平凡男子のVRMMO~初心者だけど宇宙で無双します~  作者: めくりの
一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/17

五話 カガリ襲来

 貨物船の爆発するさまを眺めながらユカは俺に伝えてくる。

「まあ、君は大学のVRゴーグルを借りてるわけだし、ピースコンパスの一員になるしかないけどね」


「えぇ、流石にひどくないすか......」

 ユカの言葉に俺は顔をしかめる。今のところスペースウォーリャーズで楽しいと思えたタイミングがほとんどないのだが。モチベーションのない状態でこのゲームを続けるのは至難の業だろう。

「まあ、あんまりログインしないでもいいなら......」

 と、その時、またもや警報が鳴り響く。外に爆発が見える。

「今度は何!」

 ユカがいら立ちを隠さずに怒鳴る。

「本艦付近で爆発を確認!」


「対空監視、どうなってる!」

 ユカが艦長席につく。

「敵影ありません!」


「そんなわけないでしょ!攻撃喰らってるんだからどっかいるわよ!」

 その間にも旗艦の周りで爆発が起きている。

「本艦直上より高熱原体接近!数は四!デブリ帯を高速で潜行中!」


「デブリ帯の中を?ミサイルじゃなさそうね」

 ユカがいぶかしみながら格納庫に通信を送る。

「本艦は攻撃を受けている。アーマードスーツ部隊は出撃し、これを迎撃せよ」

 おお、ホントに軍人みたいだ。

「ミネー、アリスも行ってちょうだい」

 ユカの言葉にミネーとアリスが頷く。


「分かった」


「りょーかい」

 ミネーとアリスがブリッジを後にする。

「熱源体は?」


「依然本艦直上より高速で接近。この速度は......!」

 レーダー監視員が息を吞む。ユカがその様子を見て何かを悟る。

「先頭のアーマードスーツは後続機の......五倍の速度です!」

 黄色い光の柱がブリッジを掠める。

「あ、あの、何が起きて」

 俺の問いかけにかぶせるようにユカが答える。

「やばいやつと交戦中!さっき飛んできたレーザーは射程範囲ギリギリから撃たれたやつ!」

 ユカが格納庫に通達する。

「敵はプライマルと思われる、まだライフルの射程範囲ぎりぎりにいるから押し返せる!」


〈押し返せるわけねえだろ!〉

 誰かの怒号が耳に響く。プライマル?やばい奴らなのはみんなの反応で分かるけれど......。

〈こっちは出撃準備オーケーだ。ヴァリュートも行けると。こっちのタイミングで出るぞ〉


〈え、私逃げるんですけど......〉

 ヴァリュートが訂正するが、ユカはそれをガン無視する。

「ヨッシーね、ヴァリュートも頼むわ」


〈期待するなよ〉


〈巻き込まないでぇ......〉


「カタパルトハッチ解放!アーマードスーツ隊、発艦どうぞ!」

 管制官が指示を出す。




__________________________________


 旗艦の前方に伸びる三つのカタパルト。ハッチが開き、黒とグレーのカラーリングの、まるで特殊部隊のようなエリアルアーマードスーツが現れる。

「ヨッシー、エリアルガスター出る!」

 ヨッシーのエリアルが真ん中のカタパルトから射出される。続いて左舷カタパルトデッキにピンクと黒のカラーリングのエリアルが姿を現す。

「ったく、意気地なししかいないんだから。アリス、エリアルワンダーランド行くよ!」

 アリスのエリアルもカタパルトから射出される。それと同タイミングで右舷カタパルトから青と白のカラーリングのエリアルアーマードスーツが射出される。

「ま、まだ何も言ってないですうぅ!」

 そんな悲鳴を聞きながら、ミネーも自機をカタパルトデッキに固定する。黒とオレンジのエリアルアーマードスーツのエンジンがうなりを上げる。

「ミネー、エリアルシュトレイン出る!」

 カタパルトから射出された瞬間、敵のライフル攻撃が直撃し、カタパルトを巻き込むほどの大爆発を起こす。

「ミネー!」

 アリスが冷や汗を浮かべる。

「射程ギリギリにいるんじゃなかったの⁉」


〈レ、レーダーに敵を確認、交戦お願いします!〉


「落ち着け!」

 恐怖のあまり進路を変更しようとするヴァリュートをガスターが落ち着かせる。とはいえこちらは三機、相手はおそらくプライマルクランの腕利きだろう。勝てる確率はごくわずかだ。エリアルガスターがライフルを構えて射撃する。

 敵の姿は依然見えない。どこから襲ってくるかも分からない。ユカがサポートしてはくれるだろうが、それすらも奴らの前では無駄なことに過ぎないのだ。

 前方にブースターの青い光が見える。

「敵機のブースター光を確認!追うぞ!」

 三機のエリアルが全速力でデブリ帯を駆け抜ける。その様はカガリからも視認できていた。

「エリアルが三機か、シンギュラリティを出してこないとは」

 飛んでくるレーザーを避けつつ、後方にいる僚機に指示を出す。

「君たちまで出張ると過剰戦力になる。待機しておいてくれ」


〈了解しました〉

 指示を終えると、踵を返し追手の方へ自機を向ける。

「シンギュラリティを出さないなら引きずり出すまで」

 突如としてこちらに向かってきた敵のアーマードスーツの姿にヨッシーが冷や汗を流す。

「金と銀のアーマードスーツ!ブリッジ、敵は〈特異点〉だ!」

 その通信にユカがため息をつく。尋常ではない速度で動く光点を確認した時から、嫌な予感はしていた。外れてくれることを願っていたのだが。

「何とか持ちこたえて!」


〈もって五秒だ!その間に逃げろ!〉

 アリスが通信に割り込む。余裕がなくなっているのか口調も荒々しくなっている。なんせ目の前にいるのはスペースウォーリャーズで最強のプレイヤーなのだ。

 二年前、クラン対抗戦というイベントの際にその機体は現れた。上位帯のクラン複数が機体を奪おうとしたが返り討ちにあい、ことごとく全滅。単機で敵の艦隊を壊滅させるなど、ゲームだとしてもあり得ないような戦果を叩き出し、付いた二つ名は〈特異点〉。

 ユカが指示を出す合間にそんなことを話してくれた。特異点、シンギュラリティか。通信からはアリスたちの怒号が聞こえてくる。相当やばい状況のようだ。




__________________________________


 ヴァリュートが背面に装備した火力支援バックパックを起動、肩部に倒れてきたレーザー砲で特異点を狙う。赤い極太のレーザーが特異点をかすめる。特異点はデブリに紛れて姿を消す。

「き、消えた」

 ヴァリュートが慌てて探すが、ヨッシーが指示を出す。

〈隊列を崩すな、このまま警戒を続けろ〉

 その声はいつもヴァリュートを安心させてくれる。

〈ヨッシー、下!〉

 アリスが忠告するが、それもむなしくエリアルガスターが下からコックピットを撃ち抜かれて大爆発する。


「は、早く帰ってくださいよ!」

 ヴァリュートがライフルとレーザー砲を乱射する。特異点はそれを避けながらヴァリュートのエリアルゴーストの右脚を撃ち抜く。

「ギャー!」

 エリアルゴーストはグルグル回転しながらデブリに激突して動きを止める。とどめを刺そうと特異点が接近するが、エリアルワンダーランドの射撃がそれを阻む。

「落ち着いてって言ってるでしょ」


〈は、はいぃ〉

 アリスの言葉にヴァリュートが力なく答える。




__________________________________


 素人目にもかなりまずい状況ということが分かる。数的優位などお構いなく翻弄している。

「他の人は出ないんですか?」


「意気地なしだから出ないわ。肉壁が多ければ助かるんだけど」

 ユカがぼやく。望遠モニターにビームブレードをぶつけ合う特異点とエリアルワンダーランドが映っている。

「俺、行ってきます」


「ちょっと、ダメよ!」

 ユカが俺を止めるが、構うものか。このままじゃ全滅だ、あのピカピカのアーマードスーツを止めるにはあの機体の力が必要なはずだ。

 格納庫に到着すると、プレイヤーが一斉にこちらを向く。これだけの数で攻め立てれば勝てるだろ。

「お前、出撃するつもりか?」

 プレイヤーのひとりが声をかけてくる。

「そうですよ、普通戦いに行きますよ」

 俺がエリアルに近づくと、ひとりでにコックピットハッチが開く。すぐさま乗り込んでコンソールを起動する。エンジンがうなりを上げ、全天周モニターが起動する。

〈何やってるの、戻って!〉

 ユカから通信が入る。

〈それじゃシンギュラリティをみすみす向こうに与えるだけよ〉


「じゃあ、アリスたちがやられるのを黙って見ておけば⁉違うでしょ!」

 ユカは少し黙った後、発艦許可を出す。

〈分かった。絶対に帰ってくるなら行ってもいいわ〉


「帰ってきますよ」

 俺はそういうとカタパルトデッキに自機を固定する。これは機体が自動でやってくれるようだ。

〈中央カタパルトハッチ解放、アーマードスーツ発艦位置へ〉

 中央のカタパルトハッチが開き、宇宙空間が見える。そういえば、この機体は何という名前なんだろう。俺のアーマードスーツと同じ名前でいいか。

「ハナサギ、エリアルヘロン行きます!」

 カタパルトから純白のアーマードスーツが射出される。




__________________________________


 何度目かの鍔迫り合いののち、特異点とエリアルワンダーランドは更にビームブレードをぶつけ合う。

 エリアルワンダーランドの持つビームブレードの付け根が赤熱し、消失する。

「ブレードの出力で負けた?」

 特異点の横なぎの一閃が頭部を斬り落とす。

「アリスちゃん!」

 ヴァリュートの叫びもむなしく、胴体も両断されたエリアルワンダーランドが爆発する。

「わ、私一人だけ?無理だよぉ」

 ヴァリュートが弱音を吐いた時、特異点と遜色のない速さの機影がレーダーに映る。

「ついに来たか」

 カガリもレーダーを確認して後退する。

「なにか撃てるものは......」

 俺が言うと、ディスプレイが自動で操作され、エリアルヘロンが大型のライフル〈バーストマグナム〉を装備する。

 二機のシンギュラリティが相まみえる。                                                       

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ