神の石
「今日は、祭りじゃ!神を祀る、神聖な祭りじゃ!」
ある村では、神を祀るために祭りが行われるという。
村には、街や都会の人々も訪れるように出店や花火なんかも用意される。
そんな中、二人組の男女が訪れる。
「ここの祭りって、なんか出るらしいけど、普通の祭りだよな?」
「違う違う。毎年人が1人帰ってこなくなるって話しじゃなかった?」
噂好きの所謂ミーハーな二人組だ。
「どっちでもいいけどさ。どうすればいいんだっけ」
「お祭りが終わって、日が変わる時にあの石に座るんだって噂だったはず」
やる気のない男に、目的の物に指を刺して伝える女。
適当な男に、逆に詳しすぎる女の温度差は結構あった。
「あの石は、神が閉じ込められてて、座ることで何かが起きてしまうらしいの」
「ふーん。じゃあ俺、あの石に座ってれば良いんだよね」
そう言って男は祭りを堪能した後、石に腰掛けスマホで時計を確認していた。
「後、五分だけど、なんか変化ある?」
「無い。ちょっと寒いぐらいかな」
「そこは秋だし。仕方ないかも」
そして、五分の時が経つと、スマホの画面には次の日の日付が示される。
「何も無かったじゃん。やっぱ嘘だったんだ」
「え?ほんと……?」
「何も起きて無いじゃん……って、待てよ」
女の顔は見る見る青ざめていき、ヨロヨロになりながら走っていってしまった。
男を置いて。
男は慌てて追いかけたが、触れるはずの手は空を切り、手にあった筈のスマホも無くなっていた。
最後に遠くで聞こえた女の「どこ行ったの……!」という声が男に突き刺さったという。