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第十話 世界の中心
世界の中心
それに近づいた人間は、畏怖し、そのことには金輪際触れなくなる
一人の少女も例外ではなかった
ただ、他の人と違って周りと共有した
その少女は、周りから尊敬され、神がごとき扱いを受けた
そのこと自体への少女の頓着は無に等しいものだった
世界の中心
少女は、そこに最も近い人間だった
その状態で、少女は近づくことをやめた
周りは、そのことを責めなかった
ただ、ある者たちを除いて
そして、少女は
数年のうちに死を遂げた
僕「死んだ時期は不明瞭なのか」
猫「気づいたら死んじゃってたってことだね」
僕「殺された、というよりは自殺だろ」
猫「なんでわかったのかを聞くのは無駄かな」
僕「途中で知ることをやめたとしたら、それは自殺したくなったか、できなくなったか」
猫「じゃあ、一部以外からそれが認められてるのはなんでだと思う?」
僕「それは...なら逆に、尊敬している人を、大勢の人を敵に回すというリスクまで犯して殺そうとするか?」
猫「しないね」
僕「そういうことさ」
猫「なるほどね。そろそろ時間、って言うまでもないよね」