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久しぶり、文化。さようなら、家族

主人公たちの名前の由来は、花から取っています。


〜side由莉〜

商業ギルドから待ち合わせの市役所前に行くと、

大地が一人でカードのようなものを持って待っていた。

しかも、傘を三本持っている。

さらに、みんな洋傘タイプなのに、、どこで見つけてきたのか、分からないような

番傘に竹馬が引っ付いて足が乗せれる形になった様なやつだ。

しかしかっこいいかアレ?


一つは紺色に暴風雨が、

一つは朱色に黄金の太陽が、

一つは、漆黒の傘に黄金の三日月が描かれている。


ちょっとカッコいいかも……

大地はこちらに気づいたのか

手を振っている。

そして私たちを、市役所の三階に連れていき、大きな窓から、傘に乗り、

飛び立った。

私達に傘を二本渡して、着いてこいと言わんばかりにこっちを見て、

フワフワと浮いている。


私は、太陽の描かれた傘をさして、

少し怖いが飛び出してみた。

そういやザンギは……



(とっ、とんっ、飛んどるッッ!!!!!)


危ないもう少しで傘から落ちるとこだった。

ザンギは進化して、8m近い大きさになったのだが、

背中にやたらピカピカ光るトンボの羽みたいなものを出して、

こっちを不思議な顔してみていた。


なんとなく心配されていそうだ……

というか大きくなりすぎたような気がする。

しかし、小さくなれないかと聞いてみたら、

頭に直接


(由莉……私はやはり大きくなるとダメなのか……)


(小さいままがいいのか……)


と、震えた言葉で語りかけるので、

どうにもならない。

しかも出来るらしいのだが

出来たら出来たで、

しっぽをペタンとして、

泣きそうな目で、こっちを見るから、

わしゃわしゃして可愛がる。

やはりいい毛並み、

毎朝4時30分に起きて2時30分の努力が報われている。

まぁそんな感じで、何となく大きなままでいるが、

そんな羽なんてもの出せたのか。


偉い……


後で可愛がろう。


そして後ろの蓮と共に、大地を追いかけると、

宿についた。

この街の宿は、入口と受付が三階にあり、

一階と二階が部屋となっている 。

風の音があまり気にならないようにらしい

日本には無い構造である。


そして、ザンギを縮めた後、三人で受付に行く。


「朝まで休まれますか?」


「一部屋、銀貨1枚、1万ヘルスとなります。」


(やけに安いわね……)


するとすぐ答えは帰ってくる。


「食事、風呂はありません。」


「御手洗は各部屋にひとつございます。お使いください。」


どうやらサービスは最低限のようだ

トイレがないことまで予想していたが、トイレはあるようだ。

そして、1階の9番の部屋が、

料金が少し、銅貨二十枚分高いがベッドがふたつある様なので、そこにする。


部屋に入ると、ベッドの割り振りを決めてから、

ベッドに入る。

蓮と大地の二人がこちらを見ながら、

ベッドの中で抱き合うのを見て、

思わず吹き出す。昨日までの緊張した空気が嘘みたいな

安心感だ。


みんなでギルドの話をすり合わせてから、

こう、提案する。


「明日は服を買いに行こう。」


乾かしたけど、パンツは履いてないしスカートも履いていない。

大地から借りた。ハーフパンツを着ていて少し、

ダサいのでこの世界の服を買いに行こう。

いつまでもビリビリの学生服じゃあ浮いてしまう。


大地は白いシャツと、茶色いズボンを買って履いている。

ギルドに行く前に買ったのだろうか?


ひとり40000ヘルス渡して、

私たちの傘にギルド登録代、

かなり残金が減っているのではなかろうか?

後で傘の分は返そう。


後みんなの共用金が30000ヘルス

明日、まず服を買って、

冒険者ギルドに行こう。そこでカードを発行して、

装備を作るらしい。

クイン・アントの素材で一番危なっかしい私の防具を作ってくれるのだそう。


そんな話をしたあと、私たちは、少しの談笑をして各々の寝床に着いた。


(おかーさん元気かな……ついでにおとーさんも……)

(いきなり私が消えたんだもの、今頃は三人とも捜査届が出されてて、

ニュースでも見つからないだの、なんだだの、言われているのだろう。

家族は私が居なくても、笑ってて欲しいな。)


私は願う


(いつか私達が元の世界に戻れますように。)


〜side佐倉〜


「なぁ、うちの姉さん元気だと思うか?」


「まぁ、佐倉のお姉さんなら元気でしょ。」


「そりゃそうか……あんなうるさい人そうそういないしな!」


「そうだね……」


「少し、寂しいね。」


蓮がそうつぶやく。

確かに俺だってそうだ。


親父が五歳でいなくなって、母さんが死んで、

そこから、姉さんは俺を育ててくれた。

親父んとこのババアは知らねぇし、

母さんの親は産まれる前に死んでる。


15で母さんが死んだあと、遺産を少しずつくずして

姉さんが大学卒業してから住んでる会社の近くのマンションに、

家と土地と家具は、売って

アレスと一緒に、姉さんの家に引っ越した。


そこから、普段作らねぇメシを作ってくれて、

面倒見てくれた。


(優しかったな…)


姉さんはまだ23で綺麗で可愛いんだから、

俺もアレスもいなくなったんだから、

幸せに、結婚して、子供産んで、思い残すことなく、思う存分幸せになって、死んで欲しい。


俺の事を今探してるだろう。

蓮と由莉の親と一緒に、探して、ケーサツにも捜索されてんだろう。


(嗚呼、勿体ない、名残惜しい……

姉さんの結婚式の花嫁姿見れなかったな……

姉さんの子供見れなかったな……

姉さんに謝れなかったな……)


思いが溢れる。

俺は一人、声を殺して泣いた。


申し訳なかった。

姉不孝な弟だった。


もし……姉さんが俺の事を気にして、引き摺って、心残りになって、

居なくなった事が、これから唯一の不幸になるのならば、

俺の事など忘れて欲しい。


これまで、親の離婚、母親の死、友達と遊ばず、飲みにも行かず、

俺の面倒を見て、不幸なことばかりだったのだ。


せめてこれが最後の不幸になって、

俺の事など忘れて

今までの分、いっぱいのシアワセに包まれて欲しい。


この世に神がいるのならば、どうか、これだけを願う。


(姉さんのこれからの人生が、愛と喜びだけに包まれますように……)


俺は蓮を置いて、街の外に出て、泣いた


「.......」


涙を流してこう思った


(もう一度会いたいな、会って姉さんの餃子食いたいなぁ)


俺はアレスを抱きしめて、部屋に戻った。


〜side蓮〜


大地は泣きながら、出ていった。

部屋には小さくなった、ザンギと俺しか起きていない。

疲れてたんだろうし、

大地は唯一の肉親のお姉さんに思うことがあるのだろう。


俺は祈る。


(俺の事を、元の世界のみんなが、忘れてしまいますように。)


それだけを祈って、俺は寝た。






愛は遠く、そして永遠に

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