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ブルースター  作者: antanm
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「わぁ、大きいね。」

レイの家からいったん自宅によって着替えてから電車に揺られてやってきたショッピングモールは想像を超える大きさだった。

そのどこか近未来的な外観に自分と同じように遊びに来た人が足を止めて見入っていた。

ここ最近ずっと雨が続いてたからかたくさんのお客さんが押し寄せているらしくガラス越しに見える中の様子は人でいっぱいでまだ外にいる私達の周りをたくさんの人が通り過ぎていく。

「…やっぱり家にいればよかった。」

思った以上にすごい人混みまだ中に入ってもいないのに帰りたそうな顔をしてレイが言った。

そんなレイの手を引いて中に入る。

入口近くのフロアガイドを見ながら行きたいお店を二人で決めていく。

せっかくだからバイクのヘルメットを買い換えたいというレイがお店にあたりをつけているのを待っていると隣の女性が私達…正確に言うとレイをチラチラ見ていることに気づいた。

いつものことだけどやっぱりちょっとむっとしてレイに近づく。

今日はいつもよりだいぶオシャレをしてきた。

奮発して買った女の子らしい白いワンピースに髪だってヘアアイロンできれいにスタイリングしたしメイクもバッチリだ。(レイは何も言ってくれなかったけど。)

だからかいつもより自信を持ってレイの隣に立てる。

したり顔で隣を見るともうあの女性はいなくなっていた。なんなんだ、もう。



本屋さんで欲しかった漫画を買ったり、雑貨屋さんで殺風景なレイの部屋に飾る小物を買ったり(レイはどうでもよさそうにしてたのでほぼ私が選んで買った)して二人で過ごす。

「…ねぇ、どっちがいいと思う?」

お気に入りのリップが失くなってしまったので新しいのを買おうと思い寄ったメイクショップで新作リップの色を見比べながら隣にいるレイに聞いてみる。

「…ピンクでいいんじゃない。」

携帯片手にどうでもよさそうにレイが言った。

どっちでもいいとか言わないのは優柔不断な私が迷ってしまうことをわかっているからだろう。

だからってもう少し悩んでくれてもいいんじゃないかと持っていたリップを見下ろして呟いた。「…オレンジもかわいいんだけどな。」

なんてつぶやきながらいつもつけているのと似た色合いのピンクのリップを持ってレジに向かう。

「なんでそんな顔してるの? オレンジがよかったならそっちにすればよかったじゃん。」

会計を終えて戻って来るとレイが私を見て言った。

そんな顔ってどんな顔だ。

「いいと思ったんだけどね、あの色。だってあれ由良がいつもつけてる色に似てたし、似合ってたから好きだったんけどあれ。」

どうやら何も考えてなかったわけじゃなかったみたいだ。

ニヤニヤして思わずレイの腕を組むと今度は気持ち悪がられた。

いいもん、気にしないから。



何店か周り終えて休憩しようといってレイが買ってきてくれたのは今話題の私が前から飲んでみたいと言ってたレモネードだ。

甘いものが好きではないレイはコーヒーを飲んでいる。

「…なんか結構買っちゃったね。」

まだ行きたいお店全部周りきれたわけじゃないのにレイの家に置こうと思って買った雑貨やお皿やら来る途中によった自宅でレイと遊びたいとごねた妹へのおみやげのぬいぐるみやらが置かれた横のベンチを見て言った。

「さっきコインロッカーあったからそこに入れてこよう。持ったままじゃ大変だし。」

先にコーヒーを飲み終えたレイに荷物を頼んでレモネードを飲みながら行き交う人々をみていると肩に黒い鞄をかけたスーツ姿の坊主頭の中年男性がどこかおぼつかない足取りでやってきて私の向かいのベンチに座った。

なんとなくそのおじさんを見てると鞄を横に置いてケータイをいじりだした。その人の顔色がどこか悪く見えてそのまま見ってしまっていると彼はハンカチで顔の汗をぬぐってそのまま顔を伏せてしまった。

辛そうに思って声をかけてみようと立ち上がろうとすると私より先に彼のとなりに座っていた女

の人が彼に声をかけた。

「あの、大丈夫ですか?」

そういうとそのおじさんは突然伏せっていた顔をあげ、その人を見て言った。

「あっ、いや大丈夫です。」

そういうと慌てて立ち上がり鞄をもって去ってしまった。

ほんとに大丈夫かなあの人。どこか思いつめた顔をしていたからかまったく知らない人だけれど印象に残っておじさんが歩いて行ってしまったベンチを見ていると荷物をしまい終えたレイが戻ってきた。

なんとなくレイが浮かない顔しているのに気づいて声をかける。

「…どうかした?」

「¨…ごめん。呼び出しかかった。」




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