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第八話 大好きな時間
病に倒れた少女がいた
医者からは、もう治らないと言われている
家族は嘆き悲しんだ
それに反して、少女はいくらか冷静だった
もう完全に『死』というものを受け入れていた
そこの温度差は、これまで円満だった家族の間に、もう治ることはない溝ができた
そして、その溝が埋まらないまま、運命の日が来てしまった
少女の命が尽きそうなのは、誰が見ても明らかだった
少女は、最後の言葉として、細々とした声で家族に伝えた
大好きな時間だよ
僕「...」
猫「どうしたの?」
僕「いやさ、初めてだなと」
猫「なにが?」
僕「メインの人間の心境だけでなく、周りの人間の心境も入れてきたところさ」
猫「あぁ~、そういうことね。それは単なる偶然だよ」
僕「そっか。今回の話、特に深い意味はなかったあ感じだったけど?」
猫「まぁ、表面上はね。実は、この話は少女側と家族側では全く違う心情の流れなんだ」
僕「時間的にまた今度だな」
猫「そうだね。また」