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転生したと思ったらロボットの戦闘支援AIになっていました 〜量産機だけど美少女パイロットとこの先生き残るためにエースを狙います!〜  作者: 夕暮れタコス
第13話 理性と獣性

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13-5

 西洋風と言えばいいのだろうか、綺麗な白塗りの壁に立派な飾り窓が映える2階建てのお屋敷。今その玄関前に5機のALOFが辿り着いた。


「すごいっ!立派なお家!」


「シーちゃん、お嬢様だったんだねぇ〜」


 メイリア達が屋敷に見惚れていると、玄関が開き、メイド服を着た、シシハナさんと同族と思われる女性がパタパタと走り寄ってきた。それを見て、シシハナさんが機体を膝立ちにしてからコックピットハッチを開け、姿を晒して大声で話しかけた。


「メドさん!」


「あぁ、ああ!シシお嬢様!!お帰りなさい!!」


 シシハナさんがタラップを垂らし、地面に降りると共に、騒ぎを聞きつけたのであろう3人の人影が玄関口に現れる。顔を見てすぐわかった。シシハナさんの家族だ。


「シシ、よく無事だった。どれだけ心配した事か!」

 

「おかえり、シシ。立派になったわね」


「ただいま、父さん、母さん、……スズ」


 笑顔で出迎える両親とは違って、扉の陰に隠れてしまっている、シシハナさんを少し幼くしたような女の子。この子がきっとスズハナだ。


「うふふ、再開を喜ぶのは一旦置いといて、みなさん機体を納屋に移動してもらえますか?」


 メドさんが嬉しそうに笑顔でそう言った。


 納屋に移動すると既に3機のALOFと思われる物が大きな布を被さり置いてあった。それを見てラハラが質問を投げかける。


「ヌバナさん、この機体は?」


「ツヴァイス様の機体、それと我々と同じ部隊管理者、ブルとオウザの機体ですな」


 その返答を聞いてアンビーが溜息をついたので通信を切り替えて理由を聞いてみる。


「どうしたんだ、アンビー?」


「実は出発前、私達がビーストルに行くと聞きつけたルーデルさんが反乱組織の資料を送ってくれたんですよぉ。組織名はエボル。2部の幹部が関与している事は説明しましたが、監査部の要注意リストにあった名前がまさにここにいる4人なんですよぉ」


 なにかの偶然か、はたまた誰かの差し金か。容疑者が集まっているわけだ。


「アンが溜息ついた気持ちがよくわかったぜ……」


「シシハナさんの家族を巻き込みたくない、彼らの動向には十分注意しよう」


「うん、そうだねっ!」


 ALOFを置き、メドさんに案内されて屋敷へと入った。玄関先でラシュメール夫婦が待っていた。管理者の2人はラシュメール夫婦と軽く挨拶を交わして奥の部屋へと入っていく。

 改めてシシハナさんの帰省を両親が喜び、迎え入れた後、ハロンナ組で一通り自己紹介をした。


「みなさん、本当に娘がお世話になっております。こうしてまたシシの元気な顔が見られたのもみなさんのおかげです。君が例のAIなんだね。よく来てくれました。早速、研究所へ案内したい所だけどみなさんお疲れでしょう。少し事情もあるので、明日という事でよろしいでしょうか?」


 シシハナさんの父アオギさんが深々と頭を下げ、丁寧な口調でそう言った。

 

「もちろん、俺はそれで問題ないですよ」


「あの〜、ツヴァイス代表は?」


「ああ、我々の再開に水を差したくないと、管理者の方々と客間にいます」


「スズはどうしたの?」


「スズちゃんね〜、シシちゃんに思う所があるみたいで、まだ顔を合わせたくないみたいなの」


 シシハナさんとアンビーがふーん、と難しい顔で唸る。


「シシハナさんは家族団らんを楽しんでよ!」


「そうですね〜。私達は客間の方に顔を出してもいいですかぁ?」


「お気遣いありがとうございます。ツヴァイスもあなた方と話しがしたいと言ってました。どうぞ、こちらで」


 アオギさんに案内され、管理者の2人が入っていった扉に入る。なんとも重々しい雰囲気の漂う部屋だった。長テーブルに5人の獣人が黙って座っている。

 テーブルの端に座っている狼の獣人が部屋に入った俺達を見て口を開く。


「長旅ご苦労であった。私がツヴァイスだ。例のアレはそこにいるのか?」


「例のアレ?」


 唐突な質問にメイリアがきょとんと言葉をオウム返しにする。


「察しが悪いですねぇ〜。AIの事ですよ!」


 フクロウの面影がある男の獣人が言う。


「オウザ、口を挟むな」


 ツヴァイス代表がピシリと言い、オウザと呼ばれた彼はバツが悪そうに口を閉じた。俺の事をアレと呼んでいる、そう理解したのだろう。メイリアの体温が上昇し、何かを言おうと口を開きかけた所でラハラが制止する。


「あー、ツヴァイス代表。失礼を承知で言わせて頂く。フィーは我々の仲間であり、俺の友人だ。アレだなんてモノ扱いはやめてもらいたい」


 客間に緊張が走る。一瞬の沈黙の後、サイの獣人、ヌバナが席を立ち声を荒げる。ウサギの獣人、ラピも席を立ちファイティングポーズを取る。


「客人、分をわきまえたまえ!」


「やめぬか!そなた、名をなんと言う?」


「ラハラ・ラインラークだ」


「ラインラークだあ!?」


 黙りを決め込んでいた牡牛の獣人が驚いた声を出す。彼がブルだろう。


「そうか……。まずは先程の失言、謝罪させて頂く。会議の時といいすまなかったな、フィア。柔軟に受け入れようと思ってはいるものの、なかなか難しいものだ」


 席を立ち、深々と頭を下げるツヴァイス代表。言葉こそ強めで威圧感があるが、どうやらなかなか紳士的なようだ。


「そして、そうか、ラインラークか。ビーストル人にとっては苦い名だな。仲間の恥を思い起こされる。ああ、そうだ、まだ紹介もちゃんとしてなかったな」


 そう言って管理者をひとりひとり、改めて丁寧に紹介していく。


 サイの男獣人、ヌバナ

 ウサギの女獣人、ラピ

 フクロウの男獣人、オウザ

 牡牛の男獣人、ブル


 アンビーの話しを聞いた後だとここまで案内してくれたヌバナもラピも怪しく見えてしまう。

 ハロンナ組もまた、各々自己紹介をする。ちょうど自己紹介が終わったタイミングで計ったかのようにメドさんが扉をノックして開ける。


「ハロンナの皆様、お部屋の準備が整いましたので、お食事の時間まで、まずはお休みになられたらどうか、とオオハナ様が仰っております。いかがしますか?」


「ふむ、1日半操縦し続けたのだろう?話しは後にして休むといい。メド殿の料理は絶品だぞ」


 ツヴァイス代表がにこやかにそう言うので、そうさせてもらう事にした。

 案内してもらった部屋でメイリアと誰が怪しいか議論していると、外で車の止まる音がした。何だろうと、メイリアが窓辺に近づこうとした所でドアがノックされる。


「ん?どうぞー」


「ごめんね、メイリア。休んでる所、ちょっと相談したい事があって……」


 少し落ち込んでいるシシハナさんだった。外では急に雷雨が始まり、新たな客人が慌ただしく迎え入れられている声が聞こえる。

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