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やっとパーティに人が加わりました!

「魔王様を討伐するだぁ!?ふざけんじゃねぇ!」


 また一人、クエストの志願者が酒場を出ていった。

かれこれ五人目になるが、志願者たちは魔王討伐という名目を口にするとクエストを受注することなく酒場から出て行ってしまう。

中には今のように怒鳴り声をあげたり、魔王討伐を目指す勇者たちを罵るものまでいる始末だ。

 怪しくなってきた雲行きに、勇者たちは次第に言葉をなくしていた。


「チッ!また前みたいな世の中になったらどうするってんだ!」


 出ていった志願者が道端に唾を吐きながら道を歩いた。

それにすれ違う小さな男。頭には大きな兜、背には巨大な斧を背負ったドワーフだ。

通り過ぎる男を横目に、ドワーフは酒場の扉を叩いた。


「魔族討伐のクエストを見てきた。依頼主はおるか?」


「私たちだ。魔王討伐に向けて志願兵を募っている」


 去るならば早く去ってくれとでも言うように、エリザはドワーフを座らせることもせずに先に内容を述べた。

しかし、ドワーフは去ることなく勇者たちの席に腰を降ろした。


「魔王討伐か。どれほどの実力かはしらんが、相手にとって不足はないな」


「参加してくれるのか?」


「金額にもよるがな」


 エリザはマリアに目配せすると、マリアは懐からずっしりと重そうに詰まった巾着を取り出した。

ドワーフの目の前に置いて巾着の紐を緩めると、中には金貨がごっそり詰まっている。


「前金だ。成功報酬は倍出す」


「いいだろう。受けよう」


 出された巾着の紐を力まかせに縛ると懐へと仕舞った。


「お前の実力はどうなんだ?見たところドワーフの戦士ではあるようだが、魔族と戦ったことはあるのか?」


 疑うようなドロシーの問いかけに、ドワーフは鼻息を荒くして笑うと胸元につけていたネックレスを見せつけた。

獣の爪を磨いたような黒いネックレス。太く鋭い爪は恐らくは獣ではなく竜などの類だろうと勇者たちは認識した。


「我が名はドワーフの戦士、ホーキンス!魔族と戦ったことがあるだと?俺は魔族どころか竜退治の経験すらある。このネックレスはその時の戦利品よ。倒した竜の爪を削り取り、勝利の証としたのだ」


「ドラゴンをか!?まさか一人で倒したのではあるまいな」


「ドワーフを舐めるな。俺はドワーフ族でも1,2を争う戦士だ。証拠を出せと言われても困るが、俺は一人で竜退治を成功させた。もしそれが信じられないというのであれば、この場で手合わせしてもいいぞ」


 腕組をしてドロシーを見据えた。

ドラゴンといえば強大な魔力を持つモンスターだ。ギルドや王の兵団を持って倒すのが常であり、一人でドラゴンを討伐するなど、相当な手練れでしか成しえぬことだ。

ドワーフはそれをやってのけたと豪語している。

 しかし、それを証明するようにホーキンスの体は逞しく、数多の争いを経験したのであろう傷が体のどこかしこについていた。

巨大な斧も古くはなっているが、刃は磨かれて輝きを放っているし、その柄は長年握られたことを物語るように汗や油を吸って濃い茶色に変色している。


「言い分は分かった。ホーキンスと言ったな。ようこそ…我ら勇者のパーティへ」

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