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奇妙な因縁の まつわる話

作者: マボロショ

終戦後すぐ、何かと、殺伐とした世相の中で、この因縁は始まります。

2022年8月12日、朝ドラの「ちむどんどん」のヒロイン、つまりは、黒島結菜が、ドラマの中で、結婚式を挙げる日でした。

そのドラマを見ながら、雰囲気が、この人にそっくりな人、以前、会った事があるぞ、と思い始めました。


私は、今、84歳。あれは、まだ、結婚前、27歳ごろのことです。


自分で恋人を作る才覚もない私は、見合いの斡旋をするのが好きな人に、斡旋を頼んでいたのです。

そしたら、最初に斡旋してくれたのが、この女性でした。

お互い、第一印象で、好感を持ちました。話を進めて貰っているうちに、丁重に断って来たのです。不思議な感じでした。なぜ、あれだけ、好意的だったのが、手のひら返しのように、態度が変わったのか!


断って来た理由が、「以前、お見合いの話があって、会わないうちに、お断りしたことがあります。その方の家と、お宅とが、ほんのすぐ傍。御本人が嫌いというわけではありませんが、ご近所付き合いする時、そういう過去が影響するかも知れないので、

今回の話は、なかったことにして頂きたいのです」と。


その言い分を聞いて、私の頭にひらめいたのは、ある家。

年ごろの男がいます。そこに、違いないと思いました。その家以外には、心当たりがありません。しかも、その家、我が家とも因縁のある家です。


私の父は、当時、国鉄と言った、今のJRの元に勤めていました。

終戦後、労働運動が激しくて、ゼネラルストライキ、いわゆるゼネストをやろうとするほど、過激でした。黙って見ていると、日本全体が共産化してしまうのじゃないかと心配したGHQが、マッカーサーの命令で、ストをやめさせました。

そういう権力側の態度に反発する労働者が下山総裁を抹殺したり、松川事件、三鷹事件のような抵抗をしたり、イヤ、そんなのは、GHQが、左翼をおとしいれるため、裏で画策した陰謀だ、という松本清張のような見方をする人もいたり、とにかく、大変な時代だったのです。

そんな時代に、中間管理職をしていたら、上からは、締め付けられる、下からは、突き上げられる、精神的に参ってしまって、それが体調にも響いて、胃潰瘍で大吐血したことがあります。洗面器に吐いていました。結局、治療、療養のため、40代半ばで、退職しました。収入のなくなった我が家では、先祖伝来の土地が多少あったので、それを担保にして、金を借りました。その相手が、例の御近所さんのオヤジでした。

借金を返せないと、担保は、取られます。

昔は、ただの畑だった所ですが、今は、高台の、やや高級な住宅地になっている所です。今の一坪くらいの値段で、何百坪も取られてしまいました。

当時、先のことは考える余裕もなかったので、目の前のカネを借りるため、どんどん土地を手放して、ウチの家族は、命だけは、つないで来た感じです。

私は、高校、大学も、奨学金とアルバイトで、しのいでいました。

父親も、回復後は働き出しましたが、収入は、ちょっぴり。それも、宗教につぎ込むような男でした。


話を元に戻します。

私も、弟も、その後、教職に就きました。そんなに、学校の成績も悪くはありません。

弟と同学年だった、金貸しの家の息子は、成績は、下から何番目くらい。

その男がいたために、私は、振られたのです。


その後も因縁は、続きます。


その男が結婚した相手は、私が結婚した相手と、ほぼ同じ年齢。

ご近所の御婦人方は、もっと年上の人ばかりでしたから、若い者同士、2人の嫁は仲良くなりました。いなかのお祭りや、山菜取りなど、一緒に行くようになりました。

そして、50年以上なりますか、ことしの初めに、あちらの嫁は亡くなりました。

こちらも、弱ってはいますが、まだ、介護は いりません。


年寄りらしく、朝ドラを見ていて、ふっと、そういう因縁話を思い出したりするのです。

60年近く、時は流れても、ふとした時に、頭の中に よみがえる記憶。

お宅にも、そんな思い出は、ありませんか?

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