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転生したと思ったらロボットの戦闘支援AIになっていました 〜量産機だけど美少女パイロットとこの先生き残るためにエースを狙います!〜  作者: 夕暮れタコス
第10話 1人と1基

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10-2

 コウコウ司令が辞職。反連合組織「ハンタース」との関与を認めて軍警察に自首。

 それが速報の内容だった。


「あのコウコウ司令が……」


 少し世間話をした程度の知り合いでしかないが、にわかに信じられなかった。


「よりにもよってこんな時期に」


 シシハナさんが呆れ気味に言う。


「いいタイミングね。説明の手間が省けるわ」


 声の方を見ると食堂の入口にヨルカ代表と艦長がいた。


「こんな時期に、というよりも今だからこそ、だ。我々が後ろから刺されないためにな」


「もしかして、俺を会わせたのも作戦の一部だったのですか?」


「……ああ、半分はそうだ。だが、もう半分の理由、君に会いたいと言っていたのはあの人の本物の好奇心だ。それに、あの人のことを凄い人だと言ったのは本心だ。何かの間違いであって欲しかった」


 艦長の様子から本当に残念に思っている事が伝わる。だが、それでも疑いのある人には潔白を証明する意味も込めて罠を仕掛けていたらしい。

 代表会議を開くための情報伝達。それに関わる人員にそれぞれ僅かに違う情報を渡す。情報の確認をさせないために短時間での出発。そして、出方を見る。

 言いたい事もあったが引っ込んでしまった。俺がこの世界に来る前から周到に準備されていた計画だったのだろう。


「それで、次の司令は誰になるんですかぁ?」


 アンビーが半ば何かを察した様子で質問する。


「その事でこれから会議を開くわ。会議ばかりで嫌になる!」


「アンビー、同席してくれないか?」


「うっ、わかりました……」



 アンビーが連れて行かれるのを見送った後、ラハラ隊のメンバーはメイリアの頼みで格納庫へ移動した。

 

 整備班メンバーは大半がハロンナに戻ってきていて、格納庫で早速忙しそうに動き回っている。覚えのある顔と光景を見て、少し気持ちが安らいだ。動き回っていた整備長もメイリアに呼ばれ、4人で打ち合わせ用の大型モニター前に座った。


「実は、フィアとエースを目指すためのカスタムプランを考えたのです!」


「突然有名人になったと思ったら今度はエースを目指すってか!いいねぇ!若いねぇ!」


「整備長、それにはいろいろ事情があるんですよ!ごほんっ。とにかく、今回私が目指したのは見栄え良し!戦っても強し!なカスタム。それがこれです!ででん!!」


 メイリアの合図(ででん)でモニターにメイリア作の構想図を映し出す。

 

「なるほどな。確かにこれは目立ちそうだ。だがこんなもの、いくらフィアでも制御できるのか?」


「それは……練習してもらうとして。何かアドバイスや意見があれば聞かせてください!」


「私としてはありだと思う。扱えなければデチューンすればいい。……実は私も二人用のカスタムプランを考えたの。後で聞いてもらっていい?」


「わぁ、ありがとうございます。もちろんです!」


 カスタマイズ討論が盛り上がり始めた頃、俺はある発見をした。

 いつの間にかルナン機が俺達の機体の隣に座っているのだ。前屈の姿勢で並んで座る2機。コックピットハッチは開いている。機体側の省電力モードを終了。機体周辺をセンサーで探査、するまでもなく、メイリアと同年代くらいの女の子がルナン機の膝上にちょこんと座っているのを見つけた。

 外部スピーカーの音量をかなり落として話しかける。


「あのー、君がルナン?」


「ぎゃぁぁぁぁぁ!!!」


 突然声をかけられた彼女は大きな悲鳴を上げながら何故か俺達の機体のコックピットを開けて、中に素早く入ってきた。

 メイリア達含め、格納庫にいる人達が何事かと辺りを見回す。しかし、もう声の主へ見当たらない。だが、メイリア達はルナン機を見つけて騒ぎだす。


「ひぃぃ、あの機体、私達についてきてますよ!今の悲鳴聞きましたよね!?あの機体の方からでしたよね!おばけ機体ですよね!」


「落ち着けって。そりゃ同じ艦に乗る予定なんだからついてくるだろ」


「だけどよぉ、隊長。俺達整備班もいつあの機体が入ってきたのかわからねぇんだ。いつの間にかあって、みんなで困ってたら艦長とヨルカ代表を名乗る女の子が現れて、この機体もお願いねっ、なんて言ってどっか行っちまった」


「整備長、女の子に見えたその人は本物のヨルカ代表だ。取り扱いに注意しろ」


「さっきの悲鳴はルナンのじゃないの?フィアはルナンらしき人、見なかった?」


 メイリアの頭をよしよし、と擦りながらシシハナさんが携帯に向かって聞いてきた。

 その音声がコックピット内で流れ、ルナンの耳に入ると、口に人差し指を当てて、必死になってしーっしーっと秘匿を頼み込んできた。


「い、いや見てないですよ。センサー類オフにしてたので。ルナンは艦内でも見て回ってるんじゃないですかね?それと、さっきの悲鳴はきっとヨルカ代表が虫でも踏んづけたんですよ」


「そんなタマかぁ?まあ、ルナンとはそのうち会えるだろう。それでだな、メイ。このプランだと……」


 みんなの気が逸れた事で、ルナンがメインシートにへなへなと座り込む。眉毛が見えるパッツン前髪にくせ毛で末広がりな肩まで伸びる黒髪。ルビーの様な瞳が眠たげな半目の下で、じとーっと機内カメラを見つめてきた。


「あ、ありがと」


「いや、いいんだ。驚かせてしまってすまない。それと、この間の戦闘では助かったよ」


 特に返事は無く、相変わらず、じとーっとカメラを見つめている。


「ねぇえ〜、フィア、聞いてる?」


 携帯がメイリアの不満そうな声を伝えてきた。しまった、次の合図(ででん)を聞き逃していたようだ。急いで画面を切替える。


「悪い、省電力モードから切り替えていた」


 周囲の状況を観察。人目が無さそうなタイミングで静かにコックピットハッチを開く。


「今なら出られるぞ」


 スルスルと音もなくコックピットから出て行くルナン。床に降り立ち、メインカメラを見上げて口を開いた。


「フィア、良い人。好きかも」


 人目を縫うように避けて走り去っていくルナン。去り際の言葉を聞いて、ルナンをコックピットに入れた事になんだか罪悪感を覚えた。すまないこれは事故なんだ、と心の中でメイリアに謝る。

 

 その後、俺も真面目に討論に参加し、ある程度のプランが固まり、実際に作業に取りかかる事となった。

 

 しかし、数日後、格納庫での作業中だった。完成を待たずして特殊緊急招集警報が艦内に鳴り響いたのだ。

 特殊緊急招集警報、ハロンナで一番スペースのある格納庫に急いで集合しろ、という事である。

 

 数分して現在ハロンナにいる乗員全員が集まり整列した。一同の向く先には簡易的な壇が設置してある。そこにアンビーが登り、タブレット端末を読み上げる。


 「第410艦隊所属、独立遊撃斥候艦カルコゲン、撃沈。アウターローバの艦隊が宙域に出現中。救援求む。同艦隊の艦、ニクトゲンが宙域に到着してそうそう送ってきた緊急通信です」

 

 この登壇が新たな戦局の始まりを告げる合図となったのだ。

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