1話
星空も見えない森の中の一角で男達が賑わっていた。
二十人はいるだろうか、森の中の洞窟の前はひらけており、周りに数本の松明と
中央に焚火があり、男達が酒や料理を豪快にほおばっている。
腕の長細い男が酒の入ったグラスをあげながら
「お頭!今日は大物でしたね!」
洞窟の前にドスンと腰をかけてる大男に声をかけた。
「あたりめーよ!ガガド盗賊団は最強の盗賊だ!」
頭と呼ばれる男は大笑いしながら酒を口にし周りの男達も「おおおおぉぉ!」と歓声を上げ
酒を口にしている。
頭と呼ばれる男が懐に手を伸ばす
「みろよこの宝石を、こらゃー高く売れるぞ!」
男はブローチのような形をした宝石を前に突き出し自慢している。
宝石は焚火の光に当てられキラキラと輝いていた。
「こんな宝石みたことねぇ」
「金も大量にありましたしね」
「これでべっぴんがいたらいうことねな」
頭も手下も上機嫌である。
筋肉質な男がお頭に声をかける
「しかし、大丈夫なんですかね?ガガド様」
「なにがだ」
「あの馬車の紋章はシシドニアのものでしたよ」
「あそこは金持ってるからな!」
ガガドは大笑いしながら答えた。
シシドニアは中央大陸のど真ん中にある大帝国で軍事、財政、人口どれをとっても他国に引けを足らないほどの国である。
その国から北西に広がる巨大な森、昼は動物が活動しており近くの村民達が狩りをしたりしているが
夜では動物たちは身を潜め、魔物たちが活発に動き始める。
とてもじゃないがそんな危険な場所に村人は誰一人として近づこうとは思わない。
自然の要塞を住処にしている盗賊「ガガド盗賊団」である。
直接、村を襲う事はないがシシドニアに運ばれる商人などの荷馬車などを襲い
金品、食料、人までも、なんでも根こそぎ奪い生計を立ててるやからである。