第七話 真の平等
朝日は平等に昇る
だが、光が平等に行き届くかといえばそうではない
例えば、砂漠に立っている家と山のふもとに立っている家では日の当たり方に違いがある
一人の国王は
そんな無理難題を解決しようとした
それが不可能だと知っていても
本当の平等を創造するために
何より国民のために
持てる力すべてを使って、国民のために真の平等を創造しようとした
その国王は家臣たちにも優しかったという
そんな優しさにあふれた国王の死は
暗殺だった
僕「かわいそうなこったな」
猫「まぁ、そうだね」
僕「国民のために尽くそうとした結果、殺されるとはな」
猫「それはそれで、国王自身が望んだことなんだよ」
僕「なんだと?」
猫「さすがにさっき言った中からここまで推測しろっていうのは意地悪だったね」
僕「まさか、国王を殺したのって」
猫「国王を殺したのは、国王の家族だよ」
僕「まさか...いや、でも」
猫「まわりに優しくするがあまりぶつける場所を失った負の感情はどこに向かうと思う?」
僕「あ、そういうことか」
猫「君も身に覚えがあるかもしれない。ぶつける場所を失った負の感情はやがて、自分自身を闇に飲み込む」
僕「それで、国王は完全に闇に飲まれる前に殺してもらうことを選んだと。そういう面でもかわいそうだな」
猫「そうだね」
僕「それに、今日休みだからこの話をしたんだろ」
猫「うん。そろそろ帰ったほうがいいと思うよ」
僕「余計なお世話だ。ま、サンキューな」