表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/74

魔王らしく、ラスボスらしく

 空を舞うドラゴンの群れ、その下には翼を持たないドラゴンたちが大地を駆けていた。

 勇者たち一行はドラゴンの群れを引きつれると、ドロシーを先頭に魔王の治める都へと向かった。


「今ここから、私たち勇者の伝説が幕を開ける!」


 御伽噺の勇者になったかのようなドロシーは開戦を宣言し、引き抜いた剣を天高く翳した。

翳した鋸状の剣は禍々しく、ドロシー自身の心の内を現しているように見えた。


「さぁ!これで俺も一躍有名人だな!名声も富もこぞって俺の元にやってくると考えるとたまらねぇな!」


 ドロシーに異を唱えないホーキンスも巨大な斧を翳した。

歪んだドロシーを後押すする姿。それもまた私欲に塗れていた。


 大儀はどこへ消えた。

同じ勇者の末裔であったエリザは二人の姿に悪を垣間見た。

己の私利私欲のままに動いている姿を見ると反吐が出た。ついその感情が顔に出そうになり、エリザは息を整えた。


 ドロシーの鼓舞を受けるとドラゴンたちは勢いを増して猛烈な勢いで都へと足を、翼を早めた。

丘を越えてやがて城が見えると、ドロシーは手にした剣を振りかざし都への討ち入りを支持した。


「魔王に毒された都をその正義の炎で浄化せよ!」


 上空を舞っていたドラゴンたちが一斉に口から火球を放った。

都は瞬く間に炎に包まれると、黒い煙をあげて一瞬にして戦場へと変わり果てた。


 今日ここで、私はドロシーに謀反する。

立ち上る煙と炎を見ながら、勇者たちはそれぞれ違う目的を心に、城を目指した。



***


 町に火の手があがり、いくつもの炸裂音が響いた。

玉座から動かないメルルは時折振動で城が揺れるのを感じながら、まだ花を手にぼんやりとしていた。


「ココデ迎エ打ツノカ?」


 まだ自分が使われないのが不思議そうに魔剣が尋ねた。


「あったり前じゃん。わざわざ出向く魔王いないでしょ」


「今マデハ己デ動イテイタデハナイカ」


「それはそれ。これはこれ。勇者とのラストバトルだよ!?魔王ってのは城でのんびり待つのが定石なの!」


 そう言うと体をだらけさせて、場違いな欠伸をかました。


「随分ト肝ガ座ッテイナルナ。魔王ラシイノカ、ラシクナイノカ」


「らしくしてるでしょ。ちゃんと城で待ってんだから。物語の中だとさ、勇者ってのは大抵は仲間を集めて、力を手にしながら、魔王討伐を目指すもんじゃん?そんでもって最期に魔王を倒す。考えてみりゃ、そりゃ倒せるのも当たり前だよね。魔王一人に対して複数人で、しかも力手に入れてんだからさ。これが魔王じゃなきゃただのリンチじゃんね」


「ドコマデモ、オ前ラシイ考エダナ。ダガ、ソレナラバ魔王モソノママデ良イノカ?」


「ん、どゆこと?」


「…コウユウコトダ」


 魔剣は浮かび上がってメルルの前に来ると、その刀身に闇のオーラを纏い、形を変形させた。

肉厚で太く漆黒に染め上げられた両刃。柄頭には髑髏があしらわれた大剣はまさに魔王が振るうために作られた暗黒の剣。


「すげー!魔王っぽい!」


「形ヲ変エタダケダ」


「いいじゃん!いいじゃん!雰囲気でるよ!」


「メルル、オ前ニ私ノ中ニ蓄エラレタ、先代魔王様ノ力ヲ全テ注グ。サァ、受ケ取レ」


 柄頭の髑髏の目から闇が閃光となってメルルの胸に打ち付けられた。

身体の中にとてつもない魔力を感じると、メルルの身体からは暗黒のオーラが吹き上がった。

未だかつてない力を感じる。それこそ本当に世界を力で支配できるのはないかとも思える力。

 メルルは立ち上がると、宙に浮かんだ魔剣レーヴァティンを握り、大きく振り回しながら天へと掲げた。


「さぁ、来い勇者ども。この魔王メルル様が時代を終わらせてやるよ!」


 刀身から沸き上がった夥しい闇が極光となって空へと突きあがっていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ