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Once upon a time…

むかーし、むかし。

僕が生まれる、ちょっと前。


モータースポーツ界には、伏見瀬名という名の伝説が在ったのだそうな。


彼が表舞台に立っていたのはほんの一瞬。

だから、その伝説を夢か幻だと思っている人も多いみたい。

僕も、おとぎ話だと思ってた。


でも、この世界に来て。

奥へ奥へと歩いているうちに、それが事実なのだと解ってきた。


伏見瀬名は、2030年代からの技術向上による安全性の確保を確認。

以前のような死亡事故や、重篤な怪我を負う心配がなくなった。

それは、第一線で戦ってきた彼だからこその懸念点だったのかもしれない。


2040年、伏見瀬名は新レースカテゴリーである『X1グランプリ』を立ち上げる。


X1マシンは、かつてのF1マシンを優に超えるスピードを実現していた。

最高時速は400キロを超え、まさに人類の限界に挑戦した領域。


専用のプロトタイプマシンは1500馬力のパワーに500キロ台の車重。

F1を容易に超えるダウンフォース量。

カテゴリー成立時、世界各地のサーキットでコースレコードが大幅に更新されたのは言うまでもない。


ま、それはそれとして。


太陽に手をかざし、目を細めて空を見上げてみる。

暑くもなく寒くもない涼やかな風が、僕の長い髪を揺らす。


これが年中続けばいいのに、と思ってる。


でも、この空気が味わえるのは一年のうちに二週間くらいしかないんだよね。

今僕が立っているのは、サーキットの上。


『聖地』鈴鹿サーキット。


日本全国で最も長く、複雑なサーキットだ。

X1グランプリの開幕戦が、今から行われるのだ。


鈴鹿サーキットで記録された2040年以前のコースレコードは、1分20秒台だったらしい。

それが今では、1分5秒を切る。


このカテゴリーを創った伏見瀬名は、本当にどうかしているのではないかと思う。

曲がりくねった5.8キロの距離を、1分そこそこで走ろうとは普通思わない。


まぁ…その伏見瀬名というのは。


僕の、父さんなんだけど。


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― 新着の感想 ―
読書配信へのお申し込みありがとうございます! 瀬名くんの活躍を思い出しつつ、新しいX1というものを作り出したということも驚きつつ第一話を拝読しました。 瀬名くんの息子さんが今回の主人公ということで、…
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