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こいつらの個々の練度を見るとかなりバラつきがある上、動きに癖が強い。恐らくは独学で操縦を学んだ、ならず者達。
また散開して囲むようにライフルを撃ってくる。
敵の動きの癖の強さが射撃補正プログラムの邪魔をし、こちらの射撃がなかなか当たらない。だがなんとかホワイテスを1機撃墜。残り4機。
「フィア、接近戦での各個撃破、行くよ!」
「了解、だがハイブーストの制御があるから前ほどアシストができないかもしれん」
「ふふ、私だって成長するんだから!」
最大加速で一番近い敵、ホワイテスの1体に急接近。近距離戦闘はメイリアに任せる。
ダガーを手に取り、突進していく、が敵がソードを持ったのを見て軌道を変更、そのままの速度で素通りしてからの急旋回、敵が振り返るよりも早くダガーを投擲。胸部に突き刺さり、撃破。
ソードには無くてダガーにはある機能、それがこの投擲である。エネルギー供給式なのはどちらも同じだが、ダガーは消費エネルギーの少なさ故、柄にエネルギーを貯めておける。手から離しても数秒は刀身を維持できるようになっているのだ。さらに腰のマウント部に巻取り式のロープを取り付けてダガー本体と接続出来るので、刀身の消えた本体を巻き取るだけで回収できるのだ。
残りの3機が潔く撤退を始める。深追いはやめておこう。メイリアもそのつもりのようだ。
「メイリア機、気をつけてください。さらに1機、向かってきています」
オペレーターちゃんのハキハキとした通信が入る。
ふと、気になった事がある。戦闘中にする事じゃないのはわかってるんだけど、目の前の敵は撤退始めたし、いいか。
パイロット認証で使う声紋認証でアンビーとオペレーターちゃんの声を比較。
「え、アンビーってオペレーターちゃん?」
「ええ?戦闘中だよフィア!?ってうん、まあ驚くのはよくわかるよ。ヘッドセット付けるとスイッチが入るんだって」
あのおっとりまったりした感じは微塵も感じさせないハキハキ、テキパキした話し方である。おっと、新たな敵の姿が見えてきた。あれは……。
「あれは、クーリア!?海賊が最新鋭機を持ってるっていうの?」
近づいてきた新たな敵のシルエットを見て、メイリアが驚いた声を上げた。高速巡航形態で接近してくるクーリア。
男の声で通信が入る。
「いやいやぁ、俺が見込んで鍛え上げた奴らをあっという間に3機撃破か。やるなぁ。いやあいつらが所詮はチンピラだっただけかな?」
「誰!?」
明らかに敵のクーリアからの通信だった。人を馬鹿にしているような喋り方だ。
距離が近くなり通常形態へ移行、2丁のライフルを構えて乱射しながらさらに距離を詰めてくる。こちらも応戦する。しかし、敵ながらなかなかいい動きだ。さっきの奴らとは明らかに違う。
「誰?ハッ、クーリアだよ?どう見ても連合軍のお仲間でしょ!?」
距離が詰まると素早く2丁ライフルを腰にマウント、今度はソードの二刀流になった。
「どこがっ!デタラメを!」
メイリアもライフルからダガーに持ち替えて構える。だけどダガーはブラフで本命はブレイドだろう。パイルを使えるように左手も空けてある。
敵がX字に斬りかかってくる。ハイブーストを使って急な機動で敵の右側をすり抜けつつ、ブレイドを展開。
システム音声が警告音を発する
「警告、IFF作動」
IFF、つまり敵味方識別装置、味方への誤射防止のために武装がロックされる。
先程の射撃時には問題なかったのにここにきて突然!
敵が振り向きざまに斬りかかってくる。近接戦闘が罠だった事に気づく。IFF解除も回避も間に合わない!
「プラズマパイル!腕を掴んで!」
迫りくる腕を左手で掴みパイル射出。敵機の腕が吹き飛んでいく。
すぐさま距離を取り、目の前のクーリアを味方識別から削除しようとシステムに介入する。
「はぁ〜、プラズマパイルか。そいつは武器カテゴリじゃなくて開拓用の機能だもんなぁ。ハッ、戦闘で使う奴なんて初めて見た。やるな、伊達にカスタム機乗ってないってわけか」
敵もこちらを警戒しながら少し後退して距離を空ける。
「フィア、IFF解除いけそう?」
「ああ、だがその前に面白い物を見つけた」




