4話
ドグは振り向き、目を下にした
「なんのぉあいつら人買いもしとったのか」
ドグの腰にはボロボロの布を巻いた子供が腰紐を握っていた
背丈はドグの胸より少し高く布で頭と体を羽織っていた
人の子だろうか
「おんしどこの子か」
「・・・・」
「なは?」
「・・・・」
「くちなしか」
「・・・・」
ドグは聞いてみるがうんともすんとも言わない無表情の子をみて
こんな場所に置き去りにしたら今夜中に魔物の餌になりかねないし
一人でこの森を抜けるのも無理だろう
少しだけ考えた後に
「いっしょにくるか?」
と言うと
子供はコクリと頷いた
日が少し昇り明るくなってから森に入る
来た時とは違い歩き易い道を選んでるつもりだが
子は裸足のなので進みづらそうだ
ドグは斧を背負い、皮袋を担ぎ、子抱えた
傍から見たら人攫いである
夜とは違い、魔物もあまり活発でない為、日が真上に昇る頃には
森を抜ける事ができた
近くに泉を見つけそこで休憩しようと近づく
荷物を降ろし水を飲もうとした時ドグは驚いた
「きたないのぉ」
昨晩の戦いで武器には血が森を抜けたせいで体は土まみれ、頭にはくもの巣すら引っかかっている
目を横に移すと子供も布は埃まみれで足は泥だらけであった
ドグは火を起こし始めアーマーと服を脱ぎ始め裸一貫になり一言
「よし!」
勢いよく泉に飛び込んだ
頭や体をダイナミックに洗い
髭は丁寧に洗っていた
一通り洗い終わると子供の方を見つめた
「おんしもこい」と子供に一言
布のせいで水面を歩きづらそうに
子供が近づいていく
ドグのそばについたとき
「おんしこんなん着ながらくるやつがあるか」
子供の布を剥ぎ取ると
ドグは少し驚いた
「おんしおなごだったのか」
布を外すと髪の毛は長く、瞳はエメラルドグリーンだったが
埃のせいで可愛らしさが台無しの状態だった
ドグが少女を丁寧に洗う
埃で灰色になっていた髪は綺麗な黒髪で
ここら辺じゃみない髪色だった
顔も体もキズのないようだ
右の二の腕あたりに変な紙がついている事に気がついたドグは
「なんだぁこれ」
剥がしてみるとその下には
アザのようにも見えるし文様のようにも見えるものがあった
「ん~?」
考えていると少女が顔を覗き込んできた
少女の顔みてドグはまた考える
「おんし名がないとこまるじゃろ」
「・・・・」
「なにがいいかなぉ」
ドグが勝手に進めていく
少女の髪を見て
「サラ」
「サラでどうだ?」
髪を撫でながら言うと
いままで無表情だった少女から少しだけ笑みがこぼれた気がした
「そうか!きにってくれたか!」
「がはははは」と
ドグは大笑いした