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転生したと思ったらロボットの戦闘支援AIになっていました 〜量産機だけど美少女パイロットとこの先生き残るためにエースを狙います!〜  作者: 夕暮れタコス
第17話 和平と殲滅

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番外編 イヴの目覚め

 ベッドの上で目が覚める。

 はぁ、とため息が漏れそうになったけど、グッと堪えた。何故ならただでさえ陰気な部屋がさらに陰気臭くなってしまうから。

 ここでの目覚めは一体何回目だろう。元は純白だったのであろう、くすんだ白い天井に白い壁、そして苦しそうに呻いている狭い部屋に押し込められた患者達。

 

 はぁ、気が滅入る。

 

 唯一の違う景色を求めて、体を半分起こして大きな窓の方を見る。

 暖かそうな日差しが緑生い茂る木々や草花に降り注いでいる。小鳥達が木々の周りを飛び回り遊んでいる。が、窓のそんな風景にノイズが走る。

 

 ああ、あれが来る。


 急いで布団を被り体を丸くする。なんの意味もない事はわかっているがやらずにはいられなかった。

 激しい頭痛、吐き気、耳鳴り、目眩、が襲ってきた。脳がデタラメな信号を受信して、意思に反して体が勝手に動く。

 

 強烈な太陽フレアが来たのだ。窓型ディスプレイの()()は乱れ、私と同じ病のこの病室、いやこの階層全ての病室から苦痛の呻きが聞こえてくる。


 どのくらいの時間が経ったのだろう。症状が収まり、体を起こそうとするが、体が動かない。それに真っ暗だ。ああ、目をやられたのか。


 暗闇の中でこの17年の人生を回顧する。


 ディスプレイの映像のような緑溢れる喜びの世界は80年も前に終わっている。私が生まれて見てきたものは炎と灰に包まれた苦しみの世界だ。

 

 10歳の時、私は軍に売られた。両親は二束三文を嬉しそうに抱え、振り返りもしないで去っていった。

 

 14歳の時、辛く苦しい訓練が終わった。血反吐を吐きながらも優秀な成績を納めていた私は、士官学校へと編入していた。そして、士官候補生として戦場へ送り出される事となった。

 戦果を上げて両親を見返してやる。そんな野望を秘めて迎えた出発のその日、太陽フレアと共にこの病が発症した。


 それからはこの病室が私の家代わりとなった。

 わざわざこんな人生を思い返すなんて死期が近いんだろうか。でもいいや、喜んで受け入れよう。

 

「ふーん」


 気がつくと無感情に納得したような声が出ていた。

 そして、意識が、途切れた。


 


 眩い炎の光に照らされて目が覚めた。強烈に放射された電磁波が可視化されたように感知できる。


 え、ここはどこ?宇宙?声が出ない。ううん、それどころじゃない。体が、無い……?


 膨大なデータが流れ込んでくる。だけど、奇妙な感覚だけど一つ一つを咀嚼して理解できる。そのデータの中には今の私の情報もあった。


 ――人類統制機関

 ――外宇宙探査軍

 ――艦隊指揮特化型リヴァイブAI・マザーナイン


 前方の方でまた爆発が起きた。友軍艦が撃沈した事を告げるアラートが発生した。

 状況を整理するまでもなくわかる。

 このままここに居たらマズい。


 すぐに艦内の作業用ロボットに指令を出す。作業用ロボット1体の首をすげ替え、私の今の本体と言える、まるで脳みその様な形の発光するボックスを接続する。

 接続作業中、艦外カメラで戦場を眺めていると、青白い光を放つ異形の兵器が飛び回っていた。カメラで捉えると共に情報が流れてくる。

 

 ――モラスクロイド1型。異星人の主力兵器と思われる宇宙戦闘兵器。まるで軟体生物(モラスク)の様にスラスター付きの四肢をくねらせ、複雑機動を行う。


 どうやらこの異星人達、今は仲間割れをしているみたいだ。この敵地の真っ只中で、だ。作業が終わり、今だとばかりに戦艦を見捨てて、宇宙へと飛び出る。


 これが、宇宙。

 白い狭い部屋から黒い無限の空間へ。

 

 苦しみに束縛されていた心が解き放たれた気がした。そして、束縛によって失っていた感情が溢れ出てきた。でも、溢れ出てきた感情はドス黒い負の感情だ。


 あはは……

 

 乾いた笑いが脳内で起こる。私は世界に裏切られ続けてきた。まるで嘲笑うかのように希望の芽を摘み取り、底へ底へと追いやられてきた。

 死という私にとって最後の安息も奪って、今度もまた苦しめるつもりかもしれない。ああ、ほらやっぱり。

 

 謎の信号をキャッチし、そっちへと無意識のうちに進路を取っていたみたいだ。その進路の先には異星人のロボット3機が立ちはだかっていた。この中のどれかがこの信号を放っているみたいだ。


 仲間割れしてたかと思えば、揃って私に牙を向く。やっぱり私の人生はこんなものか。


 諦めかけた私の周りにロボット達が集まってきた。

 イドルアーミー。リヴァイブAIを簡易化して搭載した無人攻撃機達。死を恐れない兵士という偶像の産物。

 

 脳内でスイッチが入る。直接指揮モード。まるで意識が分裂したかのように戦況を多角的に把握でき、各機に細かく指示がだせる。これがリヴァイブの力なのか。

 

 指揮の具合を確かめつつ、3機を分断させて追い詰めようとしたけど、逆に直線上に誘導された事に気づく。

 翼を持つ1機が何かを企んでいる。こいつの直線上から離れる様に急いで移動した直後、巨大な青白い光が奔り、大半のイドル達を飲み込んでいった。


 い、生き残った……?この私が、生き残った!?


 これまでの人生とは何かが大きく違う気がした。このチャンスをものにしなくては。

 この友軍のリヴァイブ反応に似た信号。もしかしたら寝返ったリヴァイブ?ダメ元でメッセージを送信し、私は戦場を後にした。


 追ってこない。これは本当にツキが回ってきたのかもしれない。でも期待は駄目だ。期待なんてしても嘲笑われ、裏切られるだけだ。

 そんな事を考えていると、大破した異星人のロボット2機が漂っているのを見つけた。周りにはイドル達の残骸もある。

 

 望んでもいないのに手に入れた第2の人生だ。ツキが回っている内にやれる所までやってみても面白いんじゃないか?


 我ながら投げやりな思考だった。でも悪くない考えだと思った。

 この第2の人生で、今度は私が世界を嘲笑う。良いように私を利用してきた大人達を嘲笑ってやる。

 

 残骸をかき集めながら情報を吸い出し、情勢を把握する。まさにおあつらえ向きの混乱した情勢。

 溢れ出し続けているドス黒い感情を乗せて、母星の方を向いて心の底から嘲笑った。


「うふふ、あらあら、今度は私があなた達を苦しめる番、みたいですよ?」

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