疲れたしお風呂入りたい
魔剣を抜いてから動き通しだったメルルは、城に到着すると玉座に腰掛け疲れた身体をダラケさせた。
元々華奢な身体で引きこもり体質だったメルルは備蓄された疲れにだらしなく力を抜いて眉をハの字にしている。
「魔王様お疲れですか?」
「引きこもりの無職だったからねー。もう一年分くらいは動いた気分だよ。久しぶりに汗かいたし今日はもう動きたくない」
もうお外には出たくない。なんならもう寝たいくらいの心境で、話す言葉もやる気なく間延びしている。
「かしこまりました。ならば、今日はもう休息とし、明日よりまた行動しましょう」
「そうしてくれる?」
腰まで伸びた長い黒髪を指先でイジると、動いたせいで汗に塗れ、空を飛んだせいか土埃や風に流された髪はキシキシと固くなっていた。
手櫛を通してみればと、ギチギチと引っかかって手のひらには土埃がついている。
自慢の黒髪がかつてなく痛んだ状態にメルルは溜息が出た。
出来ることならば、この汚れた体をさっぱりさせたい。
「ねぇサキュバス。ここにはお風呂ないの?」
「湯浴みがご所望でございますか!お任せください、ここの火口の熱を利用した浴場がございます!すぐにご用意して参ります!」
風呂という言葉に目を輝かせたサキュバスは大きな乳房を豪快に揺らしながら玉座から走り去って行った。
あまりに大きく揺れる様を見て、メルルは自分の心許ない胸に手を当てた。
同じ女性でありながら、何故自分にはこんなにもまな板なのか。
ほんの少しばかりの膨らみは感じられるが、他と比べれば平均以下な体型だし、今しがた見たような走って揺れることなど無い。
「魔王様!湯浴みの用意が出来ました!お背中お流しします!」
「早いね。わーい、お風呂だお風呂ー」
火口近くの熱を利用した風呂場が城内地下に用意されており、メルルはさっさと服を脱ぎ散らかすと、一人で入るには大きすぎる風呂に飛び込んだ。
「あはぁー、癒やされる。しかもこれ温泉ぽいな。香りが違う」
肩まで浸かりながら、お湯を救って香りを嗅ぐと少しばかりの硫黄の香りがする。
「魔王様!わたくしも!」
追いかけるようにサキュバスも浴室へと飛び込んできた。衣類を纏わなくなり、締め付けるものを失った乳房が容赦なく飛び出している。
乳房に視線が注がれるのも気にもせず、メルルの隣に腰を沈めて方まで浸かると、ふぅと息をついた。
「こんな大きなお風呂に入れるなんて魔王はいいねぇ」
風呂は二人が入ったとしても泳げるくらいにはスペースが広がっている。
広大なスペース、ただの湯ではなく温泉、これほど贅沢なことはあるだろうかと、メルルは全身の筋肉を緩めてだらしなく笑った。
「こんなのは小さなものでございます!いずれは世界中の浴場も魔王様のものとなるのです!」
野望を振りかざしながら、サキュバスは立ち上がって手に拳を握った。
しかし、それよりもメルルの眼には立ち上がっただけで上下に揺れる乳に目がいってしまう。
メルルは自身のまな板に比べ、スイカ二つ分を宿したサキュバスにねたみの視線を突き刺した。
「大きなおっぱいだなぁ。私はまな板だから羨ましいよ···」
顔を半分沈めてぶくぶく泡を立てるメルル。視線は先ほどからずっと乳房を羨ましそうに見つめている。
絡みつくような視線に、サキュバスは咄嗟に手で乳房を隠したが、手だけではどうしても下の乳がはみ出してしまう。
頬を赤らめる仕草もとても女らしく、メルルはこんな子ならモテまくるんだろうなと思えた。
「魔王様ッ…どこを見てらっしゃるのですか」
「女同士だしいいじゃーん。ちょっと見せて」
「···ま、魔王様のご希望ならば」
隠していた手を退けると、白く張りのある大きすぎる乳房が現れた。
その中にある突起もピンク色で、大きさだけでなく美しさも兼ね揃えている。
まじまじと乳房を見られたサキュバスはイジらしそうに顔を赤くして視線を反らしている。
「でかい上に綺麗とか羨ましすぎるんだけど」
乳房に思わず手が伸びる。
両手で鷲掴みにしても余りある乳房を、指を食い込ませながら揉みしだいた。
柔らかいが張りがあり、湯につかって暖かいそれは揉んでいてとても心地いい。
「んッ···魔王様···イケません…」
「張りがある割に柔らかいね。はぁーいい乳してるなぁ」
揉み続けるメルルに、サキュバスはただでさえ赤くなった顔が沸騰しそうになり、息を荒くしている。
時折『あッ』『ん…』と嬌声をあげるとサキュバスは身体を捩らせながらも、メルルの手に身体を任せている。
そんな声をあげるものだから、メルルも段々と楽しくなってきた。
「サキュバスはどうしてこんな良い身体してるの?やっぱ食べ物?それとも悪魔だから?」
「私は···元々淫魔で···んッ…ございます。ですから、あッ···相手を、誘惑するために···はぁ···身体が作られているのです」
涎まで垂らして赤面しているのに気づくと、メルルは手を離した。
女同士ではあるが、これ以上やったらサキュバスがどうにかなってしまいそうだ。
離された手にサキュバスはまだ足りないように人差し指を咥えてメルルを見つめている。
「温まったし、そろそろ上がろうよ」
「えッ!?もうですか!?もう少し触って頂いてもいいのですよ!?」
「そろそろのぼせそうだしさ。今日はもう寝るよ」
湯から出るメルルの後ろ姿をサキュバスは困った顔をしながら見つめていた。火照った身体を生殺しにされて、サキュバスはどうしようもなく指を噛んだ。