ようは王様討ち取ればいんじゃね?
メルルたち一行は馬車に乗って王の都を目指していた。
以前、町を救った際に町長は『王のせいで民は苦しんでいる』と話していた。
これはいいキッカケなのではないかとメルルは思案した。
王政に苦しむ下々たち。王というのだからそれなりに領土は持っていることだろう。
そこでメルルは閃いた。
王を討ち取れば一気に支配広げられるんじゃね?と。
頭さえ潰せばその支配下も自動的にメルルのものとなる。
そう考えたメルルはさっそく城を出ると馬車に乗って王の都を目指していた。
いつもならばサキュバスに抱っこされて空を飛んでゆけるが、流石に王の都となると距離があった。
さらに今はスライムもいる。さすがに二人を抱えての長距離飛行は無理だろう。
なので、のんびりと馬車に揺られながら三人は王の都を目指した。
「魔王様、見てみて!空におっきな虹がある!」
「魔王様、わたくし魔王様のためにお弁当を用意しました♡どうぞ召し上がってくださいませ♡」
これから王を討ち取ろうというのに、馬車の中はえらく和やかだった。
初めての遠出でスライムは初めてみる景色を見つけては、魔王様、魔王様といちいち報告していた。
サキュバスもここぞとばかりに賢妻ぶりをアピールしようと、やれお弁当だとか馬車でも快適に過ごせるようにと毛布やクッションを持ってきて魔王に尽くしていた。
「これから王様退治にいくと思ったのに、なにか、これは遠足かな?」
とても討伐にいくとは思えない雰囲気にメルルは言葉が漏れた。
しかし、かくいうメルル自身もまんざらではなく、外に流れる景色を見ながらサキュバスに尽くされて居心地のいい旅を満喫していた。
「遠足ってなんですか、魔王様」
「普段行かない場所にいって遊んだり、お勉強することかな?私あんまり外出好きじゃなかったから遠足の日は休んだりしてたからよくわからん」
「遠足!スライム、遊んだりお勉強したいです!」
「私も魔王様と一緒ならばどこでも参ります!例えそれが火の中、水の中であっても!でも、出来れば一番は魔王様とベッドにイキたいです♡」
「そうだねー遠足だねー、いっぱい遊んでいっぱいお勉強しよねー」
サキュバスを全無視してスライムの頭を撫でた。
「魔王様!構って!わたくしも!かまって!」
「最近度が増してうるせぇ淫魔だな」
「日に日に愛が増しているのです!」
「だから、私ら女同士だからね。私そっちの気ないんだけど」
「私がその気満々なので大丈夫です!」
「何が大丈夫なんだよ!」
一人息を荒げるサキュバスの谷間向かってデコピンすると、ぷるんと乳房が揺れた。
魔王に触ってもらえた嬉しさでサキュバスは悦びながら顔を赤くしている。
乳を揉むと発情すると分かって以来、メルルは加減しながら相手をしていた。
そこで分かったのは乳を引っぱたいたりデコピンする程度ならば発情しないということだ。
その程度の触れ合いならばサキュバスは発情せずに、喜ぶだけですむ。
ただドMなサキュバスはそうするたびにいつももっと叩いてほしいと欲求し、メルルはそれ以上したら襲われるんだろうなぁと思い、手を止めていた。
「魔王様!町が見えてきました!みてみて!」
スライムが飛び跳ねながら遠くを指さした。
指さすほうを見ると木々の向こう側に建物が見える。建物のさらに奥には城も目視できる。
「王ノ都ダナ。恐ラクハ今マデノヨウニ楽ニハ行カナイゾ。奴ラモ、ソレナリニ防御シテクルコトダロウ」
「大丈夫だって。なんとかなる!レーちゃん頼りにしてるぜ!」
「全ク。呑気ナ魔王ダ」




