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転生したと思ったらロボットの戦闘支援AIになっていました 〜量産機だけど美少女パイロットとこの先生き残るためにエースを狙います!〜  作者: 夕暮れタコス
第13話 理性と獣性

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番外編 ラハラの追憶1

「うおーっ!かっけぇー!」


 重苦しい扉が開くと共にALOFのその巨体が間近に現れ、思わず声を上げて駆け寄った。少し灰色がかった白で塗られた滑らかな装甲。その滑らかな装甲の合間、つまり関節部にシルエットのメリハリをつけるかの様に直線で形作られたプラズマ制御機が黒く鈍く光っている。従来の機体と比べるとシャープでスマートな印象を受ける体躯。裏に回り込むと、制御機のエアインテークが黒い大きな口を開けている。スラスター部が綺麗な所を見るにこの機体は新品だと思われる。耳を澄ますと小さく低い唸りのようなバッテリー稼働音が聞こえる。このALOF、スタンバイモードのようだ。


「ALOF-NA5、ホワイテス。全体的な性能アップはもちろんだが、特筆すべきは、サブスラスターユニットの小型化及び性能アップ。これにより前面投影面積を減らしつつ、より変則的かつ高速な機動を可能にした100年に1度の傑作機」


 3人しかいないクラスメイトの1人、ドマが物知り顔でこっちに向かって歩いて来ながら解説している。でもこの解説文は……。


「ドマ、それ月刊ALOF野郎の紹介文だろ?」


「げっ、ラハラも読んでたのかよ」


「ったりめぇだ。というか、宿舎の本棚にある本なんだからドヤ顔で解説はなかなか危険だぞ?」


「うるせっ」


 ニヤケながらドマが小突いてくる。俺もそれにニヤケながらやり返す。博識キャラを気取っているが学校の皆の評価は憎めないお間抜けキャラ。そんなドマ、ことドマーニとはもう6年も寝食を共にしていて、親友と言ってもいい仲だ。

 俺がラインラーク軍事学校に引き取られたのとほぼ同時期にやってきた。引き取られた理由もほとんど同じだ。父は戦死、母は病死。アマナではよくある話ではあるけど、そんな境遇で同年齢の同時期に同じ場所で暮らして仲が良くならない方が稀なんじゃないか。


「ちょっと!男子ー!キャロラペさんが困ってるよ!ちゃんとして!先生もしっかり注意して下さいよ!」


 クラスのまとめ役であるリリ、ことリリアンが大声で叱りつけてきた。先っぽがくるんっと一回転しているポニーテールがトレードマークの気の強い女子だ。

 ちなみに俺達は今、アマナ星近郊にある元アマナ軍の宇宙ステーション型基地、現在は連合軍所属なのだが、そこにラインラーク校の生徒として15歳クラスの3人と引率の先生1人で見学に来ている。キャロラペさんは今日の案内役の優しそうなおじさんだ。


 ラインラーク軍事学校は6歳から17歳までの学年がある。どの学年も最大3人の1クラスのみ。18歳になると軍に引き取られるのだが、その前準備というか心の準備として、15歳クラスは毎年の恒例行事でこの基地の見学に訪れる事になっている。


「ったく、恥ずかしいな。大声出さなくてもいいだろ」


「なんだ〜、ラハラ照れちゃったのか〜。麗しのリリ様に呼ばれてるぞ〜」


「はぁー!?うるせっ!」


 照れ隠しでちょっと強めに小突く。ドマの言う通り、俺はリリに気がある。リリが学校に来たのは2年前。それまで同級生はドマだけだった。気丈に振る舞ってはいるけれど、両親を失った心の傷がまだ癒えていない。そんなリリが編入してきた事で、俺とドマの日常は様変わりした。傷を癒そうとわざと2人のバカにリリを巻き込み、その様子を逐一観察していた。最初の頃は相手にされないか、本気で怒るか、日によって感情の振れを感じた。だけど次第に怒りつつも笑顔が見られるようになり、それが日常となった。そして気がつけばそんな日常の笑顔に心惹かれていた。


「ああ、君達が毎年恒例だという見学の学生か。僕の卸したての機体にイタズラしないでくれよ?」


 不意に声をかけられ、ハッとなる。無意識にリリを見つめていた。幸い、リリは先生と話しを、ドマは機体を見ていたので気づかれてなさそうだ。声の方を見ると、なんだか嫌味ったらしい微笑みを浮かべた男が近づいてくる。


「イタズラって、そんなガキじゃないんですけど!」


 よく言うよ、と思いつつ口には出さないでおく。


「ははは、本当か?彼女の気を引こうと機体に乗ったりしないでくれたまえよ?」


「あいつの気なんか引きたくないですよ」


「よく言うよ」


 ドマがニヤケながら茶々を入れてきた。くそっ、こいつめ、覚えてろ!


「オニオ、何してる!早く乗り込め!実機テストの行列が出来てるんだぞ!」


 話しかけてきた男、オニオが焦った様子でタラップを登る。

 このホワイテス、次期主力機としてロールアウトしてから2年半経つが、なんせ連合軍になってから軍としての規模が大きくなり過ぎたため、配備に時間がかかっているそうだ。ようやくこの基地にも配備が始まったようで、その運用テストで慌しいみたいだ。


 少し羨ましく思いながらタラップを登るオニオを見ている。学校では実機練習はさせてくれない。あれに乗るのは早くてもあと3年か……。


「おーい、ラハラ、いい加減行こうぜー」


 いつの間にかリリ達と合流していたドマが呼びかけてきた。


「おまっ、いつの間に!今行く……なんだ!?」


 ドマ達の方へ向かおうとした途端、地面が揺れた。


「う、うわぁぁああ」


 タラップを登っていたオニオが落ちてくる。


「おい!大丈夫かよ!」


「あ、足が……痛い……」


 駆け寄って見たけど軽症のようだ。それよりも!


「襲撃だーっ!」


 また地面が揺れる。それもさっきより激しくだ。


「ラハラ君、早くこっちに!きゃあ!」


 整備用ハンガーがリリ達と俺の間に倒れてきた。乗り越えようと思えば行けるけど、また揺れが来たらと思うと出来なかった。


「くそっ!おーいっ、ラハラ、早く避難所へ行け!」


 ドマが大声で言う。周りの喧騒とは打って変わって、頭の中は不思議と冷静だった。

 

「大丈夫か!?怪我人は大人に任せて避難するんだ」


 パイロットスーツを着た狐の獣人が話しかけてくる。ああ、傍から見たらオニオを心配して動けなくなっているように見えるのか。また揺れる。それも更に強く。遅れて爆発音も聞こえてくる。ふと、上を見る。幾度の揺れでも悠然と立っているホワイテスと目があった気がした。


「何を考えている、やめろ!」


 俺が動き出すより前に獣人が怒鳴る。だけどもう止まれない!


「俺がみんなを守るんだ!」

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