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敵は1機がアサルトライフル、もう1機がショットガンを装備。そして2機とも電磁シールド発生器付きの大型シールドを左手に持っている。
全身の前後左右いたる所にスラスターがついていて、それらを覆い隠すように装甲が段々になっている。頭部以外はどこか鎧武者を思い起こさせる見た目である。
アサルトライフル装備の方は、右側頭部に3つの金の角が、ショットガン持ちの方は左肩に赤い角が2本ついていた。階級章、あるいはパーソナルマークかな?とりあえず俺の中では金角と赤角と呼称。
メイリアが後方へ回避機動をとりながら狙撃ライフルを撃つタイミングを探っているが、鋭い狙いで金角の弾が飛んでくるので、撃てないでいる。というか早くも動きを読まれつつあるのか、俺が手を加えないと危なくなってきたよ。そうこうしているうちにあっという間に距離を詰められた。これ以上詰められると砲身の長い狙撃ライフルではかなり不利になるのでは!?
並走していた2機が1列になった。赤角が金角の後につく形だ。何か仕掛けてくる!?
と思った矢先に金角が全身のスラスターをこちらにむけ、思いきり吹かしてきた。モニターがオレンジの光でいっぱいになる。
「きゃっ、何!?」
メイリアが叫ぶと共に手を操縦桿から離して顔の前で広げた。これはやばい、明らかに目眩まし。そして、完全に策にハマっているメイリア。
今撃たれたらメイリアは回避行動を取れない。仕方ないので機体を勝手にオートパイロット、AI操縦に切り替え。俺の出番である。
とにかくここを動かないといい的だ。すぐさま回避機動を取る。間一髪で回避成功。が、目眩ましの隙に赤角が金角の頭上を飛び越え、すぐ近くまで迫ってきていた。勢いそのままで俺達の頭上を飛び越えながらショットガンの銃口を向けてくる。
咄嗟に狙撃ライフルを振り回す。砲身を敵の銃口に当てる事に成功!狙いを反らせた。またしても間一髪、散弾の一部が機体をかすめていった。
もはやメイリアは何が起こってるのかわからない様子で固まっている。機体が勝手に動いてなかったらこの数秒間で2回は死んでいた。その事実を認識してか、心拍数はかなり高く、過呼吸になりそうな気配さえある。
赤角が宙返りしながら体制を整えている。そこを狙って狙撃ライフルを構えて引き金を引く、が金角が赤熱した刀を構えて迫っているのを検知。急いで機体を捩り回避するも、ライフルを斬りつけられた。砲身の損傷及び刀の熱により、発射寸前だったエネルギーの暴走、爆発が予想されたため、金角に押し付けるようにライフルを蹴りながら後退。小さいながらも爆発が発生。しかし、金角も咄嗟にシールドを構えていてノーダメージ。
「大丈夫か、メイ!こっちは片付いた。すぐ向かう!」
「メイリア、もう少し頑張って」
仲間からの通信が入る。それを聞いて少しだけメイリアが落ち着きを取り戻す。あそこからだとここまでだいたい1分半。高速巡航形態ならもう少し早いが、軌道が直線的になるのに加え、減速してから通常形態へと移行になるため隙が大きいから恐らく使わないだろうね。
今度は赤角がショットガンを腰にマウント、代わりにブースター付きの手斧を持って突っ込んできた。速い、が直線的な動き。こっちは速度では負けているが小回りの良さでは勝っている。
難なく回避。相手は大型の手持ち盾が仇となっていて、近接攻撃の可動が狭くなっているようだ。だけど油断は出来ない。回避した所を金角が狙っているのを察知。それを回避するも、2機が連係して追い込んでくる。斧、刀、斧、刀……。
じわじわと余裕が無くなってきた。このままだと……。AIだけど第二の人生が始まったっていうのに、さっそくここで終わりなのかな……。
「ごめんね、フィア、任せっきりで。でももう大丈夫、私も一緒に戦うよ」
仲間の声によって、メイリアの目に冷静さと闘志が戻り始めていた。いつの間にか両手で、祈るようにして何かを握っているが、内部カメラではそれが何かまでは見えない。
メイリアの言葉によって弱気になりかけていた気持ちが奮い立ってくる。そうだ、俺は1人じゃない。
この世界がどんな所で、この先この身がどうなるかわからない。
けど今ここで何もわからないまま死にたくない!
そして何よりこの子を死なせたくない!
今はこの子と力を合わせて生き残るんだ!
呼吸器系なんて無いのに、息を整えるように一間置いてからこう切り出した。
「メイリア、落ち着いて俺の話を聞いてくれ」




