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さあ、今度はメイリアが聞く番だ。俺は高みの見物といこうか!シシハナさんの秘めたる想いを聞き出すのだ!
「えっと、シシハナさん、フィアに何か言いたいことがあるんじゃないかなって」
「っ!そっか、メイリアは鋭いね。ほんとスズハナに似てるね……」
「スズハナ?さん?」
「お前達、格納庫で立ち話してちゃ邪魔になる。ブリーフィングルームに行こう」
ラハラがそう言うので、みんなでブリーフィングルームにやってきた。
大きなモニターといくつかのサブモニター、それと各席にタブレット端末のついている会議室である。みな各々に飲み物を取り、席につく。メイリアがシシハナさんが見えるように携帯をスタンドに置いてくれた。
シシハナさんがブラックなコーヒーを一口飲んでから話し始めた。
「私の父はビーストル星の中で急成長しているAI開発企業を営んでいるの。ラシュメール・インテリジェンス社。クーリアを始めとするALOFの戦闘支援AIの研究、開発、製造をしている会社」
メイリアが知らないと言いたそうな顔でラハラを見る。
「知らないのも無理はない。ALOFの製造にどこの企業が関わっているかは秘匿されているからな。だからこの話は機密扱いだ」
と、ラハラが付け加えた。
「私がまだ小さい頃、父が言っていたことがあったの。面白い人と友人になった、その人はこの世界に転生してきた、だなんて言う人だ、と。その人の話はそれきりだったけどね」
「転生って……。もしかしたらフィアと同じような人が前にも……」
メイリアが小さく呟く。
俺はまったく浮ついた話しではなく、それどころか衝撃的過ぎて言葉を失ってしまった。
「だからフィアが同じような事を言った時から気になっていたの。少なくとも私の父は2人の転生者と関わっている事になる」
「シシハナさんのお父さんと会うことは出来るだろうか?」
「ちょうど休養期間に入るし、連絡はしてみる。でも、私、実家とは仲が良くないから……。いや、そんな事は言ってられないね。任せて」
「ありがとう、シシハナさん。そっか、他にも転生者がいるかもしれないのか……」
「事が進むのは中継基地ドミトリアに戻ってからだな。とりあえず、3人とも今日の出撃ご苦労だった」
話しは終わりとばかりにラハラが席を立ち、解散ムードになる。
「あ、そうだラハラ。敵のクーリアの認証声紋を手に入れたんだけど」
「なんだと!今すぐ艦長の所へ行くぞ!メイ、携帯借してくれ!」
そう言ってメイリアから許可をもらう前にスタンドから携帯を引ったくり、凄い速さで部屋から飛び出した。
何かやっちゃったか?と思ってるうちに2度目の艦長室へ到着。
「艦長、入るぞ」
「ああ、どうぞ」
声と共にドアがスライドして開く。
艦長はデスクに座っていた。ズカズカと部屋に入るなり言った。
「フィーが敵パイロットの認証声紋を手に入れたと言っている」
「本当か!ふははは、いやいや、フィア君は我々にとっての幸運の女神だな」
「あの、どういう事ですか?」
艦長とラハラがソファへ移動し、前回と同じ配置になった。
「この前の話しの中に反連合組織が出てきたのを覚えているか?先程の襲撃は十中八九、海賊のフリをした反連合と繋がりのある奴らだと考えている」
反連合組織、確かラハラが艦長と知り合ったきっかけになった事件での襲撃犯達だ。艦長が続ける。
「反連合組織と言ってもいろいろな組織があるのだが、根っこを辿ればおおよそ2つの派閥に辿り着くと私は睨んでいてな。その派閥と言うのが軍上層部に近いアマナ人至上主義派とビーストル人至上主義派だ」
それからの艦長の話しをまとめるとこうだ。
アマナ軍とビーストル軍を主とした数百年に及ぶ星間戦争はアウターローバの来訪により停戦、連合軍が結成された。
連合軍と言っても急ごしらえなため、中身はほぼアマナ軍、ビーストル軍で別れているらしい。
数百年も戦っていた星々が全会一致で仲良く出来るわけもなく、結成間もなくして反連合組織があちらこちらで蜂起を始める。
そこに目をつけた両軍の至上派達が反連合を裏から支援して操り、連合軍内のそれぞれの勢力を弱めようと攻撃を仕掛けている、という構図らしい。
そして、俺が手に入れた声紋を上手く使えば軍上層部へと繋がる証拠を手に入れられるかもしれない、と言う事だ。
「やつらを釣り上げるためにビーチェ星ではフィア君に囮になってもらおうと思っている」
「えぇ!?」
「何、ちょっと上層部会議を開くきっかけになってもらうのさ。新人類の発見となれば彼らが足を運んで集まる絶好の理由になる。そして、その場は反連合組織に取っても絶好の的だ。釣り上げるための準備は十分にしてある。実行犯を伴って突き出せば言い逃れも出来ないだろう」
「やるんだな、イナ」
「ああ、危険も多いが私が選び、君が育てた部隊だ。不足はない」




