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「メイリア、すごい」
「おいおい、とんでもないな。だがあんまり無茶するな。まだこの先何が待ってるかわからないんだ。安全な所で少し休んでろ」
2人から信じられないといった風に感想が漏れた。
実際ここまでの戦果が出せるとは思っていなかった。メイリアも興奮からか心拍数が上昇し、少し震えていた。
わずか2分半の間にドロンズ11機撃破、19機に損害を与えた。しかし、こちらも軽症ではあるものの、無傷というわけにはいかなかった。
群れから飛び抜け、少し離れた所で振り返る。仲間の2機が残ったドロンズを殲滅していくのが見えた。
「メイリア、大丈夫か?隊長の言うとおり、落ち着くまでここで待機してよう」
「ありがとう、フィア。そうだね、そうしよう」
敵の間を縫う用に青白い光が走っている。あれはシシハナさんだ。ソードでの攻撃をメインにしつつも、手の届かない敵から脅威を感じればライフルで撃ち落とす。遠近ともに申し分のない操縦技術と危険察知能力、俺とメイリアの力を合わせてもまだまだ届かないな、これは。
一方、ラハラ隊長は、シシハナさんの少し後ろについてライフルで撃ち漏らし無く落としていっている。
シシハナさんみたいに派手さは無いシンプルな戦い方だけど、まるで戦域全体が見えているかのように危険度の高い敵から狙っているのがわかる。シシハナさんがあそこまで大暴れできるのは隊長のサポートがあってからこそなのだろう。
気づけばメイリアがまた祈るようにして何かを握っている。心拍数は落ち着いてきている。
「メイリア、聞いてもいいか?その握っているものはいったい…?」
「これ?これはね、私のお守り」
そう言って見せてくれた物はいわゆるロケットペンダントだった。
「お父さんの写真が入ってるの。お父さんもパイロットだったんだけど、私がまだ小さい頃、任務中に行方不明になっちゃったの。こうやってるとね、お父さんが護ってくれているみたいで落ち着くの」
「そういう事だったのか。実際に心拍数が落ち着いているから、本当に護ってくれてるのかもな。そういえば、メイリアの話をあまり聞いた事なかったな」
「ふふ、この任務が終わったらね」
お出迎えのドロンズも殲滅し、2機と合流して巣探しを再開。少し進むと光を放つ物が見えてきた。
近づくにつれ、その建造物の姿がはっきりとわかってくる。
資源衛星、それは周辺の宙域に資源が採掘できる彗星や惑星が無いか、あるいはそれらを横取りする者がいないかを監視するための人工衛星であり、レーダー類とデータを送信するための巨大なアンテナが目立つ円筒形の姿をしている。そこに長方形を3つ組み合わせた様な形のゴツい宇宙船がくっついていた。
遠く知らない宙域に資源の略奪目的で来て、資源を探すための無人の道具が置いてあるのを見つけたら利用するのは当然といえば当然だな。
敵の船から何かが出てくるのを検知。数は6体。ディスプレイに拡大表示した。
「隊長、あれは?」
「護衛が出てきたか。無人機ではあるが、ドロンズの様にはいかないぞ。お前達、油断はするなよ」