快晴
『『皆さん、お待たせいたしました。X1グランプリ冬シーズン、開幕のお時間です。』』
場内が沸く。
観客席は超満員。
椅子のない芝生席エリアも、人でごった返している。
その理由は、明らかであろう。
『りーん!りーーーん!!!』
凛コールが鳴りやまない。
当の本人はそれに気づくと、恥ずかしそうに観客席に手を振った。
二番手グリッドについている裕毅は、コックピットを開けて客席に向かって手を振り上げる。
『ボクのコールもしろ!!!』とでも言いたげだ。
そんな様子に、場内は笑いで包まれた。
『裕毅・凛!裕毅・凛!!!』
観客の声は、より一層大きくなっていく。
『『ポールポジションを獲得したのは、夏シーズン最終戦で見事初優勝を果たした、エリカ・フェルスタッペン。』』
エリカはエンジンを吹かし、ひと際甲高い咆哮を張り上げる。
『『二番手からは、まだまだ若いもんには負けんぞという気概が感じられます。松田裕毅。』』
『そんなボクが爺さんみたいな解説はいらん!!!』
コックピット内でのたうち回る裕毅。
『『さあ、三番手です。あの伏見瀬名の息子、伏見凛がまさかの緊急参戦。私も驚きましたが、実力も途轍もないようです。開幕から表彰台圏内に入ってきました!』』
場内総立ち。
拍手が鳴りやむのは、全選手の紹介が終わった後だった。
赤いシグナルが、一つ灯った。
『さあ、注目のスタートです!私も緊張してまいりました!!!』
実況の高ぶる声。
二つ目が灯る。
エンジンの回転数が上がっていく。
レッドゾーン付近まで回した時、会場とマシン、ドライバーが一体となる。
三つ目。
絶対王者は考える。
これからどうしようかと。
ボクも繋げていく相手を見つけていかなければなるまい、と。
四つ目。
孤独だった少年と少女は、もう居ない。
それぞれの道と、愛すべき友人たちを得た二人。
それは、これからも続いていく『継承』の兆し。
五つ目、オールレッド。
最高潮に達したボルテージは、今爆ぜる。
エリカ、裕毅、そして凛。
見せてくれ。キミたちが創る、新たな時代を。
全身全霊、精魂込めて、フルパワーで。
それぞれの全力が、今火花を散らす。
ブラックアウト。
飛び出していくマシンたち。
1コーナーへと飛び込んでいく、その先に見える。
鈴鹿の空は、今日も青かった。
光速の貴公子シリーズ・完




