番外編 フィアの暇潰し 1 ―ALOFの構造編―
番外編です!番外編のふりをした脳内設定集です!読まなくても本編には影響は無いので安心して下さい。
もちろん考証はしてないデタラメフィクション理論ですのでご容赦下さい。
暇だ。メイリアはブリーフィング中。話し相手もいない。とても暇だ。
こんな時はメイリアが用意してくれた電子書籍でも読もう。ふむ、今の自分の体と言っても過言ではない、このALOFについての本「ALOFの構造―新兵編―」を読んでみよう。
―ALOF、それは宇宙開拓において、無くてはならない存在である。宇宙開拓の歴史=ALOFの歴史と言えるだろう。
そんなALOFについて本書では簡単に説明していく。
1.ALOFとは
機動戦闘用肢体稼働機構、アームド・リム・オペレータ・フレーム(Armed Lim Operator Frame)
それがALOFの正式名称だ。簡単に言えば、宇宙空間での戦闘を主目的とした、手足を持つ体である。詰まるところ、人型機動兵器である。ただし、戦闘だけが目的ではなく、冒頭でも述べたように開拓に置いても有用性を発揮するための機能が多く組み込まれている。もちろん、地上での活動も可能である。
2.ALOFの頭
頭は視界を始めとした索敵、探査用センサー、通信用レーダー等の集合体である。これらを処理するメインコンピュータは胴体部にある。そのため、どの世代の機体も頭は小さい。
3.ALOFの手足
ALOFの特徴とも言えるのがこの手足である。世代毎に長さや太さ、形状が違っているが、基本的に同じなのが上腕、下腕(人間で言うところの前腕部)、上脚(上腿部)、下脚(下腿部)がそれぞれプラズマ推進スラスターとなっている点である。
上腕は肩部ユニットに、上脚は腰部ユニットにプラズマ制御ユニットが組み込まれており、下腕は肘、下脚は膝に補助制御ユニットが組み込まれている。
各制御ユニットから各腕、脚についている二重構造のスリットに渦を巻くように整流化したプラズマ(以降、この整流化したプラズマをビームと呼ぶ)を流し込む。渦を巻いて流す事で、まるでコイルに電流を流したかのように電場と磁場が発生するのである。
二重構造の内側と外側で渦の方向と波長を相反するように流すことで、それぞれの渦により発生する電場と磁場が反発しあい、結果的に外側スリットのビームが噴射されるような動きを取り、推進力が生まれる。
スリット自体もある程度は角度や向きが調節出来るように可動式となっている。そのため、例えば武器を構えた状態での機体制御等、様々なシチュエーションでも対応出来る作りになっている。
また、一時的にビームの供給を外側スリットだけに絞り、ビームの方向と、出力を調整する事で擬似的なプラズマビームソードが作り出せる。これは実際に武器として使用されているプラズマソードがこのスラスターユニットの研究過程での副産物として産まれたから出来る事であり、技術を逆輸入した形だ。制御ユニットが飛躍的に進化した第3世代機から非常用の武装として取り入れられている。手に持つプラズマソードとの混同を避けるためにこちらのプラズマソードはプラズマブレイドと呼ばれるのが一般的である。
また、ユニット内を流れたビームの放出のために肘、掌、膝、踵に排出口がついている。掌のみプラズマ供給式の武器のためのコネクタとなっている。
このコネクタには簡単なビーム集積機能があり、集積したビームをスラスターユニットの力で一気に放つ事で至近距離の目標を溶解、破砕する事ができる。惑星の調査などで障害物の除去で使われる事が多い。
次に足(足首から先)の構造についてである。足は大きく分けて3種類のモードがある。
1.無重力で浮遊している時は爪先を真下に伸ばして固定されている。
2.重力下での接地時は爪先と踵で接地。ハイヒール形態と呼ばれる事が多い。
3.無重力状態での接地時は、足の形は重力下と同じハイヒール形態であるが、爪先と踵の間からアンカー又は電磁石が出てくる。惑星等の地面に対してはアンカーが、基地や船の床に対しては電磁石が選ばれる。(そのため、格納庫の床等は金属板が使用されている。)
4.ALOFの胴体
大体のALOFは胴体にコックピットがあり、その奥にメインコンピューターが内蔵されている。また、首の横には固定機銃が設置されている。これは主に対人制圧用であり、兵器相手では関節部などの脆い箇所以外では効果は期待できない。
背中にはメインスラスターユニットがある。このユニットは主に速度や加速を得るための物であり、可動範囲は狭めである。姿勢制御は手足のスラスター頼りなのである。
胴体から腰に繋がる腹部とでも言える所にバッテリーが入っている。ALOF自体は動力炉を持たず、バッテリー駆動となっている。プラズマを利用した兵器であるALOFには、バッテリー駆動の相性がとても良く、プラズマ制御の過程で電気エネルギーも取り出しているので、稼働時間等の問題はないと言っていいだろう。―
ふっー、疲れたから今日はここで終わり。AIでも頭を使うと疲れるのである。ん、次のページに電子メモがある。
「んっー!疲れたからここで終わり!果たして、次、この本を開くことがあるのでしょうか!?未来の私に期待!」
メイリアのメモだ。きっと開くことはなかったんだな。メモを残した事も忘れてそう。
というか、1ページ差でメイリアに負けたのか……。悲しくなってきた。