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「えっ、うそっ。まさかアウターローバの正体って……フィアの故郷、地球の人達……なの?」
そう言うメイリアの顔が青ざめる。違う、まだそうと決まったわけじゃない!理由なら他にも考えられるはずだ。そう!例えば……。
「もしかしたらマゼンタヘッド、あのAIも俺と同じ転生者なのかもしれない!」
「現段階だとどちらも否定できないね」
違う、違うはずだ。違うとはっきり言ってくれ。
「で、でも……そうだ。地球はまだ宇宙に出るのだって一苦労なんだ!」
「君が死んでから目覚めるまでどのくらいの時間がたったのか、分かるのかな?君が死んでから数十年、数百年経ってるのかも……」
「もう十分ですよ!」
メイリアが目に涙を溜めながら声を荒げる。気がつけば、テクノラ代表に非難の目が集まっている。
「あー、僕が完全に悪者だね。フィアが否定して欲しがっている事くらい分かってるよ。さっきも言ったように、ここからは仮定での議論しか出来ない。だからこの話は終わりね」
そう言って椅子の背もたれに体を預け、大きく伸びをした。テクノラ代表が悪意を持って否定していたわけじゃないって事は十分理解している。気休めの仮定で満足なんてしないでビーストル星に行け、そこできっと答えが得られる。だから自分で確かめてこい、そう言われてる気がした。
テクノラ代表の後はラブラリイ代表が重苦しい雰囲気の中、宣伝用映像を作るにあたっての意見を募集をしていたが、いろいろな事柄が頭の中を巡り、そこからの会議の様子はあまり覚えていない。
「本当にビーストルに行くの?」
会議が終わり、小走りでにハロンナの格納庫に戻り、コックピットに乗り込んでメイリアが心配そうに聞いてきた。
「ああ、行くよ。ここで答えを出しておかないと、この先、戦い抜けない。そんな気がするんだ」
「フィアが無理してまで戦う必要はないんだよ!?だって相手は……」
「大丈夫、みんなを、メイリアを守りたいんだ」
確かに音声データを聞いた時は動揺した。だけど今までだって、自分の身に何が起きてこんな状況になったのか、分からないまま戦い続けてきた。理由は簡単な事だ、メイリアを守りたい、そこから始まり、今はみんなを、クェルツ星団を守りたいと思っている。何でそう思うようになったんだ?ああ、結局はメイリアだ。平和な世界を見せてあげたい。このクェルツにほんの僅かな期間でもいい。争いの無い平和な時間をもたらしたい……。
「でも、でも!フィア……」
「もしアウターローバが本当に地球人だったら、なんて考えていたらムカついてきた」
「……えっ?」
「きっとテクノラ代表の言うように俺が目覚めるまで相当な時間が経っていたんだろうな。だけど、なんだ地球人は!?あそこまでして侵略したいのか!俺が目覚めるまでに何があったのか知らないが、何を考えてるんだ!元地球人として情けない!……ってな」
メイリアがぽかんとしている。
「吹っ切れたよ。敵が誰だろうとメイリアを守る。それが俺の人として、そしてAIとしての行動原理だ。ビーストルに行く。そして、俺がどうしてクェルツに転生したのかを知る。そうすればこの意志をもっと強固なものに出来る気がするんだ。ここぞという時に迷いたくないからな。だから俺の自分探しの旅に付き合ってくれないか?」
「フィアは強いね。そしてカッコいいよ。……うん、もちろん付き合うよ!私もフィアの事をもっと知りたいもん!ビーストルに行こう!」
ふと、ある事を思い出して笑いが込み上げてきた。
「ふふふ、あっはははは」
「えぇ!どうしたの!?」
「ははは、実はな、ビーチェ星で喧嘩して別行動してた時にな、メイリアと再開したらある事を聞こうって心に決めてたんだよ」
「え、なになに??」
「メイリアの昔の話。あの時点で既に2回か?聞きそびれてて、あの時も浜辺でメイリアからの告白で衝撃を受けてすっかり忘れてたよ。そして今になって思い出した」
「もーっ!ひどいなぁ〜。ふふ、でも私は話そうとした事すら忘れてたよ。覚えていてくれてありがとっ!んー、でもせっかくだからお預けかな〜」
「え、なんでだ?」
「フィアが自分の存在に納得できて、そして戦いが落ち着いたら、私はフィアの告白の答えを楽しみに浜辺に、フィアは私の昔話を楽しみに浜辺に行くの。ねっ?辛い事の後には楽しみがなくちゃ!」
「ふふっ、いい考えだな。それまで必ず、この宇宙で生き残ろう」
「うん、そうだね」
満面の笑みの中、無邪気で優しさの溢れる瞳が俺という存在を見つめていた。




