運命の始まり
投稿中のやつの気分転換で作ったやつです
…今日もひどい砂嵐
私…アルはゴーグル越しに周囲を見渡すと私の乗ってきた荷台付きの乗り物…トラックと呼ばれる物、それに見渡す限りの砂に廃墟
ここら辺は色々な廃材が落ちているのだ
この星は何も最初からこうではなかったらしい、昔は色々な国や組織更には広い草原なんかもあったんだって
そうボスは語ってた
『よいしょっ…と』
私は瓦礫の下を見るために装備…゛強化外骨格゛を使って持ち上げる、今日もまた使えるもの探しだ
強化外骨格
人類が危険な状態にある場所でもこの装備だけで、活動を可能にするために作られたものだ。基本的にはピッチリとしたインナーを着てその上から外骨格を装備する。それに呼吸に必要なものや水分、果てにはペースト状の食べ物などを補給できる。
『おっ…』
これはいいものだ、金属の板…結構な大きさのものだ。おそらく宇宙船とかの外郭かな?
この星にはいろんな人間が集まる…元軍人やならず者、賞金首にはぐれものなどもここにくる
カシュッ
背中に板を固定して、他を漁ってみると出るわ出るわ
『結構な穴場かも…』
少し荷物を下ろしてくるか…
私が使っている乗り物゛MM-88゛はマークス・マルテス社製の荷台付きのトラックだ。マークス・マルテス社…通称MM社は信頼性が高く、悪路走破性の高い乗り物をよく作る
と言ってもメインは宇宙船や大型人間兵器なんかなのだが…
このMM-88は少し…いやかなり古いものだ
今ではMM型のものは200番台までのシリーズがあるのだ
『…うん?』
遠くの空が少し光った気がした
『…望遠モード』
すると外骨格のゴーグルが遠くを映した
『…あれは帝国の船…?それと共和国の船もいる…』
その光っている場所では多数の船が光を発しながら戦闘をしていた
詳しくはわからないが特徴的な船の形からしてその2国だと思った
『まあ、大丈夫でしょ…』
さてと戻るかな…
そうして、光を発する方に背を向けて乗り物を走らせる
しばらくして、大きなドームが見えてきた
それが私の住んでいる場所…名前はそのまま゛ドーム3゛幾つもあるドームの内三番目に作られたものだ
『止まれぇ!!』
合間変わらず低くてよく響く声が聞こえた、言われた通りに止まる
『IDカードを』
外骨格のポーチからカードを出しトラックの中で掲げる
『ふん…また生きて帰ってきやがったのか…アル!!』
そう吐き捨てるように言われたがゲートが開けられる
私はこのドームでは嫌われ者だ、理由…?今代のボスに嫌われているからだ。
今代のボスとは昔からの付き合いでそれこそ幼い頃から知っている、それに昔はいろんなことを共有した仲だった。けどいつのまにか異様に嫌われていたのだ。本当は前のボスの部下に他のドームに一緒に移らないかとも検討されたのだが、当時の私はここが気に入っていたのでそれを断ってしまった。また、仲良くなれることを願って…
「…(ヒソヒソ)」
「…(ヒソヒソ)」
周囲の人がトラックに乗っているのが私だと分かるとヒソヒソと話し始める
気にせずに荷物を下ろし売りに行く
(ゴロンゴロン)
扉を開けると重い音が鳴り響いた
「おや?アルじゃないか?いいもの拾えたかい?」
店主のおばさん…エルネアさんは私のことを嫌っていない人だ、本当は前の部下の人たちと一緒に移動できたのだが
『あたしは残るよ。それに心配だしね』
と言って残ってくれたのだ
「うん、エルネアさんいいの拾えた」
そう言って今日の成果を売る
「…あいつはいつまでこんなふうなのを続けるのかね」
ボソリとエルネアは誰もいないジャンク屋でただ1人呟いた
そしてそのあとドームの端っこにある自分の家に帰り眠る
これが私の日常だった
そんな、日常が変わったのはあの空の光を見てからそんなにたたなかった
その日はいつも通り使える廃材を探していた
その時だった
ドゴォーン!!!
近くで爆発音がしたのだ
『なに…!?』
音のする方によってみると砂の地面を大きく抉りながら、宇宙から墜落したであろう宇宙船があった
だが、この時の私は別のものに目をやっていた
『…外郭?』
そう抉れた地面に真っ白な船の外郭が見えたのだ
『…ハッチかな?これは…』
しかも、ちょうど入り口と思わしきところが見えていたのだ
興味本意でハッチに近づき触れてみる
『おお…なんの素材だろ…これ』
私はそれなりに廃材漁りをして長いのだが、こんな素材の宇宙船は初めて見た
そうやって触っていると…
ピッ
そんな音が鳴って
『認証完了、ハッチを開きます』
そんな音声が鳴り響いた
『へっ?』
私はハッチの上にちょうど乗っておりそのハッチが開いたので中に落ちた
ガチャンッ
『ッ!?』
いくら強化外骨格を装備しているとはいえ衝撃はそれなりにきた
『いてて…中に入っちゃった…』
上を見ると既にハッチは閉まっていた
キョロキョロと周りを見渡すと扉が2箇所にあった
『むむむ…』
右か…左か…
左にいこう
私の勘がこっちだと言っている
しばらくして…
右の扉の先を探索した私はとある部屋を見つけた
こっちがメインルーム…宇宙船の制御をする部屋だったか〜
え?左はどうしたって?
大きい格納庫があったくらいだった…そこにまさか大型人型兵器があるとは思わなかったけどね
『さてと…』
早速メインルームに入ってみると
パチン
そんな音がした後に『権限保有者を確認、本艦船はこれより権限者の指揮下に入ります』そんなアナウンス?が響いた
『対重力装置の起動を開始』
とりあえずなにが起こっているんだ…?
『酸素の注入を開始』
プシュー
周囲からそんな音が鳴り始めしばらくすると止まった
『もうそれを脱いでも良いですよ、権限者様』
と言われた、いやそれは怖いんだけど
『問題はありません《戦艦セラフィム》何千年経とうと不具合などはありません』
…戦艦?そう言う割には小さかったような…
『それは上層部のほんの一部しか見てないからですよ、権限者様』
なるほど…
『いつまで着ているのですか?権限者様?』
アナウンスの声が少し不機嫌になった…本当に大丈夫かな…
『はぁ…』
言われた通りに脱ぐか…
「確かに酸素がある…」
『だから言ったでしょう、権限者様』
う〜ん…着替えはトラックの中だな…まあインナーのままでいいか
ところで…
「さっきから私と喋っているのは誰?」
『申し遅れました』
その瞬間、私の背後の扉が開いた
後ろを見ると私よりも背が高く(だいたい180くらいかな…?)赤みのかかった白髪に青い目、今ではあまり見ない眼鏡をかけ、それに黒をメインにした上の服と長い丈のスカート、それに白いエプロンを付けて頭には白い何かを乗せていた
そして人では耳に当たる部分には半円状の機械が付いていた
「え?何者?」
「私が先ほどのアナウンスの声の主ですよ、権限者様」
そう言いながら、目の前の彼女は腰を下ろし私と目線を合わせた
「それにしても随分と小柄ですね、権限者様は」
そう言って脇に手を入れられてそのまま持ち上げられた
ひ、人が気にしてることを…!!
「い、いやまだこれからだし…」
「…絶望的では?」
…そんな即答しないでも…
「で、あなたの名前は?」
私は持ち上げられたままの体勢でそう聞く
その言葉を聞いて女性は私を下ろしスカートの裾を少し摘み上げながら、少し礼をした
「申し遅れました、私はこの《セラフィム》の制御アンドロイド、リシティと申します」
リシティ…
「なるほど〜」
「では権限者様のばんですよ」
はい?
「お名前は?」
なるほど
「アルです、その権限者ってなんですか?」
「お答えしましょう、アル様。権限者とは我々にとっての絶対的存在であり、我々を操るにふさわしい知的生命体のことです。」
…?よくわからない
「…つまりは?」
「過去に色々な権限者を見てきましたがアル様ほどの高い能力は見たことありません。正しく我々を使うに値する人です。」
あれ?無視された?
「というか能力なんていつ…?」
と呟くとリシティはキョトンとした顔をしたがすぐに微笑みを浮かべて
「…いつ、何を仰ってるのですか?あなたは我々の近くをよく通っているじゃないですか?その時にスキャンにかけてたんですよ」
「へ?」
思わずそんな声が出た
勝手に見られてたの?
「帰る…!」
「えっ!?お、お待ちください!!」
「待たない」
そりゃそうだろう、勝手に自信のことをスキャンしたかは知らないが調べられたのだ。不愉快に感じてしまうのも仕方ないだろう。
「お、お待ちk…」
「ついてこないで!!」
そう強くいうと
「…承知しました」
「…あっさり引くね?」
「言ったはずです。我々にとってあなたは絶対的存在です。あなたが否と言われてしまえば我々にとっても否となるのです。つまりあなたについてこないでと言われてしまえば、我々はいつ現れるかわからない次の権限者を待つことになります。」
そう事務的に答えた
それはつまり彼女は私の行為などに対して逆らえないってこと?
「ごめん…」
「謝らないでください。謝罪すべきは我々です、勝手にスキャンなど…失礼極まりなかったですね」
そう言って頭を深々とさげた
「いいよ…今回は許すよ。けど次はないからね?」
「!はい、承知しました!」
よし
「それじゃ、このまま待機ね?私、《セラフィム》を動かす気はないから」
「…はい」
何か考えるような素振りをしてそう返事をした
「一応、こちらを」
「これは?」
それは小さな装置だった
「そちらのスイッチを押しながら話していただくと、我々にその内容がいきます、ぜひご活用ください」
「わかった」
使う機会は結構ありそうだ
「定期的にここに来るからね」
「お見送りますよ」
「ありがと」
そうして、ハッチまで来た
「じゃあ、また会おうね」
「…お気をつけて」
真剣な顔でそう送り出された
…
……
「…権限者さま、いえアル様あなたがどう思っていようと時代は動き始めました。我々が起動してしまった時点で奴らとの激滅戦争は再開されてしまうのです。ですから…」
先程アル様が出て行かれたハッチを見ながら続ける
「頑張ってください、我々もお供いたします」
運命の歯車は回り始めた
荒廃世界ものを作ろうとしたら宇宙ものになりそうなのができたでござる_(:3 」∠)_