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「はぁぁぁあ!」
ツヴァイス代表が大剣を振り回し、小隊を相手にしている。ブーストアクスや赤熱刀、雷撃鞭を器用に捌き、一太刀、また一太刀と増設装甲など無意味かの様にダメージを与えていく。
俺達もただ眺めているわけにはいかない。残りの小隊に向けて接近する。ガトリングガンによる牽制はしてくるが、ミサイルはもう撃ってこない。撃ち尽くしたか?
「コックピットは外すよ!ここからなら何とかして要塞に戻れるでしょ!」
「了解だ、メイリア」
すれ違い様に脚のプラズマブレイドで1機の頭部を破壊。急速旋回しながら、オルタバレルの射撃とダガーの投擲でさらに2機の頭部を破壊。
「ふぅっ、フィア、ありがとう。凄いよ、思ったとおりに動けるよ!」
「メイリアの成長の賜物だよ」
頭部を失って機能停止したレッドアイ達を要塞に向かって押し出しながらそんな会話をしている内にツヴァイス代表の方も決着がついた。
きっかけはツヴァイス代表が1機の武器を持った腕を破壊した事だった。
攻撃の手が緩んだその瞬間に、大剣を投げ捨ててウェポンラックから2本の剣を取り出した。
大剣の切っ先に気を取られていた敵は、投げ捨てられた大剣へと視線を誘導され、その隙に双剣の剣戟で瞬く間に機能停止へと至った。
「あのマント、見た目のハッタリだけじゃなくて、どんな武器を持ってるか、取り出すのか、をわからなくさせるための物なんだね」
「そうみたいだな。あのスピードで武器を替えられたら反応が追いつく気がしないよ」
「呑気に私の分析をしている場合ではないぞ。また敵勢力が来る」
拠点防衛用装備のレッドアイ、12機
ドロンズ、60機
イエロノーズ、14機
アッシュレッグ、8機
この大群が要塞のいたる所から一斉に現れた。
「しまった!高速船が狙われている!」
半数のドロンズが高速船へと向かっている。迎撃に行きたいが、他の敵機が邪魔で間に合うかどうか。
「ラハラ、シシ!まだなのか!?」
「認証、ラハラ・ラインラーク」
「認証、シシハナ・サバナ・ラシュメール」
「「アクロマティカ、起動」」
2つの光が高速船から飛び出す。
「待たせたな。こいつらはちょうどいい肩慣らしになりそうだ」
「機動力がぜんぜん違う。それに、火力も!」
2つの光が尾を引きながらドロンズの群れへと突入する。光が通過した後には爆発が発生し、レーダー上の敵の反応が瞬く間に減っていく。
「すごっ!」
「あれがアクロマティカか」
仕掛けてくる敵を捌きながら2機のアクロマティカと合流した。その姿を見てテクノラ代表の解説を思い出す。
ALOF-NA7 アクロマティカ
クーリアを小柄にした体躯ながらも、各関節に取り付けられたリング状の電磁界制御機によって、まるで見えない筋肉の鎧が外付けられている様に力強く、電磁界フィールドによって防御力も向上している。
さらに腕と脚のプラズマスラスターもフィールドとの干渉によって推進力が向上。特に背部のメインスラスターを潜らせるように設置された大型リングの効果は絶大で、フェザーユニットに並ぶ加速、推進力を発揮する。
プラズマを纏い、光を放つ各部のリング。特に背部のリングは一際輝き、荘厳さを醸し出している。
4機のアッシュレッグが迫りくる。
ラハラ機のアクロマティカ専用ライフル、プラズマフィールドライフルの先端のリングが光を放つ。
銃口の先に磁界のレンズが発生したのを観測した。
「フィールドライフル、広域射いくぞ」
磁界レンズを通してビームが加速。さらに拡散する。撃破には至らないものの、4機のアッシュレッグにダメージを与え、動きを鈍らせた。
今度は収縮射、細く絞られたビームがアッシュレッグ2機を貫通した。
「隊長、使いこなしてますね。でも私だって負けてないですよ!」
居合の様にソードを構え、瞬間的な加速で接近。腕部スラスターとフィールドの干渉を利用して、目にも留まらぬ速さでソードを振り抜いた。続けてもう一太刀。一瞬で2機を両断した。
「ふむ、早速使いこなすとは流石だな」
「私達も負けてられないね!」
「ああ、こいつらを片付けて早くイヴを――」
「……システム、掌握……」
それは通信から流れてきたノイズまみれのイヴの声だった。周囲の無人機達の動きが止まる。
「おい、なんだ?」
「今の声ってイヴ?」
「まさか、イヴの目的って!」
「要塞の奪取か……!何をする気だ、イヴ!」
「うふふ、そうです、この要塞は私が貰いました。あなた達と戦うつもりはありませんから、帰っていただけませんか?」
無人機達が動き出す。動きが違う。この動きは艦隊戦の時の、イヴが操っていた時の動きだ。
俺達を無視してレッドアイ達に襲いかかる無人機達。混乱したレッドアイ達が損傷を負っていく。
「助けようっ!」
「ああ!」
3機が同時に動き出す。レッドアイに群がる無人機に攻撃を仕掛ける。
「何事かわからんが、有人機を助けるという事か。貴君らには返しきれぬ借りがある。助力しよう!」
ツヴァイス代表も駆けつけ、困惑するレッドアイ達を守る。
「ふーん、あなた達の意思は固そうですね。仕方ないですね」
要塞から数百に及ぶ無人機が出てきた。さらに無人機から逃げるようにシャトルやレッドアイが出てくる。
「くそっ!出し惜しみは無しか!俺達だけじゃこの数は守りきるどころか、こっちがやられちまう!」
「ふふ、隊長ほどの人があれに気づかないなんて、焦り過ぎですよ」
そう言ってシシが無人機達へと立ち向かっていく。可笑しそうに笑うツヴァイス代表と俺達もシシに続く。
「後ろを見てくださいよ、隊長」
「ラハラ、俺達だけじゃないぞ」
「みんな〜、無事!?いつまでたってもマーキングガンの反応が来ないから心配しちゃったよ〜」
「ははは、君達の艦長殿はとても寂しそうにしていたぞ」
この声はデスト艦長だ。
「それはもう笑っちゃうくらいにね!さあ、連合軍のみんな、何やら盛り上がってるわよ!準備はいい!?」
ヨルカ代表が鼓舞する。ハロンナの両翼に同型艦が1隻ずつ。さらにその後ろには無数の戦艦を引き連れている。
「第410艦隊所属、新カルコゲン臨時艦長のイナリハだ。お前達、よく頑張った。そして、待たせたな。さあ、アンビー艦長、号令を」
「はいっ!第410艦隊所属、ニクトゲン、カルコゲン!臨時招集特別ALOF隊、出撃、どうぞ!」
「了解!ランフェンでクーリア・オグレス、発進します!」
「ルナン、クーリア・スターマイン、出るね」
ニクトゲンから見慣れた2機が発艦した。
「儂らもいくぞ。宇宙は久しぶりじゃ!グレイン・ブレイカー、我はヌバナ!」
「いやっほーう!ラピ、ホワイテス・ステッパー!レッツゴーっ!」
「賑やかだな。こちらブル。クーリア・マルチレッガー、参る!」
カルコゲンからさらに3機。
そして、後ろの戦艦からも続々とALOFが出撃している。
その無数の青白い光を見てメイリアがグッと力強く操縦桿を握りしめた。




