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4-1

「認証、ラハラ・ラインラーク。AIの発言履歴と行動履歴を開示せよ」


 これは、上位権限と言うやつか!抗えない!

 発言履歴はまだ大丈夫。もともと記録しないように設定をイジってたから。けど行動履歴、AIが干渉した行動の履歴、については戦闘しながら隠蔽するのは難しいので、さっきの赤角との戦闘に関しては手を加えられていない。

 

「ちょっと、隊長勝手に触らないで下さい!だめっ!そこ触らないで!やっ、やめてぇ!」


「おい、メイ、変な声だすな!俺は真面目にやってるんだ!これは……。やはりとんでもない物を隠していたか」


「隊長、私のメイリアに何してるんですか?」


「シシ!ばかっ、何言ってる!お前は戦闘に集中してろ!」


 会話は変な方向に向かっているけど、事態は確実にヤバい方向へと向っている。あーあ、終わったね、こりゃ。

 機体は動かせるけど、一部システムからは完全に締め出されてしまっている。

 

 諦めてシシハナさんの戦闘を見守る事にした。変な事言ってたシシハナさんだけど、その死闘っぷりは凄い。


 金角は前回と同じ赤熱刀、盾は無く、腰にはかなり大型の銃(滑腔砲というやつか?)が、ジョイントされていた。使わない時は銃口を上に向けた形で背面に回されているが、使用時には腰のジョイント部を軸にして瞬時に前面へと回ってくる。

 対するシシハナ機は右手にライフルと左手にソードのシンプル装備。隊長といいシシハナさんといい、何故か盾を持たない主義らしい。


 先程から2機は、数秒睨み合ったのち、剣戟、合間に射撃を挟み込む、そんな攻防を繰り返している。まるで数秒先が見えているかのような攻防。

 相手の剣を避け、自分の剣を振るう。それを更に避け、距離を開けて射撃、もしくは踏み込んでさらに剣戟を繰り広げる。どちらかが距離を開ければ数秒の睨み合い。

 

 メインモニターにかじりついている隊長からは見えないサブモニターに、この戦いは見ておいた方がいい、とメッセージを入れてメイリア向けに映像を映す。

 

「ハロンナ、砲撃まで残り80秒。下部ハッチ開放、メインジェネレーター露出」


 2機の戦いの後ろでハロンナが急速に変形していく。

 船体の下から前方に向けてレールが敷かれたハッチが開かれる。ハッチ上部からレールに乗って、太いコードがたくさん繋がっている筒が降りてきた。船体とレーダーの間に格納されていた半分に切ったパイプのような物がアームに繋がれて動き、筒に接続される。


「開放バレル接続、ジェネレーター充填開始。バレル間にプラズマライフリング形成。観測用望遠レンズ展開」


 開放バレルの間に青白い渦巻くリングが形成され始めた。丸っこい船首の鼻が開かれて、中から望遠鏡のような物が迫り出してくる。


「発射準備完了。予定時刻まで残り40秒!」


 変わらず死闘を繰り広げる2機の戦いは突然終わった。

 それは金角の攻撃。シシハナ機とは明らかに狙いが違う方向、ハロンナへ向けた砲撃。

 シシハナさんがそれを察して砲撃の方向を見る。……フリをした。

 砲撃自体がオトリ、砲撃と母艦に気を取られて隙が出来るのを期待したのだろう。そしてシシハナさんはその思考をも読み取って策にハマったフリをした。

 砲撃から一瞬の間を開けて刀が振るわれる。それを後退して避けつつ、ライフルで胴体を狙い撃つ。

 金角はなんとか避けるが腕に命中、刀を持った腕が弾かれる様に宙を泳ぐ。

 間髪入れずに追撃、メインスラスターを全開に吹かし、ソードで首下を突いた。そして、勢いそのままにハロンナの射線上から離脱。

 あっという間だった。判断を誤れば死ぬときは一瞬。シシハナさんの言葉が脳裏に蘇った。

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