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第15話 昨日の話
昨日の話
そんなものはしたところで
何のためにもならない
その男は言い放った
誰彼構わず
そんなある日のこと、その男はその言葉を言わなくなった
人々は不思議がったが、誰も問おうとはしなかった
なぜなら
誰もがその答えを知ってるからだ
最も遠くて簡単な答え
昔のことを話さない人間なんていない
つまりは
その男も所詮人間だったということだ
その男はその後
誰もが不思議に思うような死を遂げた
誰もが納得しざるをえないような
悲惨な形で
僕「因果応報」
猫「一言で表すとそうだね」
僕「所詮は人間……か。それは誰もがそうだろう」
猫「そんな簡単なものではないのさ」
僕「分かってるけど、そうやって簡単な答えに逃げようとしてる辺り、所詮にふくまれるのかな」
猫「そう卑下する必要も無いさ」
僕「なんか無限ループしそうだな」
猫「そうだね。今日はもう戻るといい」