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初投稿となります!
気軽にロボット物、SF物の楽しさに触れらるような作品になれるように頑張っていきたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。
――――ッッッ!
電撃が全身を駆け巡ったような感覚で目が覚めた。ってあれ、俺、病床で静かに目を閉じて死んだよな…。不思議な感覚だったけどハッキリと死を自覚出来たんだ。もしかしてこれは異世界転生!?
「アップデートを途中で強制終了なんてしたらどんなエラーが起きるか……」
騒がしいおっさんの声が聴こえた。というか頭に入り込んできたというか……変な感覚だ。それに目の開け方がよくわからない。どうなってんだ……。
「悠長に待っていられる状況じゃないでしょ!隊長達があの大群相手に先に戦ってるんだから!」
今度はもっと近くからの声だった。まだ若々しい女性の声。どこから聞こえたんだろ?ふむふむ、コックピット内集音マイクね。え?
「認証、メイリア・アルスメリア」
お、落ち着いて自分の状況を……「パイロット認証」……把握しよう。うぉおい、勝手に喋らされたぞ……。
「機体チェック開始、チェックしながら装備を取ってカタパルトへ。装備はBタイプ、ピストルマシンガンを狙撃ライフルに変更」
機体チェックですね、ええ、わかりましたとも。認証してからというもの物凄い量の情報が頭の中に流れ込んでくる。これで嫌でも自分の状況が、自分が何になったのかを解らされたよ。
――クェルツ星団連合宇宙軍第410艦隊所属独立遊撃斥候艦ハロンナの艦載機。
――機動戦闘用肢体稼働機構、アームド・リム・オペレータ・フレーム(ArmedLimOperatorFrame)
通称 ALOF の型式番号ALOF-NA6「クーリア」。
――メイリア・アルスメリアの搭乗する「クーリア」に搭載されている戦闘支援用第4世代AI
が今の俺である。生身だったら暗記は無理、それどころか読み飛ばすレベルの文言を0.2秒くらいで頭に叩き込まれて記憶できてしまっているのだから真実なのであろう。
「うそっ、やっぱりAIおかしくなっちゃた?もう一度、機体チェックと……」
あ、やべ、機体チェックと装備でしたね、はいはい。
各部センサー、カメラ、駆動系、プログラム、各部プラズマ整流化装置オールグリーンっと。内部ディスプレイに結果を随時送りつつ、本日の装備 −プラズマダガー、左腕部装着小型シールド、それと狙撃ライフル− を格納棚から取って各部にセット。
「ゎわわ、急に動き出した。しかもいつもより随分手際がいいし。おかしくなっただなんて言って怒らせちゃったかな、フィア?」
俺がキビキビ動き過ぎているせいで、シートとパイロットスーツの固定に苦戦しているメイリアが話しかけてきた。ところでフィアって俺のこと?
カタパルトに足を乗せながら内部カメラをよーく解析してみる。
メイリア・アルスメリア。アマナ星出身、17歳と4ヶ月。16歳になると同時に訓練校を卒業、そのまま現隊に所属。8度の戦闘を経験。2体撃墜の記録あり。
いやいや、そんな情報は後でいい!
黒く艶めく肩までかかるストレートな髪。目元は優しげでありながら意思の強さも感じられる。長いまつ毛のせいだろうか。その黒いまつ毛の下にはエメラルド色のクリっとした目が少しいたずらっぽさを浮かべながらカメラを見つめていた。
「メイリア機、発進いつでもどうぞ!」
通信がそう告げた。そっか、俺これから戦うのか。しかも宇宙で。マジか。
「行こう、フィア」
メイリアが覚悟を決めた様に小さく呟いた。
フィア、やはり俺の事のようだ。喋っていいのかな。過去ログ見るとThe・AIって感じの返答してるな。
「機体は良好。私があなたを助けます」
ちょっとオマケして気遣ってみた。だってメイリアの心拍数結構高いんだもの。
「えっ!ふふ、ありがとっ!」
驚きながらも嬉しそうに笑みを浮かべ、言葉とともにメイリアはペダルを踏み込んだ。
「メイリア・アルスメリア、行ってきます!」
脳内で情報が巡るなか、その笑顔で俺も少しは戦う覚悟が決まった気がした。