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転生したと思ったらロボットの戦闘支援AIになっていました 〜量産機だけど美少女パイロットとこの先生き残るためにエースを狙います!〜  作者: 夕暮れタコス
第13話 理性と獣性

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13-2

 ドミトリアを出港してから1ヶ月半。平和な旅が続いている。数日前から進行方向には巨大な惑星が見えているが、一向に近づいているという実感がわかない。それほど巨大なのだ。


「みんな、ちょっと集まってもらっていい?」


 日課となったシミュレータ訓練の後、意を決した様にシシハナさんが伝えてきた。アンビーも呼び、ブリーフィングルームへと場所を変えて、シシハナさん以外は各々席につく。


「遅くなってごめん。やっと話をする決心がついたの。こんなに勿体ぶる話でもないんだけど。ついでにビーストル星の情報についても簡単にまとめてみたの」


 シシハナさんが端末を操作して自作した資料を映し出す。


「私達ビーストル人には適応した地域に応じたミドルネームがついてる。私の場合はサバナ。サバナ族が適応した土地は乾燥した平野と危険植物の生い茂る草原が混ざりあった地。得た特性は狩るもしくは逃げるための洞察力、それと危険植物を避けるための危機察知能力。そして、サバナ族を率いていたのが私の家系、ラシュメール家。つまりサバナ族の族長だね」


 画面上のビーストル星を模した球体が細かく区画分けされていく。その中の一区画が赤く、隣接する区画の1つが黄色く塗られた。


「この赤い区画がサバナ地区。隣の黄色がヒルガ地区。ここがツヴァイスさんの出身地であり、彼の一族フェンリス家が治める地。凹凸の激しい丘で構成された地でね、足の速い肉食動物がうようよしてるの。丘から顔を出したと思ったら次の瞬間には狩られてる、そんな土地。そこで彼らの得た特性は動体を察知する力。具体的には聴覚や動体視力だね」


「ひぇ〜、過酷だとはよく聞くけど実際の話しを聞くと恐ろしくなるね〜。あれ、もしかしてシーちゃんとツヴァイス代表は交流があったの?」


「そう、アンビーの言う通り、ラシュメール家とフェンリス家は交流があった。私も彼と会った事あるけど、小さい頃に1度だけだね。ともかく、恐らくその繋がりから濫觴(らんしょう)の舟がラシュメール家に託された、と私は考えたの」


「はは〜ん、さてはそこからAI技術を研究して一躍有名企業になったわけか」


「私不思議に思ってたんですよ〜。工業が盛んなアマナじゃなくて、なんで遺伝子工学が得意なビーストルでAI産業が突然発展したんだろぉ?って」


「確かに改めて考えると違和感あるね。私の家系はもともと危険植物を研究してた学者の家系なの。だから私としては違和感はなかった。ただ興味の対象が変わっただけなんだろうって思ってた」


 シシハナさんは軽く目を瞑り、浅く深呼吸をして続きを話し始めた。


「ここからは私の家の話。なんで私が家族と疎遠になったのかについて話すね。まず私の家族は、父、アオギ。母、オオハナ。私。そして妹のスズハナの4人家族。さっきも言ったように、私の家系は学者の家系。両親とも学者だった。だから私も妹も親の跡を継いで学者になる、小さい頃は無邪気にそう思ってた」


 どこか遠い目でメイリアを見つめる。メイリアと妹のスズハナを重ね合わせてるみたいだ。


「……でもある日突然、父さんが異常なまでに研究に没頭し始めたの。そして次第に私達姉妹に過大な期待を抱くようになってきて、AI研究の勉強と手伝いをさせられるようになった。私は強制的にやらされるのが嫌で嫌で、思春期だった事もあり強く反発した。でも妹は、スズハナは違った。学者としての才能があったんだろうね。嫌がる事なく、むしろ研究にのめり込んで行った」


 シシハナさんが少し間を置いたが誰も口を挟まない。みんな真剣な眼差しでシシハナさんの独白を見守っている。


「両親とスズハナが私の知らない単語で楽しそうに研究の話しをしている頃、私はバーサク病の症状が見られるようになってきた。凄く悔しかった。妹は理性と知性を持っている、私には獣性しかない。私の居場所はここじゃないんだ、溺愛していた妹に居場所を奪われた、毎日そう考えてた。ある日、楽しそうに話す3人を見ていたらメチャクチャに壊してやりたい衝動に駆られた……。その時は抑えられたけど、ここに居たらいつか抑えきれなくなる。そう思って親の反対を押し切り、半ば家出に近い形で軍の学校へと入ったの」


 これで話しは終わり、とばかりに椅子に座り、飲み物に口をつけた。んー、とラハラが低く唸り口を開いた。

 

「この間のメールはなんて書いてあったんだ?ああ、いや、内容が知りたいわけじゃなくて、親御さんはシシの事を怒っているのか?」


「ふふ、そんな事はなかったです。こうして整理して話したら、私が勝手に塞ぎ込んで身勝手しただけの話ですね。両親は私をのけ者にしていたわけでもない。メールには元気な顔を見せて欲しい、帰っておいで、そう書いてありました」


「よかった!元気で立派に成長したシシハナさんを見せに行きましょう!あ、1つ聞きたいんですけど、私ってスズハナさんに似てるんですか?」


「んー、雰囲気が似てるのかな?上手く言えないけど。スズハナから知性が抜け落ちた感じが可愛がるのにちょうどいいの」


「へぇ〜、知性が抜け落ち……。えぇ!?シシハナさん、ひどいや!」


「確かにメーちゃんは知的ではないよね〜」


「知的になる。メイの今後の課題だな」


「たしか艦の蔵書に『知的な大人になるためには』という本があったぞ。ダウンロードするか?」


「あ、それちょっと読んだ。ってみんなして酷いっ!」

 

「あははは、ごめんごめん。みんな、聞いてくれてありがとう。なんだか凄くスッキリした。家に帰る心の準備ができたよ」


 肩の荷が降りたような屈託のない笑みでシシハナさんが笑う。それに釣られるようにみんな笑顔になった。


「でも、まだ道程は遠いよね〜。宇宙ステーションに着艦後、気流の隙間を狙ってシャトルで降下。気流の影響で降りられる場所は選べないから、サバナ地区の近くに降りられなかったらALOFで歩いて行く事になるねぇ」


「そうなんだよ。更に言うと、気流を読めば降下地点が読みやすい。反乱組織にとっては絶好の攻撃チャンスとなる」


「軌道エレベーターはないのか?」


「たまに起こる地殻変動と荒れ狂う気流の影響で建設は断念したんだ」


「な、なるほど。過酷な星だ。ところで出発式でアンビーが言ってたビーストル至上主義派の理念ってなんだ?」


「あ〜、あの人達は自然との融和こそ至高、

そう考えてるみたいでして〜」


 ラハラが少し怒りを滲ませながら割って入ってくる。


「野生生物と混ざり合うことで我々は進化した。自然との融和無き進化は邪である。進化の意思が無いこともまた邪である。俺の学校が襲われた時の声明だ。つまり獣人こそが人類のあるべき進化の形、それ以外は邪道だ、と言ってるわけだ」


 ラハラの学校で行われていた能力拡張実験、確かにそいつらの理念とは反している。そして、俺の存在も邪道な進化の形というわけか。


「ビーストル人には過酷な環境を制して発展を遂げた事に誇りを持つ人が多いの。それが歪んで膨張し、攻撃性を持ってしまった。それがビーストルの反乱組織の始まり」


「んん?隊長の言う学校ってなんですか?」


 メイリアの疑問により、そこからはラハラの母校、ラインラーク軍事養成学校の話になった。シシハナさんもアンビーもラハラの能力については知っていた様だが、この事件については知らなかったようである。

 ラハラの話しの終わりと共に解散となり、また到着を待つ日々が始まり、そしてその日々も終わりをつげた。



「みなさん、ハロンナをよろしくお願いします!長旅に付き合わせた挙げ句、待機で申し訳ないですっ!」


「気にしなさんな、艦長。ビーストル出身者でも降りたいって奴は稀だからな。機体の状態は万全だぜ。安心して行ってきな!」


 整備長が乗員を代表するように言う。


「ありがとうございます。出発は2週間後を予定してます。それまでこのステーション内で自由に過ごして下さいね〜」


 ハロンナの乗員に見送られ、4人と俺、そして地上仕様のクーリア3機を載せたシャトルが宇宙ステーションから発進する。もはや全体が見渡せない程巨大な惑星に向かって飛んでいく。そして、因縁渦巻くビーストル星へと突入した。

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