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メイリア達の母艦ハロンナ。
出撃の時はそれどころじゃなくて姿を見てなかったので、ボロボロの状態で仲間に引っ張られながら初めてその姿を確認した。
新幹線を上下に少し潰したような鼻の伸びた細長い船体、上部にはこぶのようにALOF用の格納庫とカタパルトがついている。船体の両脇に大きな円盤が付いていて、その円盤と船体の隙間にはパイプを半分に切ったような半円の物が左右1つずつ格納されているのが見えた。
あっ、なるほど、円盤部分はレーダーか。ハロンナは遊撃斥候艦。斥候、つまり偵察。あの巨大レーダーでアウターローバの巣を見つけるわけだ。
そんな分析をしている間に着艦。自力で立てないので仲間2機に格納庫に寝かせてもらったので凄く楽だった。
「あ、そうだ。フィア、私の個人携帯端末にアクセスできる?私の携帯にはAIのパイロットデータ収集用アプリが入ってるから、それを経由すればコクピットに居なくてもお話しできるかも」
「ああ、見つけた。こんな所で1人は寂しいからな、相手をしてくれると助かるよ」
「えへへ、私の方こそ相手してくれると嬉しいな」
いい子だなぁ、としみじみ感じている時、ラハラ隊長が機体から降りようとしているのを見つけた。いったいどんな人なのか。
はい、声の想像通り、ダンディなオジサマ。口髭と顎髭ともみあげが繋がっているけど手入れが行き届いてるようで暑苦しさは感じない。顔立ちもなかなかイケメンだ。データは、ラハラ・ラインラーク、アマナ星出身、34歳。
お、次はシシハナさん!
シシハナ・サバナ・ラシュメール、ビーストル星出身、21歳。
声のイメージだとスラッと背の高いクール系。実際はというと…!スラッと長い脚!無駄がないけど出る所は出ているボディ!猫科を思わせる迫り出した鼻!側頭部から生えるもふもふした耳と、もふもふふわふわした長い髪の毛!ライオンを思わせる鋭い眼光!
えっっ!
「ちょちょっとメメイリア」
「え、え、何どうしたの!?」
「シシハナさんライオンさん?」
「な、フィア何言ってるの?あ、もしかしてフィアの世界には獣人がいなかったとか?」
「ハジメテミタヨ」
驚きすぎて機械的音声になってしまった。
「シシハナさん達の星、ビーストル星はね、環境がとても厳しくて、広大な土地があるにも関わらず人類の生息域はほんの少ししかなかったの。だから生息域を広げる目的で各地域の厳しい環境に住む生物の遺伝子を自分達に配合して、地域毎の環境に適応していったの」
なるほど、その結果が獣人なのか。
メイリアが行かなきゃ、とカメラに手を振り降りていった。その姿をカメラで追いかける。
シシハナさんがメイリアに走り寄ってきて抱きつく。声色からだとあまりわからなかったけど、メイリアの事をかなり心配していたのだろう。互いの手を取りあったまま話しをしている2人に、ラハラ隊長が近づいてきてぽんぽんっと、メイリアの頭を優しく撫でて何か言葉をかけ、メイリアも笑顔で応えている。そのやりとりには3人の確かな絆を感じることができた。
会話の内容を聞こうと思えばメイリアの携帯を通して聞く事ができたけど、なんだか盗み聞きみたいで気が引けた。いや、違うな、あの輪の中に入りたいという羨望を自分の中に感じる。羨ましいから聞きたくないんだ。
いつかあの輪の中に入れる日が来たらいいなぁ……。
「よーし、まずはAIのチェックとアップデートの再開だな。無茶してくれちゃって……。でもほんとよく生きて帰ったよ、メイリアちゃん」
感傷にひたっていたら、いつの間にか機体近くに出撃前に見たおっさんがいた。遠くからメイリアが「整備長お願いしまーす」と大声で言いながら手を振っている。この人が整備長のようだ。お世話になります。
手際良くコードを機体に繋げていく整備長。ん、アップデートとかしちゃって大丈夫かな?ひたっていた感傷もどこかへ行って、不安の嵐がやってきた。ちょっとまって心の準備が「システム、メンテナンスモードに入ります。AIをシャットダウンします」……………




