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拝啓 だれか様

作者: 梅雨

 しのぶは一枚の手紙を拾った。


――拝啓 だれか様

 

  今の季節はなんでしょう?

  心地よい春ですか? 日差しが眩しい夏ですか? 食べ物が美味しい秋ですか? それとも空気が澄んでいる冬ですか?


  いま、私は何をしていますか?

 

  充実した生活ができていますか?


  私のことなので、後悔しながらも前に進んでいるはずです。

  きっと。

  いや、そうであって欲しい。


  もしかして、もうこの世にはいませんか?


  そうであった場合、満足した顔で逝きましたか?


  今、この手紙を夜中に書いています。

  なんか、眠れなくなってしまって。


  この手紙はベッドの下に置いておく予定です。

  そうなると、この手紙が見つかる頃には私は亡くなっている可能性が高いですね。遺品整理で見つかるとか……。

  

  この手紙を手にとり読んだあなたは誰ですか?


  私の家族? 友達? 恋人? はたまた警察?


  読んでくれただれか様にお願いがあります。


  読んだらこの手紙を私に返してください。

  面倒だと思わずお願いします。


  この手紙を誰かに読まれたという事実を私が知ったら、きっと顔を赤くして後悔するはずです。


  恥ずかしい、と。


  ポストでも墓前でもいいです。よろしくお願いし  ます。


  敬具


    年 月 日  つかさ 


 *


ちょうど手紙を読み終えた時、本人が来た。


 「この手紙……読んだよ」

 「え……」

 「お願い通り返すよ」

 「あ……はい」


 しのぶは手紙を渡した。


 「どうしてこの手紙を書こうと思ったの?」

 「眠れない時は、いつもはしない事をしてしまうよね。これ、どこにあったの?」

 「家の前に落ちてた」

 「……そうだったんだ」


 つかさは終始、顔が赤い。


 手紙の中のつかさも、まさか手渡しされるとは思っていなかっただろう。


 最後まで読んで下さりありがとうございます。

 皆様の中の「しのぶ」と「つかさ」は、性別、年代、関係性はどのようにイメージしましたか?

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