閑話 そこにいるのは、化け物ではなく
閑話 そこにいるのは、化け物ではなく
サイド なし
強い雨が降る中、戦闘は続いている。
ライフルが雨による不発が増えたこともあって、銃撃による圧力が減った帝国軍。それを好機と見て、一部の連合軍部隊が突撃した。
しかしそれらが壊滅したのを見て、大半の部隊が二の足を踏む。そうしている間に、連合軍は第1の壕を完全に制圧されてしまった。
また、アナスタシア女王を討つ為に突撃した帝国の貴族部隊も、本陣にいたのは影武者だと察し後退。サルバトーレ傭兵団が占拠した連合軍の第1の壕へと逃れている。
砲撃と矢が飛び交う戦場は、その熱狂を僅かに弱めていた。
しかし、火が消えたわけではない。突撃の合図はまだかと、両軍共に相手の喉笛を見つめて唸り声を上げている。
多勢に無勢という状況から先制攻撃に成功し、戦車という新兵器を目にした帝国軍。
帝国への憎しみと、ガルデン将軍が人竜を押し込んだことで士気の上がった連合軍。
豪雨でも冷やすことができない熱が、彼らの胸で燻っている。
未だ通信機など存在しない故に、小隊規模の指揮官どころか1千人以上の兵を率いる者でさえ、正しい現状など把握できている者は限られていた。
そんな中、この戦場で最も戦況を把握している存在。アナスタシア女王。
彼女は忠臣に抱えられ、満身創痍で戦場から離れた丘を登っていた。
「……もう、無理だ。ロック爺。勝てん。奇襲も、引き分けに持ち込むのも、失敗してしまった。国を残すには、それしかなかったのに」
ぼそぼそと、血まみれの女王は告げる。
「砲兵部隊を半壊……ないし、この戦闘中だけでも機能停止させられれば、引き分けに持ち込むことはできた。冬を迎え、今後もモルステッドと戦う奴らに、停戦を申し込むことも……」
彼女は、胸の内にこみ上げくるものを飲み下し、極力冷静に続けた。
ガルデン将軍に語り掛けるというよりも、自分に言い聞かせるように。
「それも防がれた今、後は『どう負けるか』を考えねばならない。プランは、ある。甥達は守ってみせる。私の首で、どうにか───」
「ご安心なされよ、姫様!」
快活な声が、彼女の声を遮った。
「このロック爺が、絶対にお守りいたします!ミハエルも頑張っております!殿下も姫様も、絶対に、死なせませぬ!」
「ロック爺……?」
何を言っているのかと、アナスタシア女王が顔を上げる。
ガルデン将軍の顔は、兜によって見えない。ショットガンの直撃で罅割れた馬の面からは、死にかけの老人とは思えないハキハキとした声が聞こえていた。
「帝国が何度王国に攻めてこようと、儂とミハエルがいれば問題ありません。だから、諦めてはなりませんぞ!殿下も姫様も、これから成長なされればきっと立派な英雄となります!それまでは、この儂が……!」
「……ああ」
丘を駆け上がる、老将。
その失われた右足は、いつの間にか紫色の肉塊が補い、馬の蹄のような足跡をぬかるんだ地面に残している。
罅割れた鎧の隙間からは、ミミズのような形をした紫色の肉が何十、何百と溢れ出ていた。
ガルデン将軍は、とっくの昔に限界を迎えている。
その肉体も───精神も。
「そうだな……お前が、いれば……勝てる、かもな」
「ええ!ロック爺にお任せを!なぁに、ミハエルとも後で合流します!まだまだ未熟者ですが、あやつも殿下と姫様をよく支えてくれるでしょう!ひ孫も、20年もすれば立派な戦士になりましょうぞ!」
「ああ……そう、だな……」
アナスタシア女王は、瞳を閉じる。彼女もまた、血を流し過ぎていた。
紫色の肉塊に飲まれながら、女王は眠る。
老将は、何も語らぬ主を抱えて、ひたすらに丘を駆け上がる。
強い雨に、打たれながら。
* * *
───約10年前。
ガルデン将軍は、その息子ミハエルと本陣にて向かい合っていた。
お互いに纏った鎧のあちこちに矢が突き刺さり、血と泥で汚れた有り様。天幕の外では兵士達の死体が転がり、生きている者達も死んだような顔をしていた。
「ミハエル。オールダー王国の将軍として、貴様に命じる」
幾つもの皺を顔に刻んだガルデン将軍は、己の感情をねじ伏せて言葉を続けようとした。
しかし、声が出てこない。何かを言おうとしても、喉からはかすかな息しか出てこなかった。
「父上……いえ、ガルデン将軍」
それに対し、壮年の息子はどこか困ったように笑った後。
凛とした面持ちで、背筋を正す。
「ご命令を。武人として、王国に仕える者として、覚悟はできております」
そして、ニッカリと笑みを浮かべた。
「妻も子も亡くなりましたが、孫はいます。貴方のひ孫だ。あの子がいる限り、ガルデン家は終わりません」
「……っ!」
オールダー王国は、帝国の為に生かされていた。
スネイル公爵がいた国がまだ残っていた頃は、その国と同盟を組み帝国の侵略を防いでいたものの、彼の国が陥落してからは大陸への『蓋』がされてしまった。
元々小国であったオールダー王国に、それを押し上げる力などない。貿易で搾り取られ、適当な理由で戦争を仕掛けられては民を奴隷として巻き上げられ、それと一緒に財貨と命を奪われる。
帝国からすれば、吹けば飛ぶような小国。スネイル公爵が築いた公国から多少の支援を得ることはできても、あちらとて余裕などない。
オールダー王国の貴族はほとんど農民と変わらぬ生活をし、時には貴種までもが飢えて死ぬことさえあった。
それでもどうにか鎧と武具を用意して、帝国に抗わねばならない。さもなければ、帝国の地方貴族達が『やり過ぎる』。
皇帝としては、貴族達のガス抜き。お気に入りの箔付け。小遣いが欲しい時の貯金箱でしかない王国。地方貴族が功を焦って攻め込み過ぎても、彼がわざわざ止めることはない。
滅びない為には、王国は死に物狂いで戦う他なかった。
それでも取りこぼす命の中に、彼の身内もいた。オールダー王国では、よくある話でしかない。
されど、ガルデン将軍にとって、それは───。
「……すまぬ」
己の半分程度しか生きていない末の息子に、誰にも聞こえない声量で謝罪して。
「儂はこれより、姫様を連れて帝国軍の包囲網を突破する。貴様の部隊はその間、敵を引きつけよ。命を、捨てるのだ」
「はっ!」
王国式の敬礼をして、ミハエルは笑う。
「この命でもって、戦場を彩ってみせましょう!帝国を、コーネリアス皇帝をこの地に釘付けとしてみせます!」
「……うむ」
「そんな顔をなさるな、ガルデン将軍!戦場にて死するは、武人の誉!ですから……ご自分を責めることも、この件で帝国を恨むことも、どうかしないでください」
ミハエルは、穏やかに微笑む。
「誇ってください。勇敢に戦い、散った戦士達を。敬ってください。戦士達と戦った、敵の戦士達を。それが、武人というもの……そうでしょう?父上」
「……ああ。そうだな。ではさらばだ、戦士よ」
「ええ。先に天の国にて、妻子と共に待っております。将軍はどうかのんびりと、20年後ぐらいに、お越しください」
兜を被り、ガルデン将軍はギザームを握って本陣を出た。
その背に、ミハエルは再び敬礼をする。
彼と50人の決死隊。それは見事、将軍とアナスタシア王女の脱出を助けてみせた。
その命と───尊厳を、犠牲にして。
王国が大損害を受けたその年の戦争は、それからすぐに終わりを迎えた。コーネリアス皇帝が、『つまらん』と言って、軍を引き上げたのである。
王女を王国軍主力部隊に預け、ガルデン将軍は馬を走らせた。もしかしたら、我が子は生き残っているかもしれない。そんな、か細い希望を夢見ながら。
駆けてきた彼に、決死隊の『回収』に来た王国軍兵士達が顔を真っ青にする。
「が、ガルデン将軍!?」
「皆、すまぬ。ミハエルを……決死隊の隊長を務めた者を、見ておらぬか」
「そ、それは……」
兵士達が一瞬だけ自分達の後方。森の中に視線を向けたのを見て、ガルデン将軍は馬を降りる。
「顔を、見てくる」
「お、お待ちください!」
そんな彼を、兵士が組み付いて止めようとした。
「ミハエル様は、その……」
「……覚悟は、できておる」
兵士の様子から、我が子が討ち死にしたのだとガルデン将軍は考えた。
掌に爪を食い込ませながら、深呼吸をして。彼は優しくその兵士を引きはがす。
「息子の死体だ。儂が、連れ帰る」
「今は、今はダメです!」
「そうです!どうか時間を!」
兵士達が、数人がかりでガルデン将軍にしがみついた。
どうにかして、彼の足を止めようと。
だが、王国の守護者はその程度で止まりはしない。情けない顔を兵士達に見せまいと、振りほどいて大股で進む。
認めねばならない。彼の愛弟子でもある息子を、見事討ち取ってみせた帝国軍を。それが、武人の務めである。
何より、ミハエルの『誉』の為にも。
そう、思っていた。
「……は?」
木から吊るされた裸の死体を見て、その思考は抜け落ちてしまった。
目玉を抉られ、前歯を引き抜かれ、両腕を切り落とされた息子。それだけなら、戦場でのことだと彼も受け入れられた。
しかし、『それ以外のこと』までは、耐えられなかった。
数々の、弄ばれた痕跡。それを、彼は知っている。何故なら、帝国が通り過ぎた村々で似たような死体を見てきたから。
だがそれにしても、多すぎる痕跡。前も後ろも壊され、生きたまま蹂躙されたことがわかる苦悶の表情。
最後は恐らく、溺死だったのだろう。わざわざ水瓶を用意して、それに頭をつけながら遊んだのだ。
呆然とするガルデン将軍に、回収部隊の兵士達が沈痛な面持ちで告げる。
「……決死隊の生き残りが、1人だけいました。酷く錯乱しておりましたが、どうにか、保護をしています」
「その兵士曰く、決死隊の内40名が死亡した後、残りの10名をコーネリアス皇帝が生け捕りにし、ミハエル様に、その……皇帝が、賭けを申し込んで」
「……ご子息の遺体は、我らが連れ帰ります。ですから、どうか将軍はあちらでお休みを」
慎重に、丁重に、吊るされた遺体を木から下ろす回収部隊。彼らは、木の幹に打ち付けられた『ミハエルの一部』も、木箱につめていく。
裸に剥かれた彼の死体に刻まれた、見るに堪えない下卑た言葉を布で隠し、ガルデン将軍に見えないようにした。
だが、その気遣いに感謝する余裕など、将軍にあるはずがない。
帝国軍の戯れで親も妻も殺され、息子や娘も殺され、孫と義理の娘も殺され。先祖代々守ってきた土地も民も踏み荒らされ。
その上、末の子供までもが、このような最期を遂げた。
武人の最期ではない。ただの、皇帝の『遊び』に付き合わされた最期を。
『この件で、帝国を恨むことも、どうかしないでください』
「ああ、ああ……」
『誇ってください』
「あああああ……!」
『武人の、『誉』』
「あああああああああああッ!!」
彼の慟哭は、三日三晩響き渡った。
それからのガルデン将軍は、狂ったとしか言いようがない。
なけなしの理性でひ孫を信頼する家臣に預けた後、彼は鍛錬と復讐にのみ残りの人生を費やした。
ミハエルが死んだ地で見つけた、妙におとなしい馬の魔物を、息子の生まれ変わりだと言って愛馬にし、戦い続けた。
王位の簒奪を目論むとある王子の、無茶な帝国への侵攻作戦にものった。
だが、それを『新たなる希望』が覚ましたのだ。
『俺についてこい!この国に、未来をくれてやる!』
赤い髪の若い王。あの日、ミハエルだけではなく先王まで失われた日に、即位した男。
ノリス・フォン・オールダー。まだ17歳だった彼は、玉座を奪おうとした弟を討ち、王位を確かなものとしたのである。
彼はその智謀と武勇でもって捕えたガルデン将軍の肩に、剣をのせた。
そうして、老将は僅かばかりの理性と、未来への希望を得たのである。
彼は、彼らは全力を尽くした。国の為に。未来の為に。望まぬ他国からの策も飲んで、その上でオールダーの民を救わんと駆け抜けて。
遂に、コーネリアス皇帝を討つに至ったのである。
オールダー王国の夜が明けた。小雨が降る朝に、老将は安堵して。その人生を、終わらせようとして。
『■■■■■■■■───ッッ!!』
人の形をした竜による、血の雨を目撃した。
夜明けの太陽は暗雲に飲み込まれ、戦争は続く。まだ悪夢は終わらぬのかと、老将は奮起して。
そして、再び失うこととなった。
「はあっ……はあっ……!」
息子の生まれ変わりと信じてやまない愛馬を殺され、それでも守ろうとした希望。その元へと、ボロボロになりながら彼は駆けた。
ギザームの穂先を剣の代わりとして、森を掻き分けて。その先で、泥と血にまみれて倒れた希望の象徴を目撃する。
胴鎧を大きくひしゃげさせた彼が亡くなっているのは、誰の目にも明らかだった。
その傍で蹲り、涙を流す王女。それを呆然と眺めていたガルデン将軍を、近くにいた貴族達が茂みの中に連れて行く。
「将軍。お気持ちは察しますが、今は2人だけに……」
「……わかっている。だが、雨の中姫様と陛下のご遺体を長く放置させるわけにはいかん。他の兵士達にも、伝令を出さねば」
ばらばらになりそうな理性を掻き集めて、ガルデン将軍はそう返す。
まだ冷静な彼に安堵して、周囲の貴族達は告げた。
「急ぎ、ご報告しなければならないことがあります」
「……なんだ。あの、怪物のことか」
「ええ」
ノリス国王の最期を目撃した貴族が、頷く。
「アレは……いいえ、彼は人間です。交渉できる存在だ」
「……なに?」
ぶつり、と。
ガルデン将軍の裂けた額から、音が鳴る。
「今こそ帝国と和平を結ぶ時。もはや、我らに余力はありません」
「奴らも皇帝を失い、その上3方を敵に囲まれた状態。これを機に、有利な条約を……」
「なにを、言っている」
また、裂けた額から音が出た。
それは比喩ではなく、ガルデン将軍の魔力制御が乱れ、補修していた血管が千切れる音。脳が、軋みをあげる音。
『敬ってください。戦士達と戦った、敵の戦士達を』
「お気持ちはわかります。ですが、未来を視ねばなりません」
『それが、戦士というもの』
「陛下と戦った大剣使いは、あの方に敬意を払ってくれました」
『武人の、『誉』』
「恨みだけで動いてはなりません。我らは同じ人間だ。どうにか、歩み寄って……」
「黙れ」
気づいた時には、ガルデン将軍の腕が動いていた。
人竜によって引き裂かれた脳の傷が開き、どろりと赤黒い血が流れ落ちる。
「将軍!?なにを!」
「黙れと言っている!」
「がっ……!?」
仲間であるはずの者達を斬り捨て、彼は吠える。
「お前達は裏切り者だ……そうだ、そうでなければならない……!」
「血迷うたか、ロクスレイ・フォン・ガルデン!」
「悪魔だ……帝国は、悪魔なのだ……!」
「やめろ!将軍!我らは!」
「ガアアアアアアッ!」
嵐の森に、雄叫びが木霊する。
復讐者は止まれない。止まることなどできはしない。
もしも、それでも止まることがあったとしたら。それは───。
* * *
こつり、と。
レイピアの腹が、将軍の肩にのる。
少しでも『栄養』を得る為に、アナスタシア女王を丸飲みにしようと蠢いていた紫色の肉塊が止まり、同時に彼の足も地面に縫い付けられたように動かなくなった。
その剣は、かつてオールダー王国の希望の象徴が振るった刃。
ノリス・フォン・オールダー。彼の、レイピアであった。
「………ああ」
ばらばらと、紫色に肉塊が崩れていく。
解放されたアナスタシア女王を抱えたガルデン将軍は、羽織っていたボロボロのマントを丘の頂上に敷くと、その上に彼女を横たえた。
けぶるように長い彼女のまつ毛が、僅かに震える。
ゆっくりと開かれた瞳が、老将を見上げた。
「ロック……爺……?」
「アナスタシア女王陛下」
どっしりと、雨の中将軍は片膝をつく。
横たわった主君に首を垂れ、罅割れた兜の下から声を絞り出した。
「ロクスレイ・フォン・ガルデン。これにて、暇を頂きます」
「……そうか」
静かに、女王は頷く。
そして彼女は、右手に握ったままのレイピアを彼に差し出した。
「これまでの礼だ。持っていけ。お前の献身には、足りないだろうがな」
「いいえ。もう、十分でございます。十分、『夢』を頂きました」
そっと、紫色の左手で剣を押し返す。
異形となった腕は、今は右腕と同じサイズにまで縮んでいた。鎧の隙間から溢れ出ていた肉塊も、今はない。右足と左腕を補う分だけが、機能している。
アナスタシア女王からは、何も奪ってなどいない。残された自身の──魔物の命でもって、戦う力を維持する。
彼の耳に、馬の嘶きが聞こえた気がした。
「どうか、未来を。これからのオールダーを、よろしくお願いいたします」
「……ああ。せめて、オールダーの名だけでも遺してみせるさ」
「ええ。貴女なら、できます」
立ち上がり、ガルデン将軍は主君に背を向けた。
ゆっくりと歩きながら、彼は続ける。
「おさらばです。アナスタシア女王陛下。我が、最後の主よ」
丘を下り、平地へとたどり着いた将軍。
その目の前には、血と泥にまみれた少年が立っていた。
白銀だった鎧は破損と汚れで見る影もないが、防具としては問題ない。何より、中身は既に全ての傷が完治していた。蓄積された疲労も、だいぶ消えている。
万全とはいかずとも、それに近い状態。そんな若者を前にして、ガルデン将軍は呆れた様子で小さく肩をすくめた。
「待っておったのか。おぬし」
「……いいえ。今追い付いた所です」
「はん。そういうことにしておいてやろう」
バキリと、ガルデン将軍の兜が割れる。
その下の布も解け、彼の顔があらわとなった。
顔の左半分が紫色の不気味な肉に埋め尽くされ、左目は深紅に染まっている。
ぎょろりと、怨敵を見下ろす人ならざる容貌となった将軍。それを前に、人竜は静かに構えをとった。
「やはり貴様は悪魔だな。老人を労わる心を知らんらしい。大人しく、冥途の土産に首の1つぐらい渡してくれんのか」
「まだ死にたくはないので。何より……」
「なんだ?」
将軍もまた、ギザームを両手で構えながら問いかける。
人竜は、静かに。ごく自然な様子で、答えた。
「僕なりの、貴方という武人への敬意です」
「……ふん」
小さく、鼻を鳴らした後。
彼は不敵な笑みを浮かべた。
「よろしい!であれば、ただの戦士として!貴様に引導をくれてやる!」
「いいえ。死ぬのは貴方だ。ガルデン将軍」
「ぬかせ!小童ぁ!」
2体の怪物が──否。
人竜と呼ばれる戦士と、怪物と呼ばれる戦士が。
雨の中、相対した。
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