表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したと思ったらロボットの戦闘支援AIになっていました 〜量産機だけど美少女パイロットとこの先生き残るためにエースを狙います!〜  作者: 夕暮れタコス
第15話 仲違いと仲直り

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

82/100

15-4

 クーリア内の全システムにアクセスする。

 

 機体稼働システム、操縦システム、武器管制システム、パイロットバイタル監視システム、センサーシステムなどのあらゆるシステムを戦闘支援用AI、つまり俺を経由させる事で1つに繋げる。

 

 今までは機体の操作システムに干渉して()()していた。

 だが全システムを俺の中に集中させた今は、まるで機体が自分の身体のように感じられ、動かせる。

 さらにこれまでの活動から得られた多種多様な戦闘や経験、行動の結果をデータとしてまとめ、まるで機体中に神経を張り巡らせるかのように各所へと送信する。これにより特定の事象に対して、人間でいう所の反射反応が可能になるはずだ。

 

 機体を自分の物とした。

 だけど操縦はあくまでもメイリアがメインだ。彼女の経験と操縦センスをフルに発揮できる環境を作る。それこそが俺の仕事だ。


「待たせたな、体調は大丈夫か?」


「うん、もう大丈夫!」


 メイリアの身体データから無理をしているわけでは無いことがわかる。

 内部カメラから見る表情の変化、目の動き、瞳孔の開き、パイロットスーツから送られてくる筋肉の緊張と収縮、パイロットの健康管理用のブレスレットが知らせる脈拍や血圧の変動。

 これまで見てきたメイリアの全てから次にメイリアが何をしたいのかを予測する。


「私達も行こうっ!」


 そう言ってペダルを踏み込み、前進を始める。

 

 それは秒数で言えば2秒に満たない短縮だ。メイリアの操縦を予測して予備動作を終わらせておく事で動き出しをスムーズにし、操縦におけるタイムロスをほぼ無くした。

 地味な効果だが、メイリアの真骨頂、近接戦闘においてその真価が発揮されるはずだ。


「え、なんだろう。動きが滑らかというか、私の思いについてきてくれる。フィア、何したの!?」


「少しシステムをイジっただけさ。俺は戦闘支援AIだ。今後はメイリアのサポートに全力で回る!好きに暴れるんだ、メイリア!」


「オーケー、フィア!なんだかわからないけどっ!やれそう!!」



 パキンッ!と金属が折れる甲高い音が響いた。角で弾かれたツヴァイス機の槍が柄で折れて、空中を舞っている。

 ドヴァが不気味な笑い声をあげ、近づくラハラ機を尻尾で払いのけながら、ガルムヴルドのその口を開かせる。

 口の中に見えるのは大口径の機関砲の銃口だ。


「くっ!」


 ツヴァイス機が持っていた直剣を投げ捨て、その手でマント代わりにしていた布を剥ぎ取り、ガルムヴルド目掛けて投げつける。そして、ウェポンラックをパージし、身を低くして銃口から逃げるように回避行動を開始した。

 

 視界を布で覆われたガルムヴルドが当てずっぽうの射撃を開始する。横から接近する俺達に気づかないで、だ。

 

「ウヒャアアアア!アッ?」


 奇声をあげながら銃撃するドヴァだったが、俺達が攻撃する直前にこちらに気づいたようだ。野生の勘か。だが、銃撃に夢中になっていたせいか、反応が遅かった。


「口をっ!閉じてなさい!」


 下顎に膝蹴りをお見舞いして口を閉じさせる。安全装置が作動したのか、銃撃は止んだ。

 膝蹴りと同時に散々苦しめられた角を右手で掴む。


「プラズマパイルッ!」

「最大出力、射出」


 メイリアの要請と同時に残り少ないエネルギーをたっぷりと使ったプラズマパイルを放った。これくらいしないとあの角は折れそうになかったからだ。

 

 目論見は成功し、閃光とともに角が折れて吹き飛んだ。


「アアア!?」


 怒りとも驚きとも判別つかない声を出して、大きくバックステップをしながら空中で体を旋回させて、尻尾で薙ぎ払ってきた。

 脚を大きく開き、前傾姿勢で身を最大限屈めながら装輪駆動で接近する。

 

 尻尾が頭上を掠めても気にせず、右手でダガーを持ち、着地の瞬間を狙って関節部に斬りかかる。

 が、ブースターを使って着地のタイミングを早めてきた。3本足での無理な体勢での着地をしながらも左前脚の爪でダガーを受け止められる。さらに大きく押し返された。


「嘘でしょ!あの体勢で押し返すなんて!」

「こいつさらにパワーが増してないか!?」


「化学燃料を惜しみなく使う事で、機体負荷を無視して一時的に出力を上げられる。ドヴァの理性が失われ始めた事で負荷の事など考えもせず、ひたすら力を増大させているのだろう」


 そう解説しながら落ちていた角を拾い、体勢を崩しているガルムヴルドに向けて投擲の構えを取っているツヴァイス機。


「もう、私が、楽にしてやろう。ドヴァよ」


 そう言いながら、こちらも機体負荷を気にしないで思いきり投擲する。


「ダメっ!」


 ツヴァイス代表の悲壮な呟きにメイリアが苦しそうに声を出す。だが、既に角は胴体目掛けて投擲されてしまっている。ツヴァイス代表の事だ。そこにコックピットがあるのだろう。

 

 俺とメイリアには止めたくても、もう止められない。だけど俺達以外にも止めたがっている奴がいた。


 一発の弾丸が突き刺さる直前の角の軌道を逸らした事で、角はガルムヴルドの後脚の付け根へと刺さった。


「何をしている、ラハラ!」


「ップハァ。ああ、くそっ。ただでさえ今日は思考加速使い過ぎて頭痛いんだぞ……。代表、言っただろ、殴りたい奴がいるって」


 後脚をやられてうまく立ち上がれないガルムヴルドへとメイスを持って近づくラハラ機。


「俺はコイツに死や拷問だなんて、そんな生温い復讐を望んじゃいない。まず一発殴らせろ。そして、償え。何をしても生き返らないアイツ等の事を、考えて、ただひたすら考えて、償え」


「グアアア!」


 苦しそうな叫びと共に薙ぎ払われる尻尾を軽く払い除け、メイスを振りかぶる。


「そのためにはまず、そいつから降りて、何としても正気に戻ってもらわねぇとな」


 亡霊による怨念の篭った一撃を頭に喰らい、狂狼は大人しく地面に伏した。


「お前達……。本当に世話をかけたな。感謝する」


「良かった!代表もきっとシシちゃんとスズちゃんみたいに仲直りできますよ!」


「ふふっ、そうだな。帰ったら彼女達に仲直りの秘訣でも聞いてみるとするか」


 

 ガルムヴルドを解析し、動力が止まっている事を確認してから静かにコックピットを開ける。中にはケーブルで繋がれたドヴァがグッタリとして座っていた。

 その姿を見たツヴァイス代表は悲しそうな顔をしてドヴァの顔を撫でる。


「私達は何処で道を(たが)えたのだろうな。私はずっと、お前が同じ道を歩んでいると思っていたよ。いや、その思い違いこそが原因かもしれぬな」


 そう言いながら優しくケーブルを外していく。


 ドヴァをツヴァイス機に収容していると、ラピから通信が入った。


「ツヴァイス様ーっ!大丈夫ですかっ!?」


「ああ、こちらは大丈夫だ。今戦いを終わらせて、ドヴァを回収した。そちらは大丈夫か?」


「3人ともボロボロですけど僕達も大丈夫ですーっ!サバナの警備隊が来てくれたので悪人達の面倒は任せて帰還しますっ!」


「ああ、そうしてくれ。3人とも、ご苦労であった」

 

 気がつけば日が傾き始めていた。茜色になりゆく空を見ながらメイリアが大きく伸びをする。


「ん〜っ!私達もシシちゃんとアンビーちゃんの所に帰ろっか!」


「ああ、そうだな!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ