リバーサイド
私は運がなかった。
今も、昔も。
だから、そこに足を踏み入れることに何の躊躇いもなく踏み出すことができた。
さよなら、くそったれ。
もうお会いすることはないでしょう。
どうぞ、クソ同士楽しんでね。
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「アァ、ヒドいネェ。ゼンぶバラバラじゃナいヵ!!」
-------------教授、何かご用意しますか?
「トりあエず、イツものとイトオオめにモってきてくれ。アト、そのヘンのモルチャンたちモ」
やけに頭の上が騒がしい。
カタコトで話す男の声と耳ではなく
頭に入ってくるような"声"
"声"は了解しました、とだけ告げると
気配が遠くなるのを感じた。
「サァ、ヒさビさのおキャクさンだ!チョーッとだけガマンしてネェ」
何言ってんだ、このカタコト男。
ここは、病院?
病院でここまでうるさくしていいものなのか。
そんなことを考えながら目を開けると、ぎょろりとした目と目があった。
一瞬の沈黙、そして……
「ぎゃあああああああああっ!!」
「アハッ、コーいうハンノウ、ひサビさでウレしぃネェ!ヤリがいがアルよぉっ」
絶叫。
カタコト男は私の反応など意に返した様子もなく、むしろ嬉しそうに手をワキワキさせていた。キモイ。
「な、な、なんなのっ、それ!?特殊メイクか何か!?」
「トくシュメいク?アぁ、コレはワタシのサイこウケッさクなんダヨぉ!スてキでしョ?」
ステキ…最高傑作…
説明されてもよく分からない。
やっぱり特殊メイクなんだろうか。いや、でも…明らかに『本物』のように動くソレがそうじゃないと証明してるようだった。
-----------------教授のそれは、本物ですよ。教授が自身にした人体実験の成果です。
「じ、人体実験!?」
頭の中の"声"に反応すれば、カタコト教授の隣にふよふよと何かが浮いていた。明らかに人じゃない、それ。
キャパオーバーした頭はブツリとそこで記憶が途切れた。