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平凡男子のVRMMO~初心者だけど宇宙で無双します~  作者: めくりの
二章

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十三話 ヒナタの正体

 指令室にに出戻りすることになった俺はフーズと美女と共にブリーフィングルームに入った。ユカとガルダの会話を遮るようにフーズが二人の元へ行く。

「例の遺児の件だ、少し席を外してくれ」

 フーズの言葉にガルダは頷いてユカを促す。

「続きは係留してある艦の中で行いましょう」

 二人が出ていくのを見届けたフーズは俺と美女に席に着くように促される。

「あの機体が君のだと言う理由は?」

 早速フーズが本題に入る。

「ターミナル『ファースト』でヒナタと言う女の子にあのアーマードスーツを託されました。死んじゃったけど......」

 俺が答えると、フーズが青ざめる。

「死んだ?冗談はよせ!」


「なぜそんな噓をつくのです?」

 美女も眉をひそめる。

「噓じゃありませんよ。なんで人が死んだなんて噓つけるんです」

 時には噓も方便と思っているが、他人を冒涜するような噓は嫌いだ。とはいえヒナタに託されたという証拠を提示することができていない。

「......あ、そうだ」

 俺はヒナタにもらったネックレスの存在を思い出す。唐突に首元に違和感を覚え、手をやると、ヒナタにもらったネックレスがかかっていた。

 いつから首に?

「このネックレスはヒナタから託されたものです。証拠になるかはわかりませんけど......」

 俺はネックレスを外して、フーズに手渡す。

「ウーム」

 フーズはネックレスの装飾部をいじったかと思うと、かぽっと何かが外れ、USBの端子が出てきた。

「おお」

 フーズは立ち上がってネックレスを端末に差し込んだ。すると、巨大なディスプレイにエリアルヘロンの図面が表示される。

「これは......!」

 フーズが画面を切り替える。

「エステア軍の作戦立案書のデータ?」

 美女が呆然とつぶやく。

「いや、疑ってすまなかった。これで君があのアーマードスーツを託されたということを信じよう」

 フーズが頭を搔きながら俺にぺこりと頭を下げる。そんなことはどうでもいい。

「このデータは?」


「これはリーディアス家の遺児、ヒナタ・リーディアスが、地球連合軍と合流する際に手渡されるはずの重要機密だ」


 フーズの説明に俺は肩をすくめる。

「そんな重要な情報、俺に言って大丈夫なんですか?」


「問題ないわ。あの機体を託された時点であなたはこの戦争のキーマンになっているから」

 美女が言う。

「まだ名乗っていなかったわね。フレイ・アンダーソン、地球連合軍を有する地球連合議会の総裁よ」

 地球連合議会?現実でいう国連みたいなものか?

「あ、ハナサギといいます。よろしくお願いします」

 相手は総裁だしな、失礼のないようにしておいた方がいいだろう。

「リーディアス家については私から説明させてもらいます。そもそもリーディアス家というのは、火星エステア連邦の創立以来権力を保ってきた貴族です」

 エステア連邦、エステア軍の親玉か。

「創立して数十年はエステア連邦もかなり繁栄していたようですが、どうにも財政が悪化してきた。そこに環境汚染や地球からの移民による治安の悪化等、問題が噴出したのです。

 エステア連邦は真っ二つに分かれました。比較的環境の整った地球に助けを求める、という穏健派と、武力行使で地球を奪う、という過激派に」

 フレイがため息をつく。

「地球連合軍の諜報部はこの情報をいち早く掴み、穏健派を支援していました。その穏健派がリーディアス家です」

 俺はフレイの話に聞き入っていた。フーズは興味なさそうにゼリー飲料のパッケージをいじくっていたが。

「でもエステア軍と地球連合軍が戦争になっているということは......」


「そう。過激派による暗殺とそれに伴った内戦でリーディアス家率いる穏健派は壊滅状態に陥りました。まあ、生き延びて地球連合軍に協力してくれる者も現れましたが。それがあなたにアーマードスーツを託したヒナタ・リーディアスです。

 リーディアス家の遺児である彼女から得た情報をもとに、内戦で疲弊しているエステア軍を叩き、これをエリート部隊が制圧する。私たちはそう目論んだのですが......」

 唐突にフーズが割り込む。

「過激派は恐ろしいほど迅速に軍を再編、地球連合軍特殊作戦群を迎撃したんだ。第一次火星紛争と呼ばれる戦いで、地球連合軍は精鋭を多く失っただけにとどまらず、宇宙での拠点を失った」

 

「クレント・エレクトロニクスから払い下げたターミナルを運用して、何とかヒナタと合流しようとしていたんだけれど、エステア軍の妨害にあい、あえなく断念。そんな時、彼女が『ファースト』に来て、渡したいものがあると連絡をよこした。すぐに急行したけれど、ファーストは壊滅状態。ヒナタの姿も見つからなかったのだけれど......」

 フレイが俺をまっすぐに見つめる。

「あなたに繋いでいたみたい」

 ターミナル『ファースト』でのいざこざがこうつながってくるのか。

 ......おかしくないか?ファーストをぶっ壊したのはプライマルクランの『地獄の番犬』とかいうやつ。れっきとしたプレイヤーだろう。プレイヤーの行動によってシナリオが変化していないか?まあ、分岐シナリオだと言われればそれまでだが......。

 俺がヒナタと出会わなかったらシナリオはどうなっていたんだろう。

「EAS-03で戦闘はいくらかこなしているな?」

 聞きなれない単語に一瞬困惑するが、すぐにエリアルヘロンのことだと理解する。

「はい、何度か。装甲が開くやつも使えます」


「なんだそりゃ?そんな機能、図面にはなかったぞ」

 フーズが首をかしげてエリアルヘロンのデータを確認する。その時、けたたましく警報が鳴り響いた。

「何事!」

 フレイが指令室に出る。

「エステア軍の進軍を確認、海の向こうから来ます!」

 下士官の報告にフレイがいら立ちを見せる。

「モビルスーツ隊を出して!何としてもこの基地を死守する!ここを失えばエステア撃滅の道は断たれるぞ!」

 俺とフーズも指令室に駆け込む。

「こちらで用意しているEAS-03の正規装備の換装は間に合わない。今の装備で出てくれ」


「分かりました、行ってきます!」

 フーズの言葉にうなずくと、指令室を飛び出して、建物の向かいにある格納庫に走る。

 エステアと本格的に戦火を交える時が来たようだ。だが、これが火種となり、全プレイヤーを巻き込んだ大戦争の幕開けであることは依然として誰の心にも浮かばないのだった。

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