09.聖女達のママ友活動・ママ聖女の子育て奮闘記
聖女カーシャ・リースティンは非常に頭を悩ましていた。
彼女が住んでいるのは王都の西エリアの住宅街。
ここは大きな屋敷が立ち並ぶ王族や貴族や大商人などハイクラスの人々が住んでいる。
その近くの公園も大変広く立派な作りで、そこに集う子供を連れたママ達も、当然王族や貴族や大商人といったハイクラスママ達だ。
そしてそんなママ達は、侯爵・子爵といった貴族間派閥によってそれぞれが縛られグループ化していた。
そんな中でママ聖女カーシャは危機的状態に陥っていた。
「ママ友が全くできない…」
そうなのだ、カーシャは出目は田舎の平民、職はスラヴ王国第三独立小隊隊長、女神からの
祝福は戦の聖女、二度にわたる大異変を夫のヨシュアと共に活躍した英雄なのだ!
女王や王女との太いパイプを持ちながら、一切の忖度を受け付けず、下手に近づけば女神からの天罰すら食らわされかねない妥協の無い正義の塊のようなママ、それがママ聖女カーシャだ。
だがしかし――
「このままじゃこの子に友達すら出来ないぞ……」
愛する我が子がボッチなる未来を想像しては、育児ノイローゼが進むママ聖女カーシャ。
そこでカーシャは身分を隠し、夫のパパ勇者ヨシュア共々王都の東地区に引っ越すことにした。
西地区とは違い、東地区は活気溢れる庶民の街、商店街の人たちも気さくに話しかけてくれる。
「やはり西地区に引っ越してきたのは正解だったな!さあ公園でママ友を見つけるぞ!」
カーシャは西地区で花屋を営む後輩ママ聖女アリサと意気揚々とのり込んだ。
「カーシャさん、覚悟して下さいね。ここはママ達の修羅の国です…」
「なに?」
そこには王族や貴族以上に複雑な、庶民の派閥による公園の縄張りが出来上がっていた。
果たしてママ聖女カーシャは無事(アリサ以外の)ママ友を見つけられるのだろうか?
息子に友達は出来るのだろうか?
ママ聖女達の公園をめぐるママ友バトルが始まった!
【登場人物】
カーシャ・リースティン
31歳(実年齢28歳)女性
聖女 聖騎士
スラヴ王国第三独立小隊隊長。
戦場の聖女・雷帝など様々な二つ名のある戦闘特化型の聖女。
現在は不妊症を克服し一児の母でもある(実はお腹の中に二人目が仕込まれている)。
聖女の任期27歳を超えても力が全く衰えなかった為、いまだ現役でいる。
二度の大異変を仲間と共に立ち向かった英雄で国からの信頼も厚い。。
王都西地区でママ友が全く出来なかったので、身分を隠して東地区で公園デビューした。
アリサ・リースティン
20歳(実年齢17歳)女性
聖女 フローリスト
王都で生花店兼武具店を営む聖女。
カーシャと同じく戦闘特化型の聖女だが戦闘職には就かなかった。
勇者ユーシスとめでたく結婚し、一児の母となる。
ジョアンナ
28歳女性
王都東通り商店街自治会長の婿嫁にして、東通り商店街子供会会長。
面倒見がよい分、人使いもメチャメチャ荒く、東通り商店街で20代の中では最強権力を誇る。
二児の母。
ミラ
52歳女性
王都東通り商店街婦人会会長。
実質王都東通り商店街最強組織のトップ。
ジョアンナの義母。
彼女と同組織の逆鱗に触れれば、その日から商店街に居場所がなくなってしまうほどの絶対権力者。
実質カーシャとアリサのボス的存在。
フジタ
75歳男性
王都東通り商店街老人クラブ会長。
商店街の御意見番的存在。
トーン
40歳男性
王都東通り商店街消防団会長。
消防団とは名乗っているが実質青年団と同じ。
東商店街のイベントがある度に駆り出され疲弊していく。
アレッタ 20歳女性
マイナ 20歳女性
サンドラ 21歳女性
アリサの幼馴染にしてカーシャの初めてのママ友。
【世界観】
ティラム世界という異世界のスラヴ王国王都の東通り商店街と東公園が舞台。
ティラム逃亡記2020から5年後の世界。
日常に翻弄される聖女達の子育て日記的ななにか?