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目的と手段はすべての鐘を、鳴らすか?

作者: 高橋亮

大人になったらかっこよく仕事して、

時々誰かと小粋に酒を飲んで、

お洒落なマンションに一人で住んで、

赤い車を乗り回したいと思っていた。



そして大人になってから、気がついた事がある。



そんなもの全部「装飾」でしかない。



手段だったんだ。



多分本当に望んだ事は、

真正面から生ききっていく勇気だった。

決して非凡にはなれず強くもないけど、

平凡すら獲得出来るのかわからない世界で、

そういう自分の痛みも不安もちゃんと笑える勇気。

前に踏み出せる、勇気が欲しかったすべて。



誠実に生きてゆける勇気。

どんなに時代を許せなくても。

どんなに自分の価値を許せなくても。



どんなに、感情が刹那をめちゃくちゃにしても。



そういう瞬間に居合わせて足がすくんだことなど毎日ある。

だけど「誠」のことが、必ずあるなら。



わたしの半分とプラス1%は、

勇気でわたしに勝ちたい。

そして残りの49%も捨てずにしまっておこう。

そんな影も、どうあれわたしだから。



それが望んだことで、

その為の自分を整える手段として、

住まいや仕事や日常ね演出を工夫するだけなのだ。



夢があるんだ。



夢が、ある。



毎日痛むこの気持ちを誰かの明日に役立てたい。



毎日駆け引きのテーブルの渦で、

どこか意図的に人をひとと忘れたくなる現実の中でも。

あんなに持ち合わせていたはずの共感性すら、

ずり落ちて全てを冷静にさばいてしまいたくなる喧騒も。

愛してなかったわけじゃない。

好きでなかったわけじゃない。



だけどそれだけで結果は出せないから。



大抵の事は、辛いともキツイとも、

思わなくなった。

落ち込むこともない。

3日考えて出せない答えは、

悩むだけ無駄だ。

いつかを、待とう。

切り替えは早くなった。

そんな事すら考えられないくらいの大事件も時々ある。

これもいつかは、意味を学ぶはずだ、

と、降参して許せるようになった。

だって明日には、相手が待ってる。



ヤバイな。

この思考は、セオリー通りのはずなのに。

ヤバイ。



本当は、世界からもわたしからも、逃げ出したい夜明けが確かに、ある。



あるよ。



共感性とか感受性とか、

そうしたうつくしかったものと、

わたしはいつどの過去でさよならしてきたのだろう。



少しずつ、炙り焼くように燃やして、

最期は炭のカケラすら失っていった。



ともだちが好きだった。

共に戦う仲間が好きだった。

そんな好きな人たちの、

何が一握りの笑顔に、なりたくて走ってきたはずだった。



どしゃぶりの雨のど真ん中で濡れて泣きたい。

だけど、空はそんな日に限ってキツく晴れるから。



わたしはその沢山の大切だったものに、

裏切られたわけじゃない。

最初から、『そうだった』だけで。

わたしが、うつくしいものだと、思って見ていただけで。

本当は最初から、うつくしいもの、ではなく、

ありのままの、その人たちの人生だった。



それがあり得ないと思うくらい、

下劣に人を貶める姿でも。



そう。

うつくしいものの皮が剥がれた、

その姿を見るたびに、

少しずつ、わたしはわたしの純真を、炙り殺した。



じゃあ、わたしは今、何のために、

何の欲求で、走り続けるのだろうか。



夢を、見たいから。

小さな頃に憧れた。

広い世界は素敵だって。

出会う人たちも素敵だって。

そういう、信じたものを、捨てさせたくない、から。

一つでも、拾って持っていて欲しい、から。



手段のはずの、飾り付けた日々が、

まだちゃんと戦えって、

まだ忘れるなって、

背中を押し続けるから。



君たちに何もできないから、

何かしたかった。



最初はそうだったんだね。



わたしの、ほんの一握りの、

純真のために。


まだ信じたい。

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