終わらない夏休み
2021/7/16
すこし修正を加えました!
セリフの間にスペース(改行)を入れたので前より読みやすくなったかと思います!
ある夏の日、僕はまだまだ終わらない宿題とまだまだ終わらない夏休みに直面していた。
ミーンミンミンミーン ミーンミンミンミーン…
蝉の鳴き声がやけに気になる。
「終わらねぇ...。」
ミーンミンミンミーン ミーンミンミンミーン…
ついでに蝉の鳴き声も止まらねえ...。
∞∞∞
こうして1ヶ月以上過ぎたが、やったはずの宿題が終わっていない。
「はぁ!?意味わかんねえ!」
待て、今日何日だ?
急いでカレンダーを確認する。
書かれていた日にちは......。
「7月21日!?」
そう、紛れもなく夏休み初日だった。
「う、うそだ...ありえねえ...。」
ミーンミンミンミーン ミーンミンミンミーン…
窓の外では、驚く僕をよそに相も変わらず蝉がうるさく鳴いていた。
夏休みが終わらないのはいいが、宿題が終わらないのはとても困る。
「た、大変だ!た、たた助けてくれぇ!」
∞∞∞
「う、うーん...。」
目を開けると、自分の部屋のベッドの上だった。
「ゆ、夢かぁ...。」
ミーンミンミンミーン ミーンミンミンミーン…
「朝ごはん冷めるわよー!おきてるー?」
一階から母の声が聞こえてくる。
もうそんな時間か。
「はーい!いま行くーっつーの!」
「こら!乱暴な言い方しないで早く降りてきなさい!」
「むぅー...。」
まあいいや。僕の平和な夏休みは守られたんだから。
―――…待てよ。今日何日だ!?
8月30日...。
9月1日登校日なのに、宿題一つも手をつけてねえ!
「ちょっとー!早く来なさい!」
母さんが僕を呼ぶ声にも返答せず、そのまま茫然と立ち尽くした。
そして僕は、たった今理解した。
あの夢は、半分正夢だったのだと。
やっても終わらない宿題、それはきっと、これから僕が徹夜でやることになるであろう宿題を表していたのだ。
「あ…あああ…」
絶望した僕は、なんだか何もかもがめんどくさくなって、そのままベッドに倒れこんで死んだように眠った。
ミーンミンミンミーン ミーンミンミンミーン…
鳴き続ける蝉の声は、今まで聞いていたものと変わらないはずなのに、なぜか「早く宿題を終わらせておけばよかったものを」と、僕を憐れんでいるように聞こえた。
この後、徹夜で宿題をやっている途中にうっかり寝てしまい、登校日に先生にめちゃくちゃ叱られたのは言うまでもない…