表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したと思ったらロボットの戦闘支援AIになっていました 〜量産機だけど美少女パイロットとこの先生き残るためにエースを狙います!〜  作者: 夕暮れタコス
第15話 仲違いと仲直り

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

81/100

15-3

 乾燥地帯を抜け、真昼の太陽が照りつける平原を指定のポイントに向かって走っていると、次第に大きな黒いコンテナが見えてきた。

 緑生い茂る平原のど真ん中に日光で黒光りする黒いコンテナだ。相当目立つ。さらに、大きな電源設備も見えるし、様々な機器が太いパイプでコンテナに繋がっている。それらが余計に異様な雰囲気を醸し出している。


「あそこに……いるのかな?」


 メイリアが緊張しながらぼそりと言う。


「だろうな。何かの実験施設か?」


「また実験の産物が出てくるかもしれねぇな。代表は検討つくか?」


「……先程のクーリア達を生体接続操作だと言ったであろう?以前、ビーストルでもALOFに代わる機動兵器を作ろうとしていた事がある。そこで注目されたのが生体接続操作だ。名の通り機体と人体を神経接続して操作するのだが、先の戦闘でわかったと思うが、バーサク状態との相性が非常に良い。そこから機体コンセプトが決定し作られたのが――」

「このガルムヴルドだ。兄上達の方から来てもらうとは、ご足労をおかけしたね」


 黒いコンテナが煙を上げ、四方に開いていく。一斉に止まり、警戒して身構える。


「操縦者の本能を強制的に呼び起こし、暴れさせる。ただ、制御ができなくてね。それに倫理だなんだとウルサイ連中も多かった。この研究の先に本能を制御する術があるとも知らずに凍結された計画さ」


 煙が晴れるといくつものケーブルに繋がれ横たわる、巨大な一角の黒い狼が姿を現した。

 その体は滑らか甲殻と装甲に覆われているが、生物ではなさそうだ。関節部には油圧シリンダー等の駆動系部品が見え隠れてしているし、背中や四肢の付け根にはロケットブースターが付いている。

 ケーブルが外れ、機体側に残った接続部がまるで毛並みのように光を反射する。

 ゆっくりと体を起こしながら機械的な黄色く光る眼光をこちらに向ける。それと同時に頭部に付けられた見覚えのある刀剣のような角が視界に入った。


「ねえ、あの角って……」


「ああ、君達がこの星に来て最初に戦った凶獣の角だよ。凶獣の体はなかなか優秀な生体パーツになるのでね。せっかくなので各部に使わせてもらったよ」


「んな事はどうでもいい!お前がそれに乗っているのか!」


 ラハラが怒りを込めてライフルを向ける。

 昨晩のドヴァとはどこか違う、薬物を使っているかのような危うげな高揚を言葉の端々に感じる。その様子に悲壮感を露わにしてツヴァイス代表が訴えかける。


「ドヴァ、いったい何をしているんだ。やめろ……、やめろッ!」


「あははっ、いやいやぁ、本能に身を任せるというのは気持ちの良いものだなぁ、兄上。ああ、今すぐ君達を引き裂きたい。だけど駄目だ。それじゃ獣だ、あはっ!」


「ドヴァ、あんたはいったい何がしたいんだ!」


 ますます異常を呈していくドヴァの様子に堪らず叫んでしまった。


「はぁ?頭の悪いAIだなぁ。さっき言っただろぉ?私は知力が武力より優れているのを証明するのだよ。知力を持って本能も制す、それがこの現代科学で蘇ったガルムヴルド、だ!」


 距離は十分にあいていた。だがブースターを点火、さらに四肢の脚力により一瞬で距離を詰めてきた。首を振り、鋭い角で斬りつけてくる。


「はやっ!」


 異様な雰囲気に呑まれず、全神経をガルムヴルドに集中させていたメイリアにより、間一髪、回避できた。

 俺達を通り過ぎ、減速しながら旋回する奴に向けてサブアームでアサルトライフルを持ち、射撃する。一瞬遅れてラハラも加勢する。


「ひゅ~、やるじゃないか!戦闘慣れしてるとはこういう事か。私は体が弱く、戦闘はからっきし駄目でね。ALOFもろくに扱えなかった。それがどうだ、この機体!風のように速く駆け、弾も見える!危険も細胞が知らせてくれる!ああ、全能感!」


「機体に呑まれ始めてるようにしか見えないよっ!」


 また言葉の終わりと共に角の尖端を向けて疾走してくる。銃撃を続けるが、前面装甲は厚く強固で、角度もついているためか弾丸が弾かれる。

 左右どちらに避ける!?動きを読まれたら終わりだ!


「――ッ!」


 ドヴァの短い吐息と共にガルムヴルドが急減速、跳ねる様に後退する。

 その一瞬にも満たない後、ガルムヴルドがいた所に向かってツヴァイス機が柄の長い武器を振り下ろした。あれはハルバードと言われるものか。

 地面に刺さったハルバードをそのままに、マントを翻し、腰のウェポンラックから両手で何かを取り、そのまま流れるような動作で投擲する。


「さっきのは肝が冷えたね。だが、クナイなんて――」


 首を振り、角で、投擲された物、2本のクナイを余裕ぶって叩き落とすガルムヴルド。

 だが、首振りで視界がブレた隙にハルバードを手に肉薄するツヴァイス機。先端の槍を突き出す。それを横っ跳びで回避するも、先でラハラ機がメイスを振りかぶり待っていた。


「チィッ!」


 狼の尻尾と言うには長く大振りな多関節の尻尾でメイスを叩き、狙いを逸らす。

 地面を叩いたラハラ機に向けて、1本鋭く外側に突き出た前脚の爪で斬りかかろうとする。


「させるかっ!」

「やらせないよっ!」


 両手のワイヤーアンカーでその脚を絡め取り、動きを阻害する。

 ラハラ機は一旦距離をおき、ツヴァイス機は今度は槍を取り出し、突きを繰り出す。


「クソッ!貴様らぁ!」


 ドヴァの怒声が響く。と、共にガルムヴルドの出力が上昇した。


「やばっ!ワイヤーが引っ張られる!」

「サブアーム、ダガー装備。ワイヤー切断するぞ!メイリア、奴の動きを注視しててくれ!」


 数秒かかりワイヤーを切断した。引っ張られないように突っ張っていた力が解放され、僅かに体勢を崩す。


 黒い塊がモニターいっぱいに映っていた。


「フィア、く――」


 機体にかなりの衝撃。派手に転倒する。なんとかコックピットへの直撃は避けたが、機内にダメージ警告が響く。左肩の付け根を角で抉られ、左腕を持っていかれた。それにエネルギータンクも1本損傷。それを切り離す。連戦によりただでさえエネルギー残量が心許なかったのに。しかし、それよりも……。


「メイリアッ!」


「大丈夫か!?メイ、どうした!?」


 機体ダメージは抑えたものの、コックピットへの衝撃はどうにも出来なかった。メイリアが気を失ってしまったのだ。


「いっひゃぁぁ、惜しかったなぁ!あっはー!なんだこれは、チカラ、ミナギル」


 ラハラが牽制射撃をしてくれている間に起き上がり、体勢を立て直す。

 槍と直剣を持ったツヴァイス機がガルムヴルドと凄まじい格闘戦を始めた。一切の無駄のない流れる動きで互いの武器を弾き、逸し、封じている。


「バイタルチェック。脳震盪のようだ……」


「メイリアが起きるまで機体をあまり動かすな。我々で時間を稼ぐ。いや、仕留めてみせる」


 自分が情けなくなった。

 俺を思い、ここまで連れてきてくれたメイリアにダメージを負わせてしまった。

 

 今、目の前で戦っている2機、いや、ラハラも的確な射撃でツヴァイス代表を援護しているから3機か。

 彼らの戦いに俺はついて行けるのだろうか。実際、ガルムヴルドの攻撃は俺にとっては避けられるのかわからない。1撃目はメイリアの集中力と反応速度で助かった。2撃目だってツヴァイス代表の援護が無かったらどうなっていたか。

 

 俺は自分を知って何がしたかったのか。ただ納得したかったのか?それもあるが、それだけじゃない。

 

 メイリアと平和な世界で過ごすため。


 そのためにはこんな所で負けていられない。まだ宇宙にはアウターローバの軍勢もいるんだ。もっと、もっと強く。機体の強化に頼りっきりではダメだ。俺自身が強くならなくては。メイリアを護るAIとして!


 2人が時間を稼いでくれている間にメモリー内にあるこれまでの全戦闘データを見直す。

 俺なりの戦い方。観測とデータ収集、そして分析。だが、圧倒的スピードを前にそれらを処理していたのでは遅すぎる。もっと1度に、アンビーの操艦システムのようにまとめられたら……。


 明かりが灯るようにアイディアが浮かんだ。


「ふふ、俺はAIだもんな」


「ん、フィア……」


「メイリア、大丈夫か!」


「うん、ごめん。気を失ってた」


「こちらこそすまなかった。少し待っていてくれるか?」


「うん?何するの?」


「第4世代戦闘支援用AI、フィア。機体全システム、掌握」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ