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転生したと思ったらロボットの戦闘支援AIになっていました 〜量産機だけど美少女パイロットとこの先生き残るためにエースを狙います!〜  作者: 夕暮れタコス
第8話 海と約束

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8-3

 昼間の喧騒など無かったかの様に穏やかな海がサーサーと潮騒を奏でる。

 地平線が紅く色付き始めてきた。


「日が沈んでいくねぇ」


 浜辺にたたずむ機体のコックピットハッチを開けて、潮風を感じながらメイリアがしみじみと言う。

 基地の見える浜辺だ。泊まっているホテルの近くである。


「こういう景色は地球と変わらないなぁ」


 基地にポツポツと明かりが灯り始め無骨な雰囲気を柔らかく変えていく。


「フィアは元の世界に帰りたいと思ってる?」


「いいや。あの人生に悔いは無いよ。普通は無い2度目の人生なんてモノを手に入れたんだ。世界がどこで、何に生まれ変わろうとも生きているだけでありがたいと思わなくちゃな。欲を言えば平和に暮らしたいけど」


「えへへ、私と一緒に?」


 うっ、と言葉に詰まってしまう。


「あはは、ごめんごめん。困らせるつもりはなかったの。今日フィアと離れていて、いろいろ考えたの。昨日の一緒に発言。すごく嬉しかった。そのあと言葉を濁されてムッとした。あの感情の揺れはなんだろう、これが恋なの?なんて事をずっと考えてたの」


 メイリアが遠くを見つめながら、大きく潮風を吸い込み吐き出した。その先の言葉はなかなか出てこなかった。沈黙に耐えきれずに俺も気持ちを吐き出す。


「俺も自分の感情がよくわからないんだ。メイリアを大切に思う気持ちはある。ただこの気持ちはメイリアのAIだからなのでは、という疑問が浮かんでくるんだ。いつも思考のどこかで自分とAIの境界を探してしまっている」


「ふー、私はフィアの事が好き。フィアといる時間が愛おしい。今日1日考えて、たった今出てきた結論。この気持ちは例えフィアがただのAIだったとしても変わらないよ」


 笑顔で遠くを見つめながらそう言った。


「メイリア、でも俺は……」


「返事はまだいいの。フィアが自分の存在について結論が出せたとき、またここに来よう。そして、返事を聞かせて」


 気持ちを吐き出してスッキリした、そんな清々しい顔で機内カメラを覗き込んでくる。


「わかった、約束しよう。ありがとう、メイリア」


 また1つメイリアから生きる目的を貰った。

 

 その後は調子を取り戻したメイリアによって今日のショッピングの話題が始まり、やがて俺の格納庫での話に変わり、気づけば辺りは真っ暗になっていた。


「帰ろっか」


「そうだな」




 格納庫に着いた時にはもうみんな戻ってきていて、機体の整備をしながらわいわい雑談していた。


「やっと帰ってきたか。どこで油売ってたんだ」


「隊長ぉ、そんな事聞くのは野暮ですよ〜」

 

「おっ、全員揃ってるね!お疲れ様、いい活躍っぷりだったじゃない!」


 ヨルカ代表の声だ。声の方を見るとツカツカと、とても小柄な若い女性が歩いてくる。その表情は自信に溢れている。ボリュームのある髪をアップにまとめてあり、歩くたびにふさふさと揺れている。


 その後ろを歩いているのルーデルさんともう1人……艦長だよな?


「お、おい、イナ。随分やつれてないか」


「ちょっと〜!このヨルカ様が満を持して登場したのにカワイイの声もなくそっちの話題に行くわけ?まぁいいわ。このヨルカ様に隠れてこそこそ動き回ってたみたいだから、こってりじっくり情報を絞り出してあげたのよ」


「ああ、みんな危険な目に合わせてすまなかった。でもよくやってくれた」


 艦長が労ってくれたがいつもより声が小さい。相当絞られたんだな……。


「確かに今回は危険過ぎましたね。もう少し慎重に動くべきでした」


 メイリア達を見たあと艦長を横目で見ながらルーデルさんが言った。艦長が買い物の許可を出した事を責めているのだ。きっとこっちからもキツく絞られたのだろう。


「まあまあ、戦いに明け暮れる年頃の娘達に休養を取らせようという計らいは素晴らしいじゃない!ヨルカ様的にはあり!」


 結果街に被害が出たやらそれは反乱組織が悪いやら艦長を挟んで代表同士の言い争いが始まった。


「こんな騒ぎがあったんじゃ会議はどうなるの?」


 メイリアが疑問を口にする。3人を傍目にこちらはこちらで会話が始まる。


「4日後に予定通り行うそうだ。すでに大半の代表がここに来ている。代表達も何だかんだ忙しいからな。予定を組み直すより護りを固めて決行したいんだろう」


「あれだけの騒ぎを起こしたあとに基地を襲う余力もない、という意見も多いわね。実際の所アインズ本人が出席する以上、会議中は安全と言えるわ」

 

 まだ言い争っているルーデルさんをチラッと見たあとランさんが続けた。


「メイリアちゃんとフィア、2人にどうしても聞きたい事があるの」


「「な、なんでしょう」」


「今朝の喧嘩の原因って何だったの?」


「そうそぉ!メーちゃんに聞いても答えてくれないし、気になってたんですよぉ〜」


「確かに今回の騒動の発端とも言える。気になるね」


 シシハナさんまでそんな事を言い始める。


「だはは、確かに気になるな」


「あれは……。フィアに今日の私の服装どう?って聞いたら凄く生返事が帰ってきて……。私もついムカッときて、責め立てちゃって、ごめんねフィア」


「いや、こっちこそすまなかった、考え事をしていたんだ。昨夜の発言とメイリアの反応をどう捉えていいものか、朝まで考え続けていたんだ」


「え、え〜。どんな発言なの〜?もうすっかりカップルみたいな会話だね〜」


 シシハナさんが持っていた缶コーヒーをベコンと潰した。


「ほう、何やら気になる発言じゃない!ふふ、このヨルカ様がじっくり情報を絞り出してあげるわ」


 離れた所で溜息をついているルーデルさんとその隣で立ちつくす艦長。そんな2人を置いてつかつかと歩み寄ってくるヨルカ代表。来ないで欲しい。


 その後じっくりと情報を絞り取られたのだった。

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