巨乳の勇者が現れた(怒)
ここで魔族の縄張りだと分かるようにメルルの指示でサキュバスは森に大きな旗を突き立てた。
城で一度みた黒字に角の生えた髑髏マークが目印の旗。
周りには人間たちの亡骸を敷き詰め、入ったものたちへの警告になるようにしてある。
「これに懲りたら人間たちも来ないでしょう」
メルルたちの足元に小さな幾つもの影が重なった。
空を見上げれば無数の矢がメルルたち向かって降り注ごうとしている。
「魔王様!」
咄嗟に魔剣を矢目掛けて振り払う。空中で切り裂かれた矢の欠片がバラバラになって地に落ち、二人の周りを囲むように残った矢が地面に刺さった。
「貴様らか!我が兵団の部下たちを襲った悪魔というのは!」
森の中から現れたのは白銀の鎧を身にまとった女の勇者とその一行であった。
すでに一行はその手に弓矢や剣を構えてにじり寄っている。
「我は勇者ドロシー・ユミール!」
「魔王様、また勇者ですって」
「勇者ってこんなにいっぱいいるんだね」
「魔王が再来したというのは耳にしている。貴様が魔王か」
「そうだよ。私が魔王、メルルっていうのよろしくね」
勇者の一行が現れたというのに、メルルはまるでクラスメイトに自己紹介するように気さくに声をかけた。
緊張感のなさに勇者は茶化されたと思い、眉間にシワを寄せて怒りを見せた。
「貴様らの命、今日で終わりだ!」
「ですって、魔王様」
「勇者たちってやたら演説してるみたいに喋るよね」
「きっとそうやって育ってきたんですわ」
「だよねー。普通わざわざ名乗ったりする?」
「言わせておけば貴様ら!みな、矢を放て!」
手を振り下ろして合図すると標準を定めた矢がいくつも放たれた。
しかし、またしても魔剣の一振りのみに矢は沈む。芸のない攻撃に流石のメルルも余裕が出てきていた。
「勇者ってんだからさー、もう少し捻りが欲しいよね」
「ならば、我が剣技受けてみよ!」
一撃。たった一回の攻撃で倒れた。
勿論、倒れたのは勇者であった。勇者の剣を軽く避けると空いた鳩尾向かって峰打ちして沈ませた。
「そんな、勇者様が一撃で!?」
「はぁー勇者じゃこれじゃぁ他の人らも期待できないな。サキュバス、適当にぼこぼこにして追い返して」
「かしこまりましたー!」
結果、勇者の一行は現れてからほんの数分でメルルたちの手により壊滅状態になってしまった。
あまりにひ弱くメルルは期待していた白熱のバトルが行えずに、溜息をついた。
「ぐ、これほどとは…」
峰打ちだけでは勇者も命は落とさなかった。しかし、ダメージは残っているようで悪態をつくのが精々だ。
「魔王様どうします?殺します?」
「いや、せっかくだ。勇者は見せしめにしよう」
「クッ!殺せ!生きて恥を晒すことなど出来ん!」
「そうだ、魔王様この勇者の衣類をひん向いて裸にして吊るすのはいかがですか?」
「流石にそれは同じ女として可哀そうだよ。せめて下着姿かな」
「じゃぁ、決まりですね」
荒い吐息をしたサキュバスの手が勇者に伸びた。
勇者は迫るサキュバスに顔を青ざめて必死に身体を引きずっている。
「やめろ、やめろー!くるなー!」
抵抗も空しく、勇者は下着のみの姿になって縛られると旗を突き立てた傍の木に吊るされた。
木には警告として『また侵略に来たら次は皆殺し』と切り刻んだ。
「クッ、こんな姿を晒すなんて、鬼!悪魔!変態!痴女!」
「鬼と悪魔は認めるけど、変態で痴女はそっちでしょ。下着姿で縛られてるし」
「これはお前らのせいだ!私は勇者なのに、こんな事になるなんて」
「ハーハッハッハ!いい気味!」
「くっ!解け―!」
勇者は縛られながらも身をよじって暴れまわる。鎧をまとっていたときには分からなかった大きな乳房が揺れてメルルはムッとして、勇者の身体を舐めるように見た。
「勇者っていうからには鍛えてるのかと思ったら、なによ、この女らしい身体は」
「こ、これは仕方ないだろう、女である以上は大きくもなってしまう」
「大きくならねぇ女もいるんだよ!目の前にな!」
メルルは怒り任せに目の前にぶら下がった勇者の乳を引っぱたくと大きな乳が弾けて揺れた。




