28.寝取られ後のファンタジー ~腹ボテ侯爵令嬢は最愛の幼馴染と旅に出る~
題名
【寝取られ後のファンタジー ~腹ボテ侯爵令嬢は最愛の幼馴染と旅に出る~】
ジャンル
異世界/恋愛
【冒頭部分】
「うそ…………生きていたなんて! ああ、アル!」
「メラニー、そのお腹はどういうことだ!」
「こ、これは……」
メラニー・パリス公爵令嬢は、戦場で死んだと聞かされていた元婚約者アルフレット・ジョーナイトの生還を喜ぶと同時に、お腹に子を宿している自分に絶望した。
現在妊娠六ヶ月。そろそろお腹が目立ち始める頃だ。
まだ小さな変化だがアルフレットはそれを見逃さなかった。
もちろんアルフレットとの間に出来た子供ではない。
「いったい、誰の子なんだ……相手は!?」
「アリアン……」
アリアン・アタラシア。
メラニーと同じ侯爵位のアタラシア家子息次男。
幼少のころからアルフレットとメラニーの間に何かと割って入ろうとしてきた男。
幼馴染の間柄と言えないことは無いが、アルフレットとの仲は決して良いものではなかった。
「アリアンだって? どうしてあんな奴なんかと! どうして僕を裏切ったんだ!?」
「違うわ! 私は裏切るつもりなんて無かった! ずっとあなたを待っていたのよ!」
「じゃあそのお腹はなんだ!」
「だって……あなたが戦場で死んだって通知があったから! 悲しくて苦しくて……そんな時にアリアンが親身になって心配して励ましてくれたの。アルの死を受け入れて時計を進めるべきだって。私が強く幸せに生きる事をアルもきっと願っているって……そう言われて……私はアリアンを受け入れてしまったの……」
「そんなバカな!」
幼馴染であり婚約者であるアルフレット・ジョーナイトの死亡通知が戦場より届いたのが二年前。そのため婚約は自然と解消されてしまった。
そして傷心にふさぎ込むメラニーの心にスルリと入り込んで来たのがアリアン・アタラシアだった。
それからアリアンは、傷心のメラニーのためとパリス夫妻を説得。言葉巧みにメラニーと婚約したのが半年前だ。
「明後日、アリアンとの結婚式なの…… うう、どうしてこんな事に……」
メラニーは両手を地に付き泣き崩れた。
突如勃発したマハパワー王国とアストラ公国との戦争。
ジョーナイト伯爵家次男アルフレットは、戦場に赴く前にパリス侯爵家令嬢メラニーと婚約を交わした。
戦争終結後に、アルフレットは男子に恵まれなかったパリス侯爵家に婿入りする予定だった。
しかし配役は変わり、パリス侯爵家に婿入りするのはアルフレットではなくアリアンだという。
「そういう事だ。もうおまえとメラニーの人生は交わる事は無い。諦めるんだな」
背後から勝ち誇ったような声。現れたのはアリアン・アタラシア。
「アリアン! 貴様!」
「ふふふ……運命とは残酷なものだ。さあメラニー、こんなところにいたんじゃお腹の子に良くないよ」
アリアンはメラニーを立たせて、膨らみ始めたお腹を撫でた。
「うう……ごめんなさい……本当にごめんなさい……アル……」
メラニーは何度も何度も謝罪を繰り返しながらアリアンに促され去って行った。
「おかしい、絶対におかしい。生きているのに死亡通知が届いただと!? そのせいでメラニーが寝取られ孕まされただと!? こんなおかしな話があるものか! 絶対に何かある!」
メラニーとアリアンの結婚式まで今日を入れて三日。
メラニーとアリアンの間に子供が出来てしまった以上、アルフレットとメラニーの人生はもう交わることは無い。
それでもアルフレットは真相を暴くべく乗り出したのであった。
***登場人物***
【メラニー・パリス】
主人公。
パリス侯爵家令嬢。
お腹にはアリアンの子が宿っている。現在妊娠6ヶ月。
結婚式直前に忽然と姿を消したアリアンを追って、アルフレットと共に捜索の旅に出る。
【アルフレット・ジョーナイト】
主人公の元恋人であり幼馴染。
ジョーナイト伯爵家次男。
戦地に行く直前にメラニーとの婚約が成立。
しかし謎の死亡通知がジョーナイト伯爵家に届き、婚約は自然解消してしまう。
また戦地ではイレギュラーな部隊配置換えにより、勝ちようのない激戦区へと送られてしまった。
あまりに不自然な一連の出来事に、帰還後すぐアルフレットは調査に乗り出した。
その結果は……
【アリアン・アタラシア】
アタラシア侯爵家次男。
傷心のメラニーの心の隙に入り込み、巧な話術でまんまと寝取り孕ませた男。
アルフレットに真相を暴かれ国外に遁走する。
IQが高く、どんな議論でも論破する。
【アリサ・リースティン】
大国であるスラヴ王国にて、なぜか花屋とオープンカフェを営んでいる聖女。
メラニーは堕胎の為にアリサの元を訪れる。
(接触時、三つの選択肢が現れ【ハッピー】【トゥルー】【バッド】の三つのエンディングが用意される。なお何を選ぼうと聖女アリサは堕胎を拒む模様)
【ベティー・ライカー】
スラヴ王国アクサナ王太女付き宮廷魔術師。
未来視と時間停滞の魔術を得意とする。
***家***
【パリス侯爵家】
パリス侯爵家は男子の子宝に恵まれず、また親族にも養子の当てが無かった。
そのためパリス侯爵家はメラニーにアルフレットを婿養子としてきてもらい代を継ぐ予定だった。
しかし配役は変わりアリアンが継ぐことに。
【ジョーナイト伯爵家】
軍人筋の家系で戦場では士官クラスとして活躍している。
【アタラシア侯爵家】
交戦国であるアストラ公国と繋がりがある怪しい侯爵家。
アリアンとメラニーを婚姻させパリス侯爵家を掌握し国内最大派閥になることを目論んでいる。
その上でクーデターを起こして国の乗っ取りを画策している。
多分よくありそうな内容です。
修羅場を含ませたいのは性癖ですのであしからず。