表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平凡男子のVRMMO~初心者だけど宇宙で無双します~  作者: めくりの
一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/17

二話 運命の出会い

「これが......スペースウォーリャーズ」

 気が付くと全く知らない、真っ白な場所に立っていた。

 どこだここ?

 あたりを見渡していると、どこからか機械音声が流れだした。

《次の四種のアーマードスーツから、プレイヤーの搭乗する機体を選択してください》

 目の前にパネルが現れる。スクロールして情報を確認してみる。


・エリアルアーマードスーツ

 機動性に優れ、火力と防御のバランスがとれた機体。火力、防御共に装備ユニットでの強化が可能。扱いやすく、初心者におすすめ。


・フルファイトアーマードスーツ

 火力に特化した機体。高威力のライフル、バズーカ砲などを装備できる。防御と機動性は低いが、ある程度装備ユニットで補うことが可能。特殊兵器を搭載可能。


・フルディフェンスアーマードスーツ

 防御に特化した機体。ビーム攪乱粒子などのサポート兵器を装備できる。火力と機動性が低いが、ある程度装備ユニットで補うことが可能。


・マルチユニットアーマードスーツ

 高い拡張性を誇る機体。初期機体では能力は著しく低いが、パーツ次第では、上記のアーマードスーツを凌ぐ能力を獲得することができる。


「機体の説明か、ずいぶんざっくりしてるな」

 長々と書いたところで全文に目を通すかと言われれば、怪しいところだ。

「初心者におすすめって書いてあるし、エリアルでいいだろ」

 エリアルの項目をタップすると、パネルが機体デザインの選択に移った。

「へー、有栖川が言ってたアーマーメイクってこれのことか」

 俺は凡庸な美的感覚を用いて、エリアルアーマードスーツの頭部、胴体、両腕、両足、背部に取り付けるエンジンバックパックを適当に組み合わせる。

 機体の色は白一色。これも適当である。

 パネルを下にスクロールし、登録ボタンを押すと、記入欄が目の前に出てきた。

《パイロットネームと機体ネームを登録してください》

「パイロットネーム、か。これは俺の名字でいいけど、問題は機体ネームの方だよな」

 表示欄を見る限り、エリアルの後ろに記入欄が続いている。

「エリアルなんたらになるってことか。恥ずかしくない名前にしないと」

 厨二心全開で名前を付けるか、それとも......。

「今更こだわっても仕方ないか」

 キーボードを適当に打って、何文字か消す。


・機体ネーム 《エリアルヘロン》


・パイロットネーム 《ハナサギ》


 これで大丈夫だろう。登録ボタンを押す。すると、何もなかった空間が、どこか空港を思わせる建物に変貌していく。

「また場所が変わった」

 パイロットスーツに身を包んだプレイヤーたちが多く行き来している。初期リスポーン地点はここなのだろうか。あの二人、ログインさせるだけで何も教えてくれなかったからな。

 ふとガラス張りの天井を見上げると、星の瞬く宇宙が広がっていた。

「おお、宇宙だ」

 スペースウォーリャーズというくらいだし、宇宙が舞台だろうとは思っていたが、ここまで男心をくすぐられるものだとは。

 ずっと向こう側にアーマードスーツ発着場と書かれた看板が見えた。俺が作ったアーマードスーツはあそこから乗れるんだな。

 意外にも逸る気持ちを抑えながら歩きだしたとき、腹に響く低い音が響くとともに、大きな揺れが建物を襲う。

「な、なんだ⁉」

 真上をアーマードスーツが猛スピードで飛んでいた。それを追うように、ミサイルのようなものも飛来する。

「ターミナル《ファースト》での戦闘行為は禁止だろ!」


「ルールぐらい守りやがれ!」

 混迷を極めるファーストから逃げ出そうと、プレイヤーたちが発着場に駆け出していく。

「な、なにが起こってるんだ」

 戦闘行為は禁止と叫んでいる声は聞こえてきた。パニックになったプレイヤーたちに揉みくちゃにされていると、ふと、女の子と目が合う。パイロットスーツを着ておらず、あずき色のカーディガンを羽織っている。髪の毛はブロンド、エメラルドのような瞳がこちらをまっすぐに捉えている。

 女の子は人込みをかき分けてこちらにやってきた。

「何が起きてるんです⁉」

 そんなことを聞かれても困ると思いつつ、無視するわけにもいかずに答える。

「何か戦闘が起きてるみたいです!みんなアーマードスーツに乗ろうとしてるんです」

 プレイヤーたちが発着場に吸い込まれていくように消えて行くのを見る。俺も早くいかなければ。いきなり戦闘に巻き込まれるなどごめんだ。

 走りだそうとした俺の手を女の子が掴む。

「今行けば戦闘に巻き込まれるでしょう!職員用の緊急脱出ハッチがあります。ひとまずそこへ逃げます」

 女の子は思いのほか強い力で俺を引っ張って駆け出す。職員用の?プレイヤー用じゃなくて?この人はプレイヤーじゃないのか?

 頭の中で疑問が渦巻く。一連の流れがチュートリアルではないことは明らかなのだが。




__________________________________


 ターミナル《ファースト》の周囲では大規模な戦闘が繰り広げられていた。トップクラン『プライマル』とゲーム内5位クラン『ヴィシブル』の戦闘。その余波はファーストに確実な影響を及ぼしていた。

 アーマードスーツの放つレーザーやミサイルの爆発が外壁を照らす。

 そんな戦闘のさなか、ファーストから少し離れた宙域に一隻の貨物船が現れた。パプリカのような形をした貨物船の船尾部分が開き、大柄なアーマードスーツが放出された。

 ボディを左右と後で覆うようなバインダーウィングには大型と小型のブースターが五基ずつ搭載されており、大柄な機体の機動性を向上させている。また、バインダーウィングの内側には特殊兵装を内蔵でき、更にはその分厚さをもってシールドとして運用することもできる。

 真っ赤なボディに特徴的な三枚のバインダーウィングを持った機体、マルチユニットケルベロス。プレイヤーたちはその機体をこう評した。『地獄の番犬』と。

 〈敵の増援を確認した。エリアルが三機、うち一機は特殊兵装なのか足が速い。向こうのエースだろう〉

 貨物船のブリッジからの通信に、マルチユニットケルベロスのパイロットのエレンが返事を返す。

「もう戦場に合流してるの?」

 少しの間が開いた後、呆れ声がきこえてくる。

〈どうやら合流しているらしい。相手はヴィシブルのエースだ、なかなか骨が折れるだろうが......〉

「問題ないわ、エレン、マルチユニットケルベロス出る!」

 地獄の番犬が貨物船を離れ、ファーストの方へ全速力で移動する。今回の作戦、こちら側の実働部隊は数が少ない。対してヴィシブルは総力を挙げてこちらをつぶしに来るだろう。いくら腕がいいとはいえ、数でのアドバンテージをひっくり返すことは容易いことではない。アニメのような展開になることは稀なのだ。      

 アーマードスーツたちがしのぎを削る戦場が迫ってくる。

 レーダーに反応がある。三機のアーマードスーツ、うち一機は突出した速度でこちらに向かってくる。

 向こうのエースはどうやら、番犬を真っ先に潰す判断をとったらしい。エレンが微笑みを浮かべる。

「そうするよね、私だってそうするし」

 エレンが再度レーダーを確認する。両サイドの二機が進路を変更している。すぐに思惑に感づいた。

「船はやらせないよ」

 番犬が静止しバインダーウィングから赤色で、小型の漏斗を十五基展開する。

 Omnidirectional Remote Gun Array(全方位無線射撃砲群)、通称オルガ。漏斗のような形の超小型砲塔を十五基、無線制御で展開し全方位から射撃を行う特殊兵装である。そのオルガが貨物船に向かったエリアルに襲い掛かる。

 二機のエリアルは頭部バルカン砲やライフルで応戦するも、あっけなくバラバラにされて爆発四散する。それを確認したエレンは最後の一機に向けて機体を向かわせる。

 残った一機のエリアルが番犬に向けてバズーカを放つ。

 エレンは機体に強い制動をかけて弾頭の直撃を避ける。爆発の余波でレーダーに乱れが生じる。

「拡散パルスか」

 エリアルが両肩部にマウントされているミサイルランチャーを全て発射する。

 自身の周りに集めたオルガの反応がいくつか消える。 番犬は致命的なダメージを受けないように避けながらエリアルに迫る。

「いけ、オルガ」

 オルガがエリアルを撃ち抜こうと飛来するが、ヴィシブルのエースは推進器と追加装甲以外の特殊兵装をすべてパージする。

 手首から飛び出したビームブレードを掴んで、オルガからの攻撃を追加装甲だけで突っ切って、番犬のもとに全速力で突貫する。

 番犬の方もビームブレードを装備し、全速力でエリアルにぶつかりに行く。ビームブレード同士の衝突で電流が走る。二機が大きく円を描くように離れ、突貫。また激しくビームブレードをぶつけ合う。

 二機が鍔ぜりあった状態できりもみしだす。エリアルが後退し、番犬のコックピットを貫かんと構えて突っ込む。その動きを読んでいたエレンは機体を後ろに倒し、バインダーウィングのブースターを吹かした。衝撃はエリアルを硬直させるには充分だった。番犬のビームブレードがエリアルの胴体を一閃する。

 オルガをバインダーウィングに戻しながら、貨物船に通信をつなぐ。

「エースは片付けた。次の指示を」

〈ファーストに侵入して、例のアーマードスーツを捜索しろ〉

「本当にあるの?」

〈リーダーがそう言ってるんだからあるんだろう。発見したら乗り換えてもいいそうだ〉

 通信が切れる。エースのいなくなったヴィシブルは総崩れだろう。私が戦うまでもない。番犬がファーストに向かう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ