このあと滅茶苦茶(以下略
「サキュバスが相手?魔王、お前男だったのか?」
「いや、女だよ。こんな可愛い男そういないでしょ」
「女同士で恋仲なのか?」
「そうだよ。ルシールが私の恋仲ちゃんなの」
ファージは納得がいかないように無精髭を摩っているが、メルルは毅然としている。
「世の中色んな形があるもんだな」
「世の中そんなもんだよ」
メルルはなんの躊躇いもなく恋仲であると言う。
ルシールはそれが嬉しくて仕方なかった。
***
寝室には白と赤のバラが飾られていた。
「いやーあのおっさんが結婚するなんてなー。でもお似合いの二人だったし、ラミエルも口には出さなかったけど嬉しそうだったね」
ベッドに寝転がりながら今日のことを話すメルル。
照れたように笑いながら、二人は幸せそうにしていた。
きっと彼らは同郷の危機に立ち上がり、二人で幾多の危機や逆境を乗り越えてきたのだろう。
そうして過ごすことで出来上がった揺るがぬ信頼と絆。
結果、それは結婚という形で二人を結ばせた。
幸せそうな姿にメルルもルシールも本当に羨ましいと思えた。
「そういえば花を買いに出たときもウェディング姿の女性を見ました。とても幸せそうに笑っていて、なんだか羨ましくなっちゃいました」
「やっぱウェディングドレス憧れるよねー!はぁー私もいつか着てぇ」
「メルル様もやはり着たいと思います?」
「もっちろん!もし私たちが結婚したら二人でウェディングドレスだね!」
ウェディング姿の二人が手を繋いで祝福される姿を想像した。
皆に祝福されて、花びらが舞って、二人は幸せそうにしている。
想像しただけで溜息が漏れた。
「あ、そうだ。ルシール、目を瞑って」
「え、なんですか急に」
言われた通りに目を瞑るとメルルはルシールの左手を握った。
「メルル様、なんです?今日はそうゆうプレイですか?」
「ちげぇよ」
左手薬指に冷たいモノが填められるのを感じた。
「はい!目あけていいよ」
銀色の指輪だった。真ん中には小ぶりな宝石がはめ込まれた細い指輪。
「これは…?」
「花瓶探してたら見つけたんだ。いいでしょ。私と同じペアリングだよ。多分、王と妃用に作られたものじゃないかな?」
ニヤニヤするメルルの左手薬指にも色違いの指輪が填められている。
お互いの左手を握って額と額を合わせた。
「恋人っぽくない?結婚するにはまだ色々とやり残したことがありすぎるから、今はこれだけ。でも、いつか世界が平和になったら結婚しよーよ」
「そうしたら二人でウェディングドレス――着れますね」
「うん。二人で着よーよ」
「メルル様。私やっぱりメルル様が好きです。魔王だからじゃなく、メルル様だから好きなんです。メルル様だからこんなに嬉しいんです」
「私もだよ。ルシールが好き。ルシールだから好き」
二人の少女は同じ理想を抱き、叶うように、祈るように、唇を重ねた。




