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Next Stage

試行錯誤の勉強中です。

よろしければ感想や評価(★)をお願いします。

 アメリカ某所にあるノースタウンの空港に着いた。ゲームでは架空都市だけど、ちゃんとあることにビックリする。

 リックに続いてタラップを降りた。時差ボケはしていない、というか空の旅が快適過ぎて体調を崩す暇がなかった。

 大型ジェット機って貸切できるんだな……海外旅行に慣れていなかったのでリックに任せていたら、大型ジェット機を丸ごとチャーターして、ファーストクラス以上の最高待遇を受けながら目的地に到着した。

 広い機内でリックとワン・フー、それにメイドさんとボディガードが合わせて十名ほど、飛行機のクルーよりも少ないので、何かあればすぐに対応してくれる。

 特別に用意してくれたベットは家の布団よりも快適で、食事は最高に美味しい。お酒に合うと思ったけどそこは飲ませてもらえなかった……飛び立って少しすると機長が挨拶に来てくれて、良ければと副操縦席に座らせてもらった。操縦席から見える一面の青空とメカニカルな操縦装置に目が輝やかせていたら、リックに少年みたいだと笑われた。ううう、少し恥ずかしい。

 CAさんに「新婚旅行ですか? 素敵ですね」と言われたので、「ただの幼馴染」と正しい関係を話したら、皆さんそろってリックの世話を焼き始めた。オレと結婚するなんて冗談を言ってないで、その辺の美人を捕まえればいいのに。

 あれ? そういえば、ゲームではリックには恋人がいたよな。

 それもシリーズで一番有名なセクシー忍者。無駄に揺れる豊満な胸と際どい衣装で男性陣に大人気の白井しらい アイと恋仲だったじゃないか。アイの方が一途にリックを追いかけていて、リックもまんざらじゃないというシーンをシリーズ通して見ていた。アイの一途さと可愛さにオレもニヤニヤしながらストーリーを追いかけていた記憶がある。

 ストリートファイトが始まったのに出てこないな……出てきたらゲーム通りに進むのだろうか? まあ、本来の香織はリックの敵なんだから邪魔はしないけどさ。

 やっぱりなんだかんだ言っても男はエロ可愛いのが好きだよな。リックもどうせ……あれ? なんかムカムカしてきた……機内食を食べ過ぎたせいかな?


「俺の家族に会って欲しいのだけどいいかな?」

「えっ!?」そ、それって、顔合わせ的な何かか!? まだ、オレはリックには負けてないぞ。確かに練習に付き合っていたら、ダッシュや追撃ができるようになって、次に対戦したらかなりやばい状況ではあるけれど……

 ドキドキしながら車で向かった先は下町にある古びた道場だった。門柱には看板が掛かっており、虎神流と書かれている。

 冷静に考えるとリックの家族って、義理の兄である虎神流のりゅうと妹のユイしかいないか。

 道場に入ると1人の青年が奥で座禅を組んで精神統一をしていた。柳だ、筋骨隆々で男らしい濃い顔に短髪。どんな鍛錬をすればそうなるのか、道着の袖が破れてタンクトップに七分丈のズボンみたいになっている。

「相変わらずみたいだな、兄さん」

「お前こそ変わって……いや、だいぶ強くなったか」

「それは兄さんもだろ……」

 柳がこちらをチラッと見た。

「……まさか、他流派に鞍替えなんてしていないよな?」

「さあ、どうだろう……」

 空気が悪い。確かにオレが教えたら龍神流になるんだけど、久しぶりに帰ってきて喧嘩でもするつもりか? 

「天神撃!」、「雷神撃!」

 柳が素早く立ちがると突進技を放った、リックよりも力強く出が早い。しかし、リックもその攻撃を読んでいたようで無敵時間のある対空技で迎え撃つ。

 綺麗に『雷神撃』が入った。柳はダウンするがすぐに立ち上がって拳を突き出した。リックは蹴りで対応してお互いにダメージを負う。

「ふふふ」「ははは」

 止めようと思ったけど、二人とも笑っている。これは……

「もう、二人とも子供なんだから。そのくらいにしておきなさい!」

 さらにヒートアップしようなところを、ピンクのワンピースを着た可愛い少女が二人を止めた。中学生くらいだろうか、小さい体からは信じられないくらい大声を上げて二人を睨みつける。

「そうカリカリするなよ」

「俺達の挨拶みたいなものだからなぁ」

 柳とリックは顔を見合わせて手合わせを止めた。ちょっとばつが悪そうだ。二人とも相手の実力を試すような感じだったから、止めなくても自然とすぐに終わっていたとは思う。

「あ、ユイちゃんだ」

「えっ?」

 この子、柳とリックの妹のユイちゃんだ。3人に血のつながりはないけど、マックに拾われて兄妹として育ったはずだ。こんなに可愛いのに2作目以降はゲームキャラとしてストリートファイトに参戦する。初代の可憐な感じから、ちょっとおバカな感じに一変するので別人疑惑まで出たキャラだ。

「ええっと、どこかでお会いしましたっけ?」

 しまった、ゲームでよく知ってるけど、ユイちゃんとは初対面だった。

「あ~、え~っと……」

「……俺がユイのことを話していたからかもしれないな」

「えっ? あ、そうそう、それで知っていた気になったのかも」

 あ、危なかった。リックの勘違い? に助けられた。

「へ~ リック兄ちゃんが私のことを話していたんだ。ええっと、初めまして柳兄ちゃんとリック兄ちゃんの妹でユイって言います。ちなみにリック兄ちゃんは私のことを何て言ってました?」

「突然名前で呼んでしまってごめんなさい。リックの同級生の藤原 香織です。リックからは強いお兄さんと可愛い妹さんがいるって聞いていて、どうしても初めて会った気がしなくって」

「いいえ、気にしないでください」

 ユイがニッコリ笑った。ヒマワリみたいに明るい笑顔だ。素直で可愛い。

「さて、すっかり遅くなってしまったけど、改めて紹介するよ、彼女は香織、俺の婚約者だ」

「……フ、ヒュ~」、「……えっ、えええ!?」

「ちょっと待て、違うから! ただの幼馴染だから」

 リックはオレの肩に手を乗せると、爆弾発言を放った。おいおい、兄妹相手とは言え、言っていい冗談と悪い冗談がある。そんな言い方をしたら本気にするだろうが。

 案の定、動揺したのか柳は口笛になっていない口笛を鳴らし、ユイは両手を口に当てて驚いている。

 リックに非難の目を向ける。この空気どうするつもりなんだ、なんとかしてくれ。

「ちなみに、龍神流の後継者で俺よりも強いぞ」

「……それは聞き捨てならないな。俺とも一戦願おうか」

「いや、いや、いや」

 なんとかして欲しかったけど、そんな方向に話を変えるな。シリーズ最強のキャラとなんてたたかいたくない!


 なんとか柳との闘いを回避すると、道場の奥にある生活スペースに案内された。

 ……リックのメイドさんと一緒にしばし絶句。部屋が汚い、洗濯物が積み上がっている、食材が無い。柳は格闘にしか興味がないので他は無頓着。ユイは中学生でまだまだ若いし学校がある、多少は仕方無いとしてもこれは酷い。

 そして介護の仕事でお爺さんお婆さんに死ぬほど鍛えられたオレにはとても我慢ができなかった。

 リックのメイドさんと手分けして洗濯物を洗濯機にかけて、待っている時間に部屋を隅々まで綺麗にしていく。みんなに止められたが汚れやすい水回り掃除は全部オレがやった。

「ふぅ、満足した。」

 心地よい疲労感とやり切った達成感。みんなと一緒に一息つく、確か冷蔵庫に飲み物があったはず。メイドさんには随所で助けてもらったので、感謝も込めて冷たいジュースをグラスに注いで回った。あれ? 普通メイドさんにこんなことはしないの? みんなにすごく恐縮されてしまった。

 メイドの皆さんに色々とお願いして協力してもらったけれど、さすがはプロ。ちょっと話しただけでこちらの意図を察してすぐに対応してくれる。その上、気遣いまでできるのですごく優秀だ。

「リック様から家事が得意と聞いておりましたが、これほどとは」

「我々にも親切で指示も的確でした。家に入られるのが楽しみですね」

「若奥様には早く嫁いで来て頂かなければ」

 主人と同じテーブルには着けないと言うので、離れて休憩している。内容までは聞こえないけど、楽しそうに雑談しているみたいだから少し安心した。

 たくさん手伝ってもらったから悪口だったらどうしようかと心配したよ。


「香織お姉さんって呼んでもいいですか? 一日でも早く家に来てください」

 綺麗になった部屋と食卓に並んだ食事を見たユイが祈るようなポーズで言って来た。顔が近い近い。

「香織さんはリック兄さんのお嫁さんだから、私のお姉さんじゃないですか。それにずっとお姉さんが欲しかったんですよね」

「さっきも言ったけど、婚約者は小学生ぐらいの頃の冗談だから」

「え~ リック兄さんは本気ですよ。それにメイドさん達もキープみたいな感じですし」

 チラッとメイドさんの方を見たらうんうんと頷いている……みんな冗談が上手いな。まあ、信頼が得れたのは良かったかな?

 ユイはすっかりなついてくれたが、柳だけはオレを警戒している。そりゃあライバル流派の師範代で、香織の父は柳達の父親であるマックに敗れて行方不明中だ。リックが連れて来たといっても普通なら逆恨みして何かしでかすのではと警戒するのが普通だろう。ゲームの香織は完全に虎神流を敵視していたから、その警戒はあながち間違いでもないけれど……

 オレはゲームの知識で香織の父親が元気にしているのを知っているから恨みも何もない。父親はゲーム的にはネタ扱いで画面の端などにちょくちょく登場するような体たらくなので心配もしていない。

 それにオレからしたら、虎神流と龍神流のどちらが強いとかも興味がない。

 まあ、ゲームの知識があることを柳に言っても信じてくれないだろうけど……特に柳は過保護なくらいユイちゃんを大事にしているからな……あれ? なんだろう。何か大事なことを忘れているような……

「ユイ! 龍神流の女となんて認められんぞ」

「あっ、美味しそう。もう食べても良いですか?」

「ああ、どうぞ。食材は後でリックが補充してくれるだろうし、いっぱい食べてくれ」

 ユイが柳を華麗に無視して食べ始める。柳もお腹は空いているのか、頭を掻くと何も言わずに食べ始めた。二人とも食べるスピードが早い。日本食だが気に入ってくれたようで何よりだ。

「食材くらいなら任せてくれ……香織が俺の家に馴染んでくれて本当に良かった」

 リックはオレが柳やユイを見て驚かないか気にしていたのか……。

 ゲームで知っていたけど、大金持ちのリックの住み家がこのおんぼろ道場で血の繋がらない兄妹がいるとなると普通ならビックリするか。

 オレにとってはこっちの庶民的な方が落ち着くけどなぁ。


 夜、どこで誰が寝るかで一悶着があった。下町の古い道場とはいえ、一時期は泊まり込みの弟子がたくさんいたので部屋数はそこそこある。ただ、メイドやボディーガードまで連れて来ているので、さすがに一人一部屋とまではいかない。

 悲しいかな介護職で夜勤に慣れているオレはどこででも寝れる自信がある。布団さえあれば道場で寝ると言ったら、大反対された。次にリックとオレが同室と言われたのは全力で断った。リックが捨てられた犬のような顔をしたが、甘い顔はしない。

 その次はユイから一緒に寝ようとお誘いがあった。女性と同室っていうのも罪悪感があるけど……う~ん……悩んでいる間に柳が反対して流れてしまった。

 少し惜しいことをした気もするけど、きっと緊張して寝られないだろう。明日からストリートファイトの本番だから、今日はゆっくり寝よう。


 空いている一室を一人で使えることになったので、すぐにベッドのシーツに潜り込む。

 相変わらずオレの寝巻はサラシとふんどし……危ない、危ない、これじゃ誰とも一緒に寝れないじゃないか。

 リックのおかげで自由に使えるお金ができたけど、貧乏性なので差し迫って必要なもの以外は買っていない。

 これでも寝るのに支障がないからと放っておいたオレがバカなのだ。

 寝る前にストリートファイト参加者に送られてきた案内状をもう一度読み込む。表題に優勝賞金3百万ドルがドドンと書いてあって、その下に小さい字でルールや注意事項が書いてある。注意事項の大半は何かあっても運営は知らないよというだけなので読み飛ばす。

 期間は明日から二週間、場所はこのノースタウン内。ストリートファイト、いわゆる路上の喧嘩の世界一を決める大会なので試合のルールは特に無い。場所はどこでも良いし、反則となる行為も一切無い。一応、銃器と刃の付いた武器は禁止と書いてあるのでその辺の物……消火器を振り回してもとがめられることはないようだ。

 試合は相手を見つけて、喧嘩を吹っ掛ければ良いだけ……うん、ストリートファイトらしい。一応、試合を断ることもできるみたいだ。条件は一日に一戦終わった後の場合とあるから、強い人を連戦にして潰すということができないようにしているのだろう。怪我をしても日付が変わるまでは休めるというのは優しいと考えるか厳しいと取るかは微妙だ。

 大会なので試合は全国放送される。いつどこで発生するか分からないような試合だから、撮影はどうするのかと思ったが、支給された腕輪にGPSとドローンとの連携機能が付いているらしく、外に出ると常に1台のドローンが付いて来て撮影し、試合になると更に増えるらしい。この二週間のプライベートはほぼ無しだな。参加だけでも1万ドルって破格だと思ったけど、アメリカまでの移動と宿泊費用、怪我の心配やプライベート無しと考えると妥当かもしれない。

久しぶりに初期の格闘ゲームをプレイしました。

昔の作品は動きが遅くて、最近の展開の早い格闘ゲームに

慣れていると野暮ったく感じます。

ただ、人と対戦というよりはCOM攻略の要素が大きいので、一人で

プレイするには丁度良いです。

COM攻略メインの展開の早い格闘ゲームが出れば良いのに。

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